Webサイトの記事が増えてくると起こる可能性のある問題が、キーワードのカニバリゼーション(共食い)です。あまり大きく取り上げられる概念ではないので、初めて耳にしたという担当者の方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言うと、複数の記事でキーワードが競合し、評価が分散されて順位が上がりにくくなっている状態のことです。
カニバリゼーションは起こっていることが気づきにくいものの、意外とよく起こるトラブルです。せっかくのコンテンツを無駄にしないためにも、早めに気づいて対応しておきたいですよね。
そこで今回は、カニバリゼーションとは何かという基本的な考え方から、発見方法、対策方法までを紹介します。コンテンツ作成には慣れ、コンテンツ数が増えてきたという担当者の方こそ、ぜひご確認ください。
目次
「カニバリゼーション」とは、共食いのこと。キーワードカニバリゼーションとは、SEO上で起こるキーワードの重複のことを指します。
コンテンツが増えてくると、全く同じキーワードを使ったページや、非常に似通った内容のコンテンツが複数存在することがあります。そうなると、特定の検索キーワードに対して、Google等の検索エンジンが「どのページが検索結果としてふさわしいか分からない」という状況になります。その結果、それぞれのページに評価が分散されてしまい、全体的な検索順位も上がらなくなってしまいます。
具体的な例として考えてみましょう。
例えば、あなたが家具通販のオンラインショップを運営していたとします。そこで、「カウチソファー」というキーワードでの検索順位向上を狙って、専用のカテゴリページ(ページA)を作成しました。さらに、ショップ内で家具に関するコンテンツを増やすため、家具の選び方やおすすめ商品を紹介するコンテンツをつくっています。カウチソファーについては、キーワード調査でユーザーのニーズが高いと思われる内容で「コンパクトなカウチソファーのおすすめ商品(ページB)」「一人暮らし向けカウチソファーの選び方(ページC)」という記事をアップしました。
その結果、「カウチソファー おすすめ」というキーワードで検索したときに、
ページ | 検索順位 |
---|---|
ページA | 8位 |
ページB | 3位 |
ページC | 10位 |
と表示されるようになりました。
このように、自社サイトのコンテンツが同じ検索結果に複数表示されるような状況をキーワードカニバリゼーションと言います。
あるキーワードで検索したとき、本来は1つのキーワードにつき検索結果に表示されるのは1ページです。しかし、キーワードのカニバリゼーションが起こると、複数のページが掲載されることになります。検索キーワードによっては、サイト全体のアクセス数アップに大きく貢献するかもしれません。
このように、カニバリゼーション自体をポジティブに捉える考え方もあります。しかし、検索順位を落とす傾向にあるなどそのデメリットは計り知れません。デメリットや解決策については後述しますが、基本的には「カニバリゼーションを解消する」という方向で対策を進めていくことをおすすめします。
なぜカニバリゼーションが発生するのかについて考えてみましょう。「共食い」という言葉からもわかるように、複数のコンテンツ間で同じあるいは似たキーワードを対象にしている場合に発生します。
例えば、下記のようなことが起こる可能性があります。
つまり、コンテンツ内に使われているキーワードが似ている場合に要注意なのです。
コンテンツ間でキーワードが似ていると、Google等の検索エンジンは「検索されたキーワードが、どのページのテーマに相応しいのかわからない」という混乱状態になってしまいます。その結果、評価が分散してしまうのです。
カニバリゼーションは意図的に起こすことは難しく、どの条件で発生するかも不確実です。ただ、基本的には「1サイト1ページに付き1キーワードで作成する」「ターゲットキーワードはなるべく被らないのようにする」ということを念頭に、コンテンツを作成していくようにしましょう。
「コンテンツの内容が似ている」というと、「重複コンテンツ」とどう違うのかという疑問がわく方もいるかもしれません。重複コンテンツは、その名の通りコンテンツの内容自体がほぼ同じという状態。コピペで作ったコンテンツのように、8割以上が似ているページのことを指します。重複コンテンツはGoogleのペナルティの対象で、検索順位の大幅な下落などのリスクが非常に高いです。
一方で、カニバリゼーションはユーザーが検索しているキーワードに対する答えが複数ページに存在している状態です。先述の通り、同じ検索結果に複数のページが露出できるということでもあるので、考え方によってはプラスの影響もあります。
重複コンテンツについては、以下の記事で詳しく解説しています。
キーワードカニバリゼーションを放置していると次のようなデメリットがあります。
同じキーワードを使ったコンテンツが複数あると、Googleはどのページが一番ふさわしいのか判断できずに混乱してしまいます。その結果、検索順位が不安定になったり、検索順位に表示されるURLが頻繁に入れ替わったりという現象が起きます。
すると、ユーザーからのアクセスや被リンクが分散してしまい、もし1記事に集約できていれば集まっていたはずの高い評価が分散してしまいます。評価が分散するということは、個々の検索順位も上がりにくくなる可能性があるということ。
キーワードカニバリゼーションを起こしている記事の中で、どれか1つのページのCVR(コンバージョン率)がほかよりも高かった場合を想像してみてください。似たようなページが複数検索結果に表示されることで、CVRの高いページを閲覧しないユーザーも出てきます。その結果、獲得できるはずだったコンバージョンを取り逃しているかもしれません。
同一内容に近いページがあるということは、それぞれのページに記載されている内容が薄い情報である可能性があります。検索エンジンだけでなく、ユーザーの満足度も下げてしまうかもしれません。満足度の低い(=コンバージョンにもつながらない)ページが複数存在しているより、内容を精査して中身の良いコンテンツだけに絞ったほうが、ユーザーの高感度も高まるはずです。
コンテンツを作成した当初は、たとえキーワードカニバリゼーションを起こしていてもコンテンツの量が増えていくことに達成感を感じるかもしれません。しかし、長期的視野で考えると、集客を妨げることにつながります。ユーザーが新しい情報を得たいと思っても、同じような内容ばかりだとすぐに離脱してしまうからです。
何度も訪れてくれるようなファンを獲得するためにも、1キーワード1コンテンツの考え方は維持したいところです。
キーワードカニバリゼーションのデメリットに気づいて対応をしたいと思っても、「どうやって見つけたらいいのか分からない」と思いますよね。ここでは、キーワードカニバリゼーションを発見する具体的な方法をご紹介します。
自分のサイトを対象に、ターゲットとするSEOキーワードを入れて検索してみましょう。もし、そのキーワードに関連する記事がすでに存在するなら、新たに使うのは避けたほうがいいでしょう。もし複数の記事がヒットするようであれば、一番ふさわしいページを選んでカニバリゼーションを解消する対処法を行いましょう(詳しくは後述します)。
サイト内検索の機能があれば、それを使うとスムーズです。もしサイト内検索が上手く使えないようであれば、Google検索のコマンドを活用します。検索ウィンドウの中に、site:の後にサイトURLを入力し、そのあとに検索キーワードを入れるようにします。すると、サイト内でインデックスされているページだけがGoogle検索結果に表示されます 。
Google Search Consoleは、実際にあなたのWebサイトに訪れたユーザーが検索したキーワード・検索クエリが確認できるツールです。「検索パフォーマンス」から「クエリ」を選択し、調べたいキーワードをクリックしてください。
さらに、「ページ」をクリックすると、そのキーワードで検索結果に表示されているURLが分かります。もし、この画面で複数ページからの流入があるページが見つかれば、そのワードではカニバリゼーションが発生しています。
引用元:ahrefs
アクセス解析ができるツールを使う方法もあります。カニバリゼーションの対応としては、「ahrefs」というサービスが有名です。カニバリゼーションを見つけるためのテンプレートが提供されているので、それを活用することで簡単に発見することができます。
最後に、キーワードカニバリゼーションを発見した後、どのように解消すればいいかについてご説明しています。もしカニバリゼーションが発生していたとしても、Googleのペナルティに繋がるわけではないので、あえて放置するという方法もあります。しかしデメリットもありますから、以下の方法を参考にできるところから対応を進めていくことをおすすめします。
表示させたいキーワードが明確な場合、そのワードをタイトルタグに盛り込むのはSEOとして初歩的な方法です。しかし、カニバリゼーションが起こるとき、同じキーワードが盛り込まれた似たタイトルのページが発生しています。検索結果に表示させたくないページについては、タイトルからそのキーワードを外し、新しく書き換えましょう。
逆に、検索結果に表示させたいコンテンツについては、対象のキーワードをもれなくタイトルに入れます。さらに、できる限りタイトル冒頭にそのキーワードを入れるなど、位置にも気を使いましょう。
カニバリゼーションを起こしている記事のうち、検索結果からの訪問が必要ではないページであれば、noindex対応をしてGoogleに認識させないという方法もあります。Web広告用のランディングページを別に作っている場合など、検索結果からの訪問を想定していないけれどキーワードのカニバリゼーションが懸念されているケースなどに活用してみましょう。
設定する際は、HTMLのhead内に「<meta name=”robots” content=”noindex”>」を記載します。Wordpressを利用されている場合は、プラグインを活用するともっと簡単です。
複数のページが存在する場合、一番有力なページにリダイレクトする仕組みを作ります。
以下の3つのステップで行います。
サイト内でもアクセスが多い、リンクが多い、コンバージョン率が高い等の観点で比較し、残すべきページを決定します。
残す記事の中に、その他の記事の内容を盛り込みます。
検索結果からの表示を避けたいページについては、それぞれ301リダイレクトを設定します。そうすることで、その他の記事にアクセスが有った場合、自動的にメインの記事の画面が表示されるようになります。通常、ページそのものを消してしまうと、被リンクからのアクセスが有ったときに404エラーが発生しますが、そのリスクがなくなります。また、リダイレクトされたURLそれぞれの権威性も引き継がれるので、メインのページの評価が更に高まります。
一つのページに情報が集約されることになるので、検索エンジン対策としてだけでなく、ユーザーにとっても利便性が高まる対策方法です。
複数のURLでカニバリゼーションが発生している場合、そのキーワードに該当するページのうち一番適したページはどれかを伝えるため、内部リンクを設定しましょう。
一番有力なURLにリンクするように、優先度の低いページから内部リンクを設定します。リダイレクト対応が難しい場合の代替策としても使えます。
キーワードカニバリゼーションは、一生懸命サイトの規模を大きくしようと頑張ってきた場合こそ発生するリスクのある現象です。ペナルティに繋がる問題点ではありませんが、ユーザーの流入やコンバージョンを妨げている可能性もあるので、発見したら適切に対処を行いましょう。
カニバリゼーションだけが検索順位に影響を与えているわけではありませんが、問題点に対処することで検索順位が改善するかもしれません。
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