Webサイトへの流入を増やしたいと考えた時に有効な施策が、インターネット広告の活用です。中でも、まずはPPC広告からというのが一般的な考え方です。PPC広告はクリックされるごとに広告費が発生する課金方法の広告で、多くのWebサイトが使っている集客方法です。
ここでは、リスティング広告とCPM広告との違いや、PPC広告のメリット・デメリット、効果的に運用するコツなどを解説します。
目次
PPC広告とは、クリックされるごとに広告費が発生する仕組みで運用される広告のことです。「Pay Per Click」の略称です。インターネット広告の中でも、課金形式に着目した分類の呼び方です。
PPC課金型の広告は、表示された広告が1回クリックされるごとに広告費が発生します。反対に、表示されてもクリックされなければ広告費が0円です。Webサイトのアクセスにつながった場合にだけ広告費が発生し、かつ定額から簡単に始められるため、非常に手軽で即効性のある広告として多くの企業が広告出稿されています。
PPC広告と同じインターネット広告の用語には、リスティング広告とCPM広告があります。それぞれの用語の意味と違いについて、しっかり抑えておきましょう。
リスティング広告とは、ブラウザでの検索内容や、Webサイトの内容に応じて表示される広告が決まるタイプのインターネット広告です。リスティング広告の中には、検索キーワードに応じて表示される「検索連動型広告」と、Webサイトの内容に応じて表示される「コンテンツ連動型広告」があります。リスティング広告は、いずれもPPC形式で課金されます。つまり、PPC広告の一種が、リスティング広告だといえます。
CPM広告とは、表示回数に応じて広告費が発生するタイプのインターネット広告を指します。CPMとはCost Per Milleの略で、「Web広告を1,000回表示するごとに発生する広告費」という意味です。表示回数のことをインターネット用語で「インプレッション」ということから、インプレッション広告と呼ばれることもあります。バナー広告などでよくある手法です。つまり、PPC広告とCPM広告は、課金方法に着目した広告の名前ということです。
PPC広告は、広告ごとに1回ごとのクリック単価が決まっています。広告料金は、クリック数×クリック単価で計算されます。
例えば、1クリック100円の設定で運用されているPPC広告であれば、100回クリックされれば10,000円、150回クリックされれば15,000円というように、クリックされればされるほど広告費が高くなります。
無限に広告費用が増えてしまうのではと思われる方もいるかもしれませんが、実際には週ごとや月ごとに上限予算を決められ、その中で効果が最大化するように広告が配信されます。そのため、少ない予算からも始めやすい広告形式といえます。
PPC広告の中には、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告などの種類があります。
リスティング広告とは、先述の通り、ブラウザでの検索内容や、Webサイトの内容に応じて表示される広告が決まるタイプのインターネット広告です。特に、初心者が利用しやすいのが検索キーワードに応じて検索結果画面に表示される「検索連動型広告」です。利用している企業も多いため、PPC広告=リスティング広告=検索連動型広告、と同じ意味で認識されていることもあります。
リスティング広告の特徴は、Webサイトの内容に興味関心のあるターゲットユーザーを的確にサイトに誘導できるという点です。集客の母数を大きく増やすことができるため、売上アップに対する即効性が期待できます。
リスティング広告を出稿できる主な媒体は、Google広告・Yahoo!広告です。それぞれアカウント登録をすれば、個人でもすぐに出稿が可能です。
ディスプレイ広告とは、Webサイトはアプリ上の特定の広告枠に表示される広告です。テキストやバナー画像、動画で表示されます。視覚的に目立つ形で配信できるため、Webサイトへのアクセスアップの他にも、認知度アップ効果も期待できます。
配信サイトや、ターゲットユーザーを指定することで、売上につながるユーザーに絞って広告を配信することができます。ただ、検索連動型広告と違って、宣伝したい商品やサービスに関する興味関心が薄いユーザーにも表示されるので、ターゲティングの精度が大きく左右されます。
検索連動型広告と同じく、GoogleとYahoo!が主な配信媒体で、それぞれ「Google ディスプレイ ネットワーク(GDN)」「Yahoo!広告 ディスプレイ広告(運用型)」と呼ばれます。それぞれが傘下のサービスに配信ネットワークを持っているので、この2つに登録しておけば、多くのサイトに広告を配信できます。
※Yahoo!のディスプレイ広告は、以前「Yahoo! ディスプレイ広告(YDN)」という名称で提供されていましたが、2021年5月頃を目処に提供終了となります。
⇒ディスプレイ広告のメリットとデメリットとは?配信手法も紹介!
SNS広告とは、SNSの投稿の中に表示されるプロモーションです。各SNSに、それぞれの投稿内容に合わせた広告展開ができます。SNSの特徴に応じて出稿先を選ぶことでターゲティングできる他、そのSNSのアカウント情報に応じたターゲティングも可能です。
テキストやバナー画像のシンプルなものだけではなく、動画やカルーセルを用いたクリエイティブで訴求する広告も増えています。
ユーザーが親しんでいるSNSの投稿形式で表示されるため、ユーザーの親近感につながり、認知度拡大が期待できます。また、ユーザー心理を捉えたクリエイティブができれば、「シェア」につながりやすく、広告以上の訴求効果が見込めます。
媒体としては、FacebookやTwitter、Instagram、LINEなどが挙げられます。
⇒SNS広告(Instagram・Facebook・Twitter・LINE)の特徴と使い方
PPC広告は1クリック数円から開始できることもあり、非常に手軽で始めやすい広告形式です。しかも、露出までに時間が掛かるSEO対策と比較すると、広告予算さえあればサイトへのアクセスアップがすぐに期待できます。一方で、日々の運用の手間がかかるというデメリットもあります。
PPC広告のメリット・デメリットをまとめてご紹介しますので、導入の前にはしっかり検討しましょう。
PPC広告最大のメリットは、その費用対効果の高さにあります。なぜなら、クリックされる=Webサイトへのアクセスがあるという状況なので、かかった費用分確実にWebサイトのアクセス数を増やすことができるからです。検索連動型広告であれば、見込み客に向けて広告を表示できるため、コンバージョンにつながるアクセスが生まれます。さらに、ディスプレイ広告であれば視覚的インパクトも高く、クリックされなくても認知度の向上が期待できます。
広告に多額の予算を割くのが難しい中小企業にとって、低コストから運用できるというのは大きなメリットです。上限クリック単価(上限CPC)や予算設定を通して、希望の予算で運用することができます。
例えば検索連動型広告であれば、広告の品質を高めることで、クリック単価を抑えながら広告配信を行うこともできます。
Webサイトへの流入数や、コンバージョン状況を把握できるので、その広告がどのような効果をもたらしたかの効果測定を行うことができます。その結果に応じて広告クリエイティブを調整したり、ターゲティングを見直したりすることで、広告をブラッシュアップできます。
PPC広告はサイトへのアクセス像に効果的な広告ですが、実はアクセス数だけを見ても本来の効果は分かりません。本来は購入や問い合わせなどのコンバージョンを増やすことが大切なので、コンバージョン率に注目した運用管理が重要になります。クリックが50回でコンバージョンが1回の広告よりも、クリックが20回でコンバージョン1回の広告のほうが費用対効果良好です。効果測定をすることで、より費用対効果の高い広告測定ができます。
アカウントを解説し、必要な設定さえ行えばすぐに出稿できる手軽さも、PPC広告の魅力です。広告の停止や修正なども臨機応変に対応できます。雑誌や看板、一定期間掲載型の広告の場合、途中で広告をストップしたり編集したりするのは難しいです。しかし、PPC広告であれば、効果のない広告はすぐに止めたり、実際の効果を見ながら自由に広告を変えたりすることができます。
PPC広告は、運用型広告とも呼ばれます。一度掲載したら終わりではなく、日々の状況を見ながら常に運用していく必要があります。放置したままだと、効果の低い広告ばかりクリックされる状況が続いたり、予想以上のペースで予算が消化されたりと、思うような効果が出ないケースが想定されます。
しかし、運用や管理には担当者の時間と、専門的な知識が求められます。社内に十分なリソースがない場合は、運用代行業者を活用することになり、その分の費用が広告費用以外にも発生します。
広告を出稿している間は集客できますが、配信を止めると流入はストップしてしまいます。本来は、PPC広告に頼らずとも集客できている状態が望ましいです。広告運用だけに頼るのではなく、地道なSEO施策やコンテンツ制作の時間もしっかり確保して、自然な集客も得られるように対策が必要です。
PPC広告で費用対効果を高めるコツを簡単に紹介します。なお、ここではPPC広告の中でも検索連動型広告に焦点を当てて解説します。
ターゲットユーザーの検索意図を想像して、コンバージョンにつながるようなキーワードを厳選の上、広告を出稿しましょう。キーワードによっては、クリック単価が高騰する場合もあります。その場合は、ニッチなキーワードに変更して出稿することで、クリック単価を下げることができます。
広告を表示させたくないキーワードを「除外キーワード」に設定し、無駄なクリックを減らしましょう。実際に配信されたキーワードを一覧表示して、コンバージョンにつながっていない検索語句や対象ユーザーの検索意図とは離れている語句などを見極めて除外キーワードを整理していきましょう。
広告ランクは、入札単価だけではなく広告とランディングページの品質などによって決まります。広告の品質には、広告のクリック率やランディングページとの関連性が影響します。広告ランクが高ければ、同じ広告・キーワードでも低い入札単価で広告が掲載できます。
見込み客がクリックしたくなるよう、広告テキストにはこだわりましょう。できる限りサービスの具体的な内容やメリットを訴求し、広告オプションなども活用して限られたエリア内での情報量を増やすよう工夫します。情報が不足していると、ターゲット外のユーザーまでもがクリックし、その分の費用が無駄になってしまいます。「興味を持ってもらってクリックを増やす」という考えではなく、「見込み客だけがクリックしたくなる」という方向性で広告テキストを考えましょう。
最後に、PPC広告を出稿するまでの流れを簡単に説明します。PPC広告の主な出稿先はGoogle広告かYahoo!広告の検索広告ですが、ここでは主にGoogleでの利用を想定して解説します。
まずは、アカウントを解説します。
Googleの場合は https://ads.google.com/intl/ja_jp/getstarted/
Yahoo!の場合は https://promotionalads.yahoo.co.jp/
から開始します。
アカウントを開設したら、支払い情報の設定なども終えておきましょう。
以下ではGoogle広告の設定方法を解説します。
主にGoogle広告を始めるには以下の4ステップがあります。
それぞれについて説明いたします。
キャンペーンとは、Google広告を管理する単位で、キャンペーンの中に複数の広告を作成し、管理することになります。キャンペーン毎に予算を設定することができますので、商品やサービス、季節キャンペーンごとに分けると運用管理がしやすくなっています。
キャンペーンを作成するときには、目標を選びます。
目標には販売促進、見込み客獲得、Webサイトトラフィック、商品やブランドの比較検討、ブランド認知度とリーチ、アプリプロモーション、設定無し、が選べます。目的をしっかり選んでおくことで、効果を最大化するように運用できます。
キャンペーンタイプも複数から選べますが、検索連動型広告を出稿したい場合は「検索」を選びましょう。
キャンペーンを作成したら、キャンペーン名、ターゲティングとオーディエンス、予算・入札単価、広告のスケジュール、広告表示オプションなど、キャンペーンに関する基本設定を完了させます。この内容は後で変更できるので、まずは深く考えすぎずに進めるのがよいでしょう。
広告グループとは、キーワード・広告文・表示URL・リンクURLをまとめる単位です。各キャンペーンの中に複数設定できるカテゴリのようなものです。PPC広告運用でも最重要な「広告を表示する検索キーワード」を設定します。検索ボリュームや競合の状況を調べ、目的や予算に応じた設定を行いましょう。設定は、後から追加・修正可能のため、悩みすぎないのも大切です。
広告グループを作成したら、広告グループ毎に配信したいキーワードを設定します。広告出稿したいキーワードが決まっている場合は、そのキーワードを設定しましょう。
もし、出稿したいキーワードが決まっていなければ、広告をランディングさせるページからキーワードの候補を取得することも可能です。効果が高いとみられるキーワードを設定しましょう。
最後に、検索結果に表示される広告テキストを作成します。プレビュー画面を見ながら、必要な情報を盛り込んだ広告を作成しましょう。広告文には、CTAという行動喚起を促すキーワードを入れるようにしましょう。(「無料見積もり」や「今すぐ来店」など)
可能であればGoogleとYahoo!の両方で広告運用できると良いですが、現在スマホによる圧倒的シェアを誇るのがGoogleなのでまずはGoogle広告での運用を開始することをおすすめします。
PPC広告は出稿したら定期的に効果測定を行い、キーワードなどを改善していく必要があるため時間や工数がかかります。もし広告の運用で成果が見られない場合は当社でもご支援が可能ですので、広告運用サービスをご検討ください。
どちらも集客を目的としている点では同じですが、検索結果の表示場所やクリック率、費用の有無、成果が出るまでの時間に違いがあります。
SEOは中長期的な施策となるため、すぐに成果が欲しいという場合はPPC広告を行うと良いでしょう。ただ、広告運用とSEOはそれぞれメリット・デメリットがあるため、SEOとPPC広告を併用して運用していくのがおすすめです。
一般的に広告のクリック率は1~2%程度と言われていますが、サイトの業界やジャンル、さらに広告の種類によってクリック率の平均は変わります。
PPC広告は、手軽に始められ高い集客効果が期待できるインターネット広告です。デメリットもありますが、柔軟性やコストパフォーマンスの良さから、多くの方におすすめできる広告といえるでしょう。この記事をPPC広告の基本を理解して、まずは始めてみてください。
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