今回ご紹介するのは、大手ECサイトにおけるコンテンツマーケティングの事例です。潜在ユーザーからの認知を高めるため、潜在層に刺さるコンテンツの企画・制作を行い、流入キーワード数が半年で2倍、コンバージョン数も1年で150件以上増加しました。
こちらの事例をもとに、コンテンツマーケティングを成功に導く戦略的な設計についてご紹介していきます。
サイトについて
今回コンテンツマーケティングを行ったのは、ペット用品を販売する会社が10年以上運営する、業界内でもトップクラスのECサイトです。
導入の背景
購入に関する機能を充実させるため、2014年にフルリニューアルを実施しました。リニューアルによってユーザーがサイトを使いやすくなった一方で、SEOについて十分考慮されていなかったことが原因で、自然検索からの流入に多大な影響が出てしまいました。
以下が自然検索からの流入数です。リニューアル後、赤枠の通り流入数が激減しています。

サイトの課題
ユーザーにとってより使いやすいようリニューアルをしたものの、新規ユーザーの流入経路である自然検索からの流入数は激減。しかし、リニューアル直後ということもあり、SEOのためのサイト修正にコストを割けない状況でした。つまり、サイトの内部修正以外の方法で、新規ユーザーを獲得する必要があったのです。
戦略的なコンテンツマーケティング
内部修正が行えない状況の中、新規ユーザーを獲得する集客施策として当社からご提案したのは、戦略的なコンテンツマーケティングでした。今回のケースでは、潜在層を見込み客へ育てるため、以下のような戦略を行いました。
ターゲット像に合わせたコンテンツの設計
ペット用品というサービスに対する潜在層・顕在層・顧客層とターゲットユーザーを分類し、それぞれのターゲットの興味・関心に合わせたコンテンツを企画しました。

ターゲットキーワードの設計
次に、企画した記事ごとに、ターゲットとするキーワードを明確に設定しました。コンテンツマーケティングにおける重要な役割のひとつは、SEOによる露出です。良質なコンテンツであっても、ターゲットとなるキーワードが含まれていなければ、自然検索での流入は図れません。企画段階のキーワード設計が、コンテンツマーケティングを成功に導く重要な鍵となります。
リマーケティングの実施
上記2点の戦略的設計を経て、ターゲット層に合わせたペット関連のコラムをサイト内に追加していきました。また、コラムで初回接触を持ったユーザーへのリマーケティング広告を行うことで、見込み客の底上げを促進させました。
成果
自然検索流入数
コラムを追加し始めてから、順調に流入数が増加。さらに、2015年5月のGoogleクオリティアップデートのタイミングで、自然検索からの流入数が大幅に増加しました。これは、コラムの内容が価値あるものとしてGoogleに評価されたことを指します。
自然検索流入数は前年同期比の230%になり、リニューアル前よりも全体の流入数が増加しました。
また、コラムからの流入数は順調に増加し、施策開始(2015年1月)から1年後には、コラムからの流入数がサイト全体の30%を占める結果となりました。

コラムページ配下の流入数が占める割合

様々なターゲットに向けたコンテンツを追加したことにより、流入キーワード数も施策開始時より半年後には2倍となりました。より多くのニーズに対応したサイトになったといえます。
サイト全体の流入キーワード数

コンバージョン
リマーケティング広告を実施したことで、流入だけではなく、コンバージョンでも成果がありました。
コラム記事のアシストコンバージョン数

コラムのアシストコンバージョンは、半年で月間70件以上、1年後には月間150件を越えています。コンテンツマーケティングによるブランディングが成功し、コラムを見たユーザーがサイトのファンになり、購入数の増加につながりました。
また、コラムで初回接触を持ったユーザーへのリマーケティング広告を行ったことで、コンテンツがアシストコンバージョンに大きく寄与する結果となりました。
まとめ
今回のECサイトには、内部修正ができないという大きな制約がありました。しかし、SEOを意識したコンテンツ企画を戦略的に行い、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作り出すことにより、コンテンツマーケティングでSEOを成功させることができました。
また、一度コンテンツを制作したところで終わらせず、定期的にコンテンツを追加していったことがGoogleに評価された要因であったと考えられます。
これからのSEOは、内部施策だけでなくコンテンツが非常に重要です。内部施策を十分に行ったという場合でも、コンテンツマーケティングは潜在客の集客に有効な施策となります。ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。
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