マーケターが必須で知っておきたい重要指標に「KPI」があります。
近年のマーケティングにおいて、「KPI」は絶対に欠かすことができません。
こちらの記事では、「KPI」とは何か、何のために必要なのか、などを解説いたします。
目次
KPIとは「Key Performance Indicator(キーパフォーマンスインディケーター)」の略語です。日本語に訳すと「重要業績評価指標」を意味します。
マーケティング施策を実行する際に、その施策の成否を定量的に判定するための指標がKPIなのです。
KPIと同じく重要な指標に「KGI」があります。KGIは「Key Goal Indicator(キーゴールインディケーター)」の略で、日本語では「経営目標達成指標」のことを指しています。企業や組織が経営戦略の達成を定量的に判定するための指標が、KGIです。
売上や利益率、粗利などをKGIとして定め、KGI達成のために必要な受注件数などをKPIとして設定します。そのため、KPIとはKGIを達成するための指標と言い換えることもできるでしょう。
KPIを設定する際には、まずはKGIを設定します。
たとえば、KGIを「売上前期比125%」と設定した場合、前期の売上が5億円であれば、KGIは売上6.25億円です。顧客単価が1万円の場合、62,500件の受注を獲得する必要があることがわかります。この場合、KPIは「受注62,500件」です。
この例でのKGI(売上6.25億円)を達成するには、他にも顧客単価を上げる方法もあります。前期の顧客単価が5万円であれば、6.25万円に上げる必要があり、KPIは顧客単価6.25万円となります。
経営上で重要なのは、KGIを達成することです。KPIはあくまでKGIを達成するための手段ですので、複数あるKPIの中から適切なものを選びマーケティングを展開していく必要があります。
KSFとは「Key Success Factor(キーサクセスファクター)」の略称で、重要成功要因のことです。適切なKPIを設定するためには、このKSFを考える必要があります。
KPI設定の例で、「受注数を増やす」「顧客単価を上げる」の2例をご紹介しました。これらがまさにKSFです。つまり、KGIを達成するための重要な要因のことをKSFと言います。
組織や会社の目標であるKGIを設定した後は、どのようにしてKGIを達成するかを考えます。販売状況や商品特性、競合の状況など多数の要素を元に、どのような手段が実行可能か分析・検討を重ねましょう。
実行可能なKSFが定まることで、現実的なKPIを設定することができるようになります。
次に、KPIにはどのような指標が設定されるのかをご説明します。Webマーケティングでは、下記のような指標がKPIとしてよく設定されます。
CVとは「Conversion(コンバージョン))の略称で、Web上で計測・獲得できる成果指標のことです。ECサイトの実売や、問い合わせ・資料請求、電話番号ボタンをタップした回数など、さまざまな指標を実情に応じて設定することができます。
CVRとは、「Conversion Rate(コンバージョンレート)」の略で、コンバージョンに至った割合を示します。サイトの訪問数であるセッションのうち、どの程度の数がコンバージョンに至ったのかを示します。
ECサイトでは、GoogleAnalyticsなどの解析ツールで顧客単価を確認することができます。
売上金額を売上件数で割った数値である平均顧客単価も、よくKPIに設定されます。
CPAとは、「Cost Per Acquisition(コストパーアクイジション)」もしくは、「Cost Per Action(コストパーアクション)」のことです。顧客や成果の獲得にいくらの広告費用がかかったのかという指標です。
CPAは使用した広告費用を、獲得した顧客や成果の数で割ることで導き出すことができます。CPAが低ければ低いほど、少ない広告費用で顧客や成果を獲得することができているため、優れた成果を出すことができていることを示します。
同じく広告の費用対効果を測る指標には、「ROAS」と「ROI」があります。
ROASの正式名称である「Return On Advertising Spend(リターンオンアドバータイジングスペンド)」を直訳すると「広告費用対効果」となります。かけた広告費用に対して、どのくらいの売上があったのかを示す指標です。
売上を広告費で割った数値に100をかけることで算出することができます。ROASはCPAとは違い、高ければ高いほど良い評価を示します。
ROIとは、「Return On Investment(リターンオンインベストメント)」のことです。日本語訳は、「投資収益率」もしくは「投資利益率」です。かけた広告費用に対して、どの程度の利益があったのかを示します。
ROASもROIも同様に、かけた広告費用に対する成果を測る指標ですが、ROASは売上、ROIは利益に対する効果を表している違いがあります。
PVとは「Page View(ページビュー)」の略です。指定した期間内にサイト内のページがどのくらい閲覧されたのかを示します。
対象のWebサイトがどの程度の集客をすることができているのかを示す数値であり、サイト規模の指標です。
UUとは、「Unique User(ユニークユーザー)」の略です。指定した期間内に、どの程度の人数のユーザーがサイトを訪れたのかを示す数値です。
KGI、KSFを元に設定するKPIですが、設定の際には注意しなければならないポイントがあります。
KPIを設定する際の考え方として、「SMART」というものがあります。
「SMART」とは、下記の5つの要素の頭文字です。
これらの要素を満たしていることで、KPIをより効果的で現実的な指標として活用することができるようになります。
KPI設定の際に、やりがちなのがKPIの数を多く設定しすぎることです。CPAを下げ、CVRを高め、CV数を増やし、顧客単価も上げることができれば、KGIを達成することはできるでしょう。
しかしKPIが多くなりすぎると、対策が煩雑になり、優先順位をつけることが困難になります。その結果、KPIを達成することが困難になります。また、効果計測をする際にも、達成できたKPIと達成できなかったKPIが生まれ、結果としてマーケティングの成否がわからなくなってしまいます。
したがってKPIの数を必要最小限に絞ることで、施策を明確にし、施策の成否の判断を的確にすることが大切です。
そもそも達成が困難な数値がKPIとして設定されていることがあります。根拠がなく、指標の高いKPIを設定することで、目標達成のためのプロセスがぼやけてしまいますし、目標達成ができなかった際にうまく改善をすることができなくなってしまいます。
そのため、KPIはあくまでKGIを達成するための根拠が伴った定量的な成果指標にすることが必要です。KSFを定める際に、入念な分析を行い、現実性のあるKPIを設定するようにしましょう。
下記はいずれも、KPI設定がうまくいっていない場合によく見られるケースです。
KGIを達成することがKPIの目的です。そのため、KGIに即したKPIが設定できていなければ、KPIを達成できても経営戦略未達成となってしまうことがあります。
KPIを設計した後には、そのKPIがKGIに即した内容になっているか、KPI達成によりKGIを達成することができるかを再度確認するようにしましょう。
KPIを達成するためには、適切な運用・管理が必要です。
以下のような方法で運用・管理を行いましょう。
KPIは、現場レベルにおいて最も重要な成果指標です。そのため、その重要度や数値、進捗、達成率などを常にチーム全体で共有しましょう。そうすることで、チーム全体がKPI達成を常に意識することができます。
具体的な方法としてエクセルやスプレッドシート、ツールなどを用いることが有効です。進捗管理・共有を同時に行え、全体で常に同じ数字を把握することで改善を実施することができます。
KPI運用において最も重要なことは、KGIを達成することです。そのため、一度設定したKPIに固執する必要はありません。早い段階でKPI達成ができたのであれば、新たなKPIを設定する必要がありますし、逆にKPI達成が困難になっている場合には、新たなKPIを設定し直す必要があります。
また、KPIが達成できているけれど、KGIが達成できていない場合があります。たとえばKPIに受注数を設定している場合に、KPIは達成できているけれど、顧客単価が下がり、KGIが達成できていないということがあるのです。
そのような場合には、新たなKPIとして、より高い受注数を設定するのか、顧客単価の向上を設定するのかなどを検討する必要があります。
このように、定期的にKPIを見直し、適切なPDCAを回すことは、KPIの本来の目的であるKGIの達成のために非常に重要です。
Webマーケティングにおける重要指標である「KPI」について、ご説明しました。
企業や組織が経営目標を達成するには、達成までの筋道を細かく分解する必要があります。そして、大きな目標の達成のためには、そこにつながる細かな目標の達成が必要なのです。
分解された小さな目標であるKPIを達成することで、企業や組織はその目標を達成することができます。そのため、KPIは近年のマーケティングにおけるとても重要な指標と言われています。
目標達成のため、ぜひとも適切なKPIを設定してみましょう。
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