リスティング広告は広告費を柔軟に設定することができ、かつ掲載の開始、停止も自由に設定することができる広告です。一方で、自由自在に設定することができる反面、様々な機能がリスティング広告では用意されているため、「広告掲載を有効に活用できていない」ケースが多く存在しています。本書では、ご自身でアカウントのセルフチェックと修正ができるよう、費用対効果を改善するポイントをかいつまんでご紹介しております。
みなさんこんにちは。SEOまとめこと片川と申します。
今回は得意のSEOの話題ではなく、2016年8月に導入となったGoogle AdWordsの超重要機能である「拡張テキスト広告」(Expanded Text Ads)についてご案内したいと思います。
目次
端的に申し上げますと、Google AdWordsの広告文をより長く設定できるようになった新仕様のことです。
ざっくり言うと、「広告見出し」(青いリンク部分)が2つ設定できるようになり、その分広告文(説明文)の枠が倍以上になっています。建前上の目的としては「モバイル端末で掲載結果が最大化しモバイル中心へと変化している環境に対応するため」とされています。
既に提供されている広告表示オプションである「構造化スニペット」や「コールアウト」「サイトリンク」などと組み合わせると説明文部分だけで3~4行になることも珍しくなく、キーワードによってはファーストビューでは自然検索の領域が見えません。そのインパクトはGoogleが広告収益を露骨に上げにきたと邪推してしまうほどです。
このように、キーワードによっては自然検索がファーストビューに表示されなくなるほどの表示面積となっています。
普段管理画面にアクセスしない方にとっては今ひとつピンとこない変更かもしれません。
しかし広告枠の文量が増加するというのは我々が想像する以上のインパクトがあるようです。私がお手伝いしているお客様で拡張テキスト広告を適用した際のクリック数やクリック数の変化をお見せしたいと思います。
赤い矢印が拡張テキスト広告を適用したタイミングです。クリック数とクリック率が明らかに向上していることがわかりますね。
ECサイトでもクリック率が極端に変化しました。
いずれのサイトでも一部のライバルが拡張テキスト広告を適用し始めている中で成果を実感することができています。(その分自然検索のCTRが下がっている可能性が高いのですが・・・)
拡張テキスト広告は無料で全アカウントに提供されていますので、これを利用しない手はなさそうです。
さて、拡張テキスト広告の設定方法についても言及しておきます。拡張テキスト広告は既存の広告文とは別に新規で設定する必要があります。また、キーワード広告とディスプレイ広告の両方に設定できます。
まず、既存の広告文はこの機会に全て停止してしまいましょう。前述の通り拡張テキスト広告フォーマットは既存の広告の上位互換と言って差し支えなさそうですので、大胆に切り替えてしまって問題ありません。
既存の広告文全てにチェックを入れて一括で停止すれば簡単ですね。
キーワード広告用の広告グループでは、「広告」タブから管理画面右上の「+広告」ボタンを押すと以下のようなメニューが表示されます。
拡張テキスト広告の設定画面です。モバイル用のプレビューが表示されるようになりました。
右側のプレビューを見ながら設定すればOKです。参考画像のように「パス」欄は実際の着地ページと異なるディレクトリ名でも任意で設定できます。
上記のようにキーワード広告向けの設定はシンプルなのですが、ディスプレイネットワーク(リマーケティングでお馴染みですね)用の広告グループの場合、少し設定がわかりにくいので合わせて紹介しておきます。
ディスプレイネットワークのみの広告グループでは「+広告」ボタンを押しても、キャプチャのような選択肢が表示されてしまい、拡張テキスト向けのメニューが出現しません。そこで、まずは一旦「レスポンシブ広告」をクリックしてください。
すると、右上に「拡張テキスト広告に切り替える」というリンクがこっそり用意されていますので、ここをクリックするとディスプレイネットワーク用の拡張テキスト広告を設定できます。
一点、気を付けていただきたいことがあります。PC向けに広告を配信する場合、「見出し1」と「見出し2」を両方とも文字数上限(全角15文字ずつ)まで設定すると、PCでの表示が途中で途切れてしまうという点です。
見出し1と2の合算文字数が30文字なら設定は可能ですが、PC表示時に末尾が「…」になってしまいます。
パソコンでの表示を重視しないのであれば問題ありませんが、そうでない場合は「見出し1」と「見出し2」を足した時の文字数を全角29.5文字以内(もしくは半角59文字以内)に収めるように注意しましょう。
さて、ここまでご紹介したような設定をご自身で行われている広告主はどちらかと言えば少数派で、多くの企業はリスティング広告向けの広告代理店に運用を任せていらっしゃることかと思います。
もしこのコラムをご覧になるまでに拡張テキスト広告に関する案内をいただいていないようでしたら、今すぐ代理店に相談すべきです。(少し辛口な言い方ですが、一般リリースから1ヶ月近く経過している段階で何のオファーも無いようであればその代理店とのお付き合いそのものを考え直した方が良いかもしれません・・・。それぐらいインパクトの大きな仕様変更です。)
前述の通り全ての広告文を新規で設定する必要がありますので、全てを代理店に丸投げ、というわけにはいきません。広告主として少なくとも以下の2点は確認しておきたいところです。
私も経験があるのですが、上記の2点を共有し検討するだけでも意外と悩ましく、代理店とやり取りを繰り返している内に思いのほか時間が経過してしまうものです。しかし拡張テキスト広告への対応は出来る限り急ぐべきですし、リスティングに限らずWEB広告は多くの場合スピード重視、「走りながら考える」方が良い結果が得られやすいものです。
やり取りにかかる時間を出来る限り短縮するために、私はお客様とのやり取りにこんな(リンク)エクセルシートを使っています。本当に大したものでなくて恐縮ですが、こういったものがあるのと無いのとでは広告主と代理店のコミュニケーションにかかる時間が大分違うと思います。
また、一度このシートを作成しておくと運用の中で広告文を再検討したくなった場合にもいちいち代理店に現状を確認したり管理画面を開いたりする必要が無いので便利です。
広告主の方にはこの欄を使って「訴求したい点」や「NGワード」を伺うようにしています。キャンペーンの構成にもよりますが、一つの広告グループにつき訴求点の異なる広告を最低でも2つ以上設定して成果を比較します。
文字数を確認するセルです。長過ぎるものは赤字になります。J列ではパソコンでの表示時に末尾が「…」として省略されないかどうかもチェックしました。
多くの企業様ですでに似たようなものを利用なさっていることかとは思いますが、一応こちらでも共有しておきますのでアカウント構成に応じて加工してご利用ください。
拡張テキスト広告に切り替えるには、必然的に全ての広告グループを設定し直すことになりますので、AdWordsの運用を全体像から見直す良い機会になることと思います。作業は少し面倒ですが、それに見合った成果が得られるはずですよ。
拡張テキスト広告に関する今回のコラムはここまで。それではみなさん、良いリスティングライフを。
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