ミラーサイトはかつてSEO目的で作成されることもありましたが、SEO効果はなくなり、寧ろ同じ内容のコンテンツはコピーコンテンツとしてみなされ、ペナルティを受けるリスクがあります。今回は、ミラーサイトがSEOで問題視されている背景や対応方法について解説します。
目次
ミラーサイトとは、既存のWebサイトとほとんど同じ内容・見た目のWebサイトのことを指します。ミラーサイトは、バックアックや負荷分散の目的で作られます。かつてはSEO効果を目的として作られることもありました。鏡に写ったように似ているということで、ミラー(鏡)サイトと呼ばれています。コピーサイトと同じ意味合いで呼ばれることもあります。
SEOでミラーサイトとは、Webサイトの中の一部のみが共通しているコンテンツがある場合、ミラーページや重複コンテンツ、重複ページ、コピーコンテンツとも呼ぶこともあります。
ミラーサイトは、必ずしも悪影響ばかりではありませんが、正しい知識を持った上でサイト運営を行うことが大事です。
現在の検索アルゴリズムをご存じの方は、ミラーサイトはリスクしか無いのに、なぜ存在するのかと不思議に思うかもしれません。ミラーサイトが存在する背景には、「以前はSEO対策として有効だった」という事情があります。しかし現在は、オリジナルのコンテンツが評価されるので、ミラーサイトはSEO上ペナルティを受ける可能性もあります。
一方で、アクセス過多でサーバーがダウンしてしまったときの代替としての活用方法があるので、今もミラーサイトを運用している場合もあります。が、これは「アクセスできない状態があってはならない」という理由があるWebサイトの場合で、一般的な企業のコンテンツにおいては、ミラーサイトがあるとリスクになるといえます。
ミラーサイトが作られる背景を4つ紹介します。
1.サーバーのアクセス負荷を減らすため
ミラーサイトは、サイトアクセス過多によってサーバーダウンする場合に役立ちます。何らかの原因でアクセスが集中してしまった際に、サーバーがダウンしてWebサイトが閲覧できなくなってしまうことを防ぐことができます。恒常的にアクセス数が多いのであれば、サーバーの改善によって対策できますが、アクセスの増減に波がある場合は、サーバーを増強するよりもミラーサイトの方が低コストで済みます。そのため、負荷分散やリスク回避のために、ミラーサイトを作る場合もありました。
今でも、自治体などの公式Webサイトについては、災害が発生した時などアクセスの急増に備えてミラーサイトを運用している場合もあります。総務省も事例として紹介しています※。負荷軽減のための運用を行う場合は、no indexやcanonicalを適切に指定し、本来のWebサイトに影響が及ばないようにしましょう。
参考:総務省「事例11 自治体の公式Webサイト等の負荷軽減 事例のメリット」より
2.かつてはSEO対策で有効だったため
Googleなどの検索結果で複数表示させることができた以前は、ミラーサイトを複数作成することがSEO対策で有効でした。ところが、そうした対策は検索を利用するユーザーの為にはなりませんので、2011年のパンダアップデート以降、重複コンテンツは評価が下がるようになったため、現在は非推奨となった施策です。ペナルティ対象にもなる施策のため、行ってはいけない施策です。
3.悪質な目的を達成するため
自分が当事者となってミラーサイトを作る以外に、悪意をもった他者がミラーサイトを作る場合もあります。
第三者が許可なくミラーサイトを作るのは、個人情報を不正に取得するなどの目的があります。ECショップなどの場合、悪意ある業者が勝手にミラーサイトを作り、本物のショップだと勘違いして訪問してきたユーザーの個人情報を抜き取る手口があります。こうした手法は、フィッシングサイトや偽サイトと呼ばれます。
第三者が許可なくミラーサイトを作成する場合、自分たちに非がなくても、お客さんの信頼を失ったりする可能性があります。
4.意図せずミラーサイトができてしまったため
ミラーコンテンツは、ちょっとした勘違いや操作ミスでも発生します。
例えば、
などがあります。
この場合、気づかずに放置していると、本来のコンテンツも不利になるなど、デメリットが大きいです。万一ミラーサイトができたばあいは、リダイレクト設定や古いページの削除などの対応を行いましょう。
ミラーサイトはGoogle検索アルゴリズムのアップデート「パンダアップデート」によって、SEOの位置づけが変わりました。このアップデートによって、これまでのミラーサイトが検索結果に表示されていたのが、表示されなくなりました。
パンダアップデートとは、2011年に実施されたGoogleのアルゴリズム変更のことです。このアップデートをきっかけに、SEO対策で「コンテンツの質」が非常に重視されるようになりました。それまではコピーコンテンツのような低品質なサイトでも簡単に検索順位を挙げられていましたが、このアップデート以降検索順位は大きく代わりました。英語圏のデータですが、導入当初は検索結果の11%に影響が出たため、そのインパクトの大きさが分かります。
パンダアップデートで「低品質」とされるコンテンツには、以下のものが挙げられます。
上記の様に、ミラーサイトの取り扱いは変わりSEOで効果がない施策となり、むしろ評価を低下しかねない施策となったのです。
Googleは、ユーザーにとって有益なコンテンツを上位に表示することを目指していて、現在も細かなアップデートが継続しています。SEO対策を考える上では、最新のアルゴリズムを理解して対応しましょう。
⇒Googleアルゴリズムとは?代表的な順位変動の種類と歴史について
ミラーサイトを作成・放置していると、次のデメリットがあります。
同じ内容のコンテンツが存在する場合、コピーコンテンツとみなされます。サイトの評価が下がり、検索順位も落ちてしまいます。
重複コンテンツとみなされると、ペナルティを受けるリスクがあります。検索順位が下がったり、最悪の場合検索結果に表示されなくなったりします。
ミラーサイトを考える上で忘れてはならない視点に、「第三者が作ったミラーサイトによって、自サイトが被害を受ける」というケースがあります。インターネット上に公開されたWebサイトは誰でも閲覧できるので、第三者がわざと自サイトの内容をコピーしてミラーサイトを作る可能性もあります。
例えば、有益な情報をコピーして掲載するケース。いわば「コピペコンテンツ」の被害にあってしまうケースです。自分が1から考え、必要に応じて専門家に監修を受けて作成したコンテンツであっても、全く知らない誰かがコピーして、我が物顔で公開していることがあります。アフィリエイトサイトなど、コンテツからの集客・収益化に使われている可能性があります。本当はオリジナルコンテンツなのに、自分のほうがコピーだとみなされると、SEO上不利な扱いを受けてしまうかもしれません。そもそも、Webコンテンツも「著作物」なので、勝手にミラーサイトを作るのはNGです。
また、さらに悪質な目的で使われる可能性もあります。ショッピングサイトやメルマガ登録サイトなど、個人情報を入力するフォームのあるWebサイトのミラーサイトを作ることで、個人情報を抜き取ろうとするケースです。もし悪用されてしまうと、自サイトがSEO的に不利だけでなく、自サイトだと思って入力した顧客にも大きな被害を負わせてしまいます。発見したら、早急に対応すべき状態です。
もし、Webサイトのドメイン内にミラーサイトやコピーコンテンツが存在するのなら、訴求に対応を行う必要があります。また、自分はミラーサイトを作っていなくても、競合サイトや悪質サイトがミラーコンテンツを作成した場合、自サイトの評価が不利になる可能性もあります。急に検索順位が下落した場合、誰かが作成したミラーコンテンツが悪影響を及ぼしている可能性があります。
ミラーサイトへの対策は、ミラーサイトが存在していないことを確認し、その結果によって適切に対応を進めていくことが必要です。
ミラーサイトの有無は、以下の方法で確認できます。
手間はかかりますが、自社サイトに関連するキーワードや本文の一部を使ってGoogle検索を行う方法です。さらに、その検索結果の末尾に「&filter=0」を付けて再度検索すると、類似コンテンツが表示された検索結果が出てきます。
※&filter=0とは、Google検索で使えるパラメータの一つ。Googleの通常検索では重複コンテンツが表示されないようになっていますが、検索結果URLの最後に「&filter=0」を記載すると、このフィルタを外してすべて表示させるようにできます。
コピペチェックツールや類似判定ツールを使い、自社サイトの内容をチェックします。
コピペチェックツールのオススメは、CopyContentDetectorです。
無料の場合4,000字、有料であれば8,000字まで回数無制限でチェックできるツールです。コンテンツをツールにコピペしてチェックすると、関連度の高いページや内容が類似しているコンテンツの有無が分かります。
類似判定ツールはsujiko.jpを使うのがオススメです。これは重複コンテンツ・ミラーサイト・類似ページを判定するための無料ツールで、自社のURLと、該当する類似ページのURLを記入することで、客観的な類似度を判定してくれます。
上記でミラーサイトが見つかったら、ペナルティを受けないようにしっかり対策を進めましょう。他の運営者にコピーされていた場合の対策と、自サイト内にコピーコンテンツがあった場合の対応を分けてご紹介します。
ミラーサイトを発見したら、Googleに著作権侵害の申立を行います。「デジタルミレニアム著作権法」に基づいて、Googleサービスからの削除を希望するコンテンツの報告ができます。
申立は、以下のURLから行えます。
https://support.google.com/legal/troubleshooter/1114905
また、ミラーサイトから自分のWebサイトにリンク設置されている場合、低品質のリンクとして評価が下がる可能性もあります。ですので、Googleサーチコンソールを開き、問題のあるURLを指定して、「外部リンクの否認」を行いましょう。
詳しくは、以下のページでも解説しています。
以前作っていたミラーコンテンツや、ドメイン変更の際の対応ができていないページが有る場合は、以下の手段でGoogleにミラーサイトではないことを伝えましょう。
301リダイレクトとは、URLが恒久的に変更される際に利用する転送処理コードです。ドメイン変更やサイトリニューアルでURLが変更された時に行うべき処理の一つです。
301リダイレクト適切に設定しておくことで
というメリットがあります。
具体的には、.htaccess内にリダイレクトに関する記述を行います。詳しい方法や301ダイレクトの詳細については、以下の記事を参考にしてください。
⇒301リダイレクトとは?サイトリニューアル時に必ず設定したい.htaccessの記述方法
canonicalタグとは、SEOの内部対策として使われるHTMLタグで、URLの正規化を行う際に重要な役割を示します。複数の異なるURLで同一のコンテンツが発生する場合(まさに、コピーコンテンツがある場合)、必ず設定しておきましょう。
URLの正規化とは、重複コンテンツや類似ページのURLを1つに統合し、評価を集中させる施策です。HTMLソース内にcanonicalタグを設定することで「このページとこのページは、URLは違うけれど同じ内容です」と宣言でき、評価が下がることを防げます。
canonicalタグを設定したからといって検索順位が上がるわけではありませんが、ミラーサイト・コピーコンテンツがあることによる低評価を防ぐために必要な施策です。
具体的なcanonicalタグの利用方法について解説します。
<head>
<link rel=”canonical” href=”http://www.example.com/blog/(正規ページURL)”>
</head>
上記のように記述することで検索エンジンは重複しているページを正しく理解してくれます。検索順位には掲載しない類似ページ・重複ページのHEAD要素内に、正規ページへのリンクを挿入しましょう。こうすることで、メインに指定したURL以外は検索結果に表示されなくなります。
canonicalタグの設定や、301リダイレクトとの使い分けについては、以下のページでより詳しく解説しています。
⇒<link rel=”canonical”>タグの使い方とSEOの評価について
ミラーサイトは、放置しておくと自分のWebサイトに悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。まずは、自分が誤ってコピーコンテンツを作成していないか、あるいは放置していないかを確認し、適切な対応を行いましょう。
万一、他者にミラーサイトを作られてしまった場合にも、自社への悪影響をすぐにチェックできるように、こまめに検索順位を確認する習慣をつけることも必要です。
ミラーサイトが問題になっている背景には、Googleが検索アルゴリズムの中で「コンテンツの質」を重視しているという背景があります。この背景を理解して、SEO対策の中で良質なコンテンツの作成を積極的に行いましょう。
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