YMYLとは、Your Money or Your Lifeの略称で、人々のお金や人生に大きな影響を与える対象を示唆する単語です。医療・健康・安全などの人に影響する高い度合いのYMYLジャンルでSEO順位を上げるには、コンテンツのより高い品質が求められます。つまりSEO順位を上げるには難易度が高くなっています。
これはGoogleが検索の評価基準をまとめた 「検索品質評価ガイドライン」の項目の一つであり、知識のないまま不十分な対応をしてしまうと、意図せずGoogleからの評価を下げてしまい、サイト全体の検索順位も下がってしまう可能性を秘めています。
そこで今回は、「YMYLという名前は知っているけれど、どうすればいいか分からない」という方や、「名前すら初めて聞いた」という初心者の方にもわかりやすいように、YMYLの基本的な考え方や対応すべきジャンルと、SEO対策のポイントについてご紹介します。
特に、お金や健康に関するコンテンツを掲載しているWebサイトの担当者は、しっかり内容を把握しておきましょう。
目次
YMYLとは「Your Money or Your Life」の略で、Googleが検索の評価基準をまとめた 「検索品質評価ガイドライン」の項目の一つです。直訳すると、「あなたのお金と人生」ということで、こうしたYMYLに含まれるジャンルはGoogleが特に評価を厳格にしています。
もしこの分野について間違った情報や悪意のある情報が表示されてしまうと、ユーザーに危害や損害を与えてしまう可能性があります。そのため、YMYLに関する内容について信頼性や誤った情報を与えるページだとGoogleが判断した場合は、低品質コンテンツとして評価を下げられてしまいます。
Googleが公表した検索品質評価ガイドラインは、かなりの長文で英文ですが1度でも読破を試みることをオススメします。GoogleがYMYLに対してどんな考えをもって評価するのかが理解できるはずです。下記を参考にしてください。(※お時間があるとき推奨)
Googleの基本的な方針として、「ユーザーに利便性が高い環境を提供すること」「ユーザーに間違った情報を提供しないこと」があります。
問題の背景の一つにあるのが、信憑性のない医療情報をまとめて拡散するキュレーションサイト「WELQ」があります。WELQは医療や健康に関する情報をまとめたキュレーションサイトですが、他サイト写真や記事を無断で引用したり、専門知識のないライターが低品質な記事を量産していたり、医師の監修もなく情報の信憑性も調査されていないという点が問題視されていました。
アルゴリズムが変わる前は、「肩こりの原因は守護霊がいるから」という内容が検索結果上位に表示されていたり、「死にたい」というワードの検索結果には全く関係ないアフィリエイトサイトが表示されたりと、ユーザーの利便性や生活・健康を大いに損なう状況が続いていたのです。
そこで、検索順位を決めるアルゴリズムにおけるYMYLの重要性(特に、健康に関する内容において)が向上しました。その結果として、品質が低いコンテンツを提供するページ及びサイトは、検索順位を大幅に下げることになりました。(「健康アップデート」と呼ばれる大きな変更です。)
さまざまなキュレーションサイトやアフィリエイトサイトの検索順位が落ち、閉鎖に至ったサイトも少なくありません。
また、2022年7月28日時点で1年ぶりに検索品質評価ガイドラインが更新されました。YMYLに対してGoogleがどのような見解を持っているかどうかは、定期的に情報をアップデートする必要があります。
YMYLジャンルで、ユーザーに重大な影響を及ぼす可能性があるテーマは、正確な情報と信頼できる発信源が必要です。
実際、健康や医療、美容や脱毛といったYMYL分野の検索結果においては、行政・教育機関といった公共機関や企業、医療機関が提供する情報が優遇されている(上位に表示されている)状況が続いています。これまでこの分野で上位表示を独占していたキュレーションサイトやアフィリエイトサイトは軒並み苦戦を強いられています。
ただ、いくら正確で信頼できる情報(その道の専門家自身が発信している情報)であっても、専門用語ばかりで構成されているようなユーザーにとって分かりにくい内容であれば、検索上位に表示されるとは限りません。検索アルゴリズムの仕組み上、ユーザーが検索するワードが含まれたコンテンツでなければ、検索結果には表示されないからです。
Googleウェブマスター向け公式ブログにおいても、下記のように指摘があります。
医療の専門用語よりも、一般人が日常会話で使うような平易な言葉で情報を探している場合が大半です。日本のウェブには信頼できる医療・健康に関するコンテンツが多数存在していますが、一般ユーザー向けの情報は比較的限られています。
~~中略~~
もし、あなたが医療関係者で、一般のユーザーに向けたウェブでの情報発信に携わる機会がありましたら、コンテンツを作る際に、ぜひ、このような一般ユーザーの検索クエリや訪問も考慮に入れてください。ページ内に専門用語が多用されていたら、一般ユーザーが検索でページを見つけることは難しくなるでしょう。」と指摘されています。
引用元:Googleウェブマスター向け公式ブログ
信頼性や正確性を担保した上で、ユーザーにとってわかりやすい情報を提供するということが、YMYL分野のSEO対策において重要なのです。具体的にどのような点に気をつければよいかについては、後述します。
YMYL分野のSEOを考える上で、押さえておかなければならない概念が「E-A-T」です。これらはExpertise(専門性)・Authoritativeness(権威性)・Trustworthiness(信頼性) の略語で、頭文字からE-A-Tと呼ばれています。
YMYL分野に限らず、Googleは以下の観点を組み合わせてページを評価し、検索順位を決定しています。
その中でも、YMYL分野においてはE-A-Tが特に重視されます。つまり、コンテンツの内容だけでなく、「誰が作成したコンテンツか」「誰が運営しているWebサイトか」「コンテンツの内容は正しく、信頼性が担保されているか」ということがSEO対策を進める上で重要になっているのです。つまり、E-A-Tを正しく理解し、コンテンツに反映させていることがGoogleに伝わっていることが求められます。
どんなジャンルが、YMYLに関連するのか気になる方も多いと思いますが、2022年7月28日の「検索品質評価ガイドライン」では、該当ジャンルの記載が無くなりました。以前の「検索品質評価ガイドライン」では、以下のジャンルの記載がありました。
2022年7月28日より前の「検索品質評価ガイドライン」で記載されたYMYLジャンル
YMYLジャンルの記載は2022年7月28日の改訂で記載が無くなりましたが、今も注意するべきジャンルであることに変わりはないことを認識しましょう。
2022年7月28日の「検索品質評価ガイドライン」を踏まえて、アップデートするべき内容を理解しましょう。ピックアップしたい箇所は以下の2点です。
上記2点は、検索品質評価ガイドラインに追記された表を見ることで理解が深まります。以下の画像を見てください。
表の中では、スペクトラムであることが理解できるように「Clear YMYL Topic(明確なYMYLトピック)」「May be YMYL Topic(半々)」「ほとんどYMYLトピックではない」の3つの項目に分かれています。明確なYMYLトピックでは、間違った情報を与えるとユーザーに損害を与える可能性があります。半々なYMYLトピックでは、(例えば)天気予報が間違ったことによって影響を受ける人もいれば受けない人もいます。
このように、YMYLは同じジャンルであってもYMYLの度合いは異なりますので、特定ジャンルの記載が「検索品質評価ガイドライン」から無くなっております。また、ページの目的次第でYMYLの度合いは異なりますので、高い要求が求められるYMYLジャンル全てのページが該当するわけではないことを理解しましょう。
では、上記YMYLに該当するジャンルのコンテンツを作成している場合は、どのような点に気をつければいいのでしょうか。YMYL分野に関するSEO対策について、気をつけるべき内容について解説します。
これまであまり意識せずにコンテンツを作成していた…という方も、今からでも遅くありません。できる部分から取り入れてコンテンツの質を高め、より多くのユーザーに見つけてもらえる環境を整えましょう。
なお、これらをすべて行ったからといって、必ず検索順位が向上するわけではありません。Googleのアルゴリズムも常に変動していますし、E-A-T要素などはスコア化が難しいからです。ただ、Googleが評価したいサイトの考え方に沿ったコンテンツを作成することで検索順位アップの可能性も高まりますし、何よりユーザーにとって良いコンテンツを提供することにつながります。ユーザーの高い評価が得られれば、結果としてWebサイトの成果も高まるはずです。
即効性のある対策ではありませんが、一つ一つ確認して、しっかり取り組むようにしてください。
コンテンツだけでなく、Webサイト全体の情報を充実させ、信頼に足るWebサイトであることをアピールしましょう。
具体的には、Webサイト運営者の情報を記載する、お問い合わせページを作成する、プライバシーポリシーや利用規約ページを作る、ECサイトであればキャンセル・返金ポリシーを整備する、受賞歴などを記載する、などが挙げられます。
Webサイト内に上記のコンテンツページを作成し、適切に管理するようにしましょう。
専門性のあるコンテンツの場合、「誰が執筆したコンテンツか」というのは非常に重要です。例えば、医療情報でも一般人が書くのと医師が書くのとでは信頼性に大きく違いが出ます。各コンテンツの著者がGoogleやユーザーに伝わるように、以下のような内容を記載しましょう。
【注意】必ずしも有名な著者であればあるほど検索順位が上がるというわけではない
著者情報の重要性が高まっているが、必ずしも有名な著者でなければ検索順位が上がらないわけではないことを理解してきましょう。もし、有名な著者であれば検索順位が上がるという単純なアルゴリズムであった場合は、検索順位を意図も簡単に上げることができてしまいます。Googleはそう簡単なアルゴリズムではなく、著者はアルゴリズムの1つに過ぎないことを理解しましょう。
それを示すようにGoogle ポリシー オフィスアワーのyoutube内で、「ニキビに関する記事で臨床医による作成者と皮膚科医による作成者の違いがあるか?」という質問に対して、Googleのジョンミュラー氏は、「純粋にSEO観点からは、どちらの方法でも問題ないだろう」と答えています。
参考:「English Google SEO office-hours from September 24, 2021」 – YouTube
著者は1つの要件に過ぎないので、サイトおよびコンテンツの信頼性を高める努力も必要と言えるでしょう。
大前提として、コンテンツの正しさを確認するフローを設けるようにしましょう。YMYLに関する内容については、その分野の専門家に監修もしくは添削してもらうようにしているWebサイトが多いです。
ただ、専門家にコメントをもらった場合、専門的すぎて内容がユーザーに伝わりにくくなる可能性もあります。専門家の指摘やコメントを反映しつつ、一般の人が見てもわかりやすい言い回しになるように調整しましょう。そのときに、よく検索されているワードなどを調べて盛り込むと、SEO対策としても有効です。
専門家に監修や添削を依頼するのが難しいという場合もあると思います。その場合は、情報の引用元を公的機関に絞るなどして、コンテンツの精度を高めるようにしましょう。
キュレーションサイトでも問題になりましたが、他サイトの無断引用やコピペはNGです。これはYMYL分野に限った問題ではなく、SEO対策をする上での基本知識、文章を書くうえでの基本知識としても徹底しておきましょう。
これもYMYL分野だけに該当するポイントではありませんが、コンテンツの内容が「ユーザーの求めている内容になっているか」を確認するようにしましょう。
1つのコンテンツにすべての内容を盛り込むというのが良いと思われるかもしれませんが、多すぎる情報やとりとめのない曖昧な情報は、ユーザーにとって不利益です。欲しい情報が見つからず、結局他の情報を探さなくてはならないからです。
各ページでユーザー層を想定し、その人に向かって疑問の答えを解説するイメージで、コンテンツの質を高めましょう。質の高いコンテンツは、自ずとユーザーに高く評価されるはずです。
対応ができていない場合は、HTTPS化も進めましょう。ユーザーにこのサイトが安全であるという安心感・信頼感を与える指標になります。
古い情報は誤っている可能性があります。ユーザーからの信頼性も下がります。掲載している情報は定期的に見直し、更新するようにしましょう。
店舗を運営している場合は、Googleマイビジネスも活用しましょう。これはGoogleが公式に提供しているサービスで、Googleマップ上で自店舗の写真を掲載したり、クーポン等を表示できたりする機能です。登録に際してはGoogleから認証を受ける必要があるので、その時点で一定の信頼性が獲得できると期待されます。
この機能を使うと、一般ユーザーからの口コミを集めることができます。もしネガティブなレビューが書き込まれたとしても、返信機能等で真摯に対応すれば良い印象を与えられます。
Googleが公表した検索品質評価のガイドラインで、YMYLとはYourMoneyYourLifeの略で直訳では「あなたのお金と人生」で、将来の幸福、健康、金融など、人々のお金や人生に影響を与える領域を指します。
まずYMYLのジャンルは評価を厳しくしていることを分かってください。一方で、質が高いコンテンツを提供すれば順位が上がる可能性が十分にあります。質が高いコンテンツとは何かを考える上ではGoogleの検索品質評価のガイドラインを1度読むといいでしょう。
YMYL領域は評価が厳しいので、低い品質のコンテンツは検索結果に表示されないこともしばしばみられます。低い品質のコンテンツは検索結果に表示されないことを知っておくべきです。
あらゆるシグナルを基に評価していることを知ってください。少なくともページの中身だけを評価している訳ではなく、世間の評価(例えばSNS)も加味して評価をしています。どういった基準で評価しているかは、Googleの検索品質評価のガイドラインを1度読むといいでしょう。
健康アップデートが行われたとき、多くのWebサイトが順位変動のあおりを受けました。YMYL分野はユーザーの生活に大きく影響を与える分野なので、今後も状況に合わせてアルゴリズム変動の影響を大きく受けると予想されます。
SEO対策の一環としても、YMYL関連のコンテンツをアップする時は、より一層コンテンツの質を意識して制作するようにしましょう。
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