GA4でコンバージョンを計測するには？ キーイベントの設定方法をやさしく解説

GA4の前身であるユニバーサルアナリティクスからGA4に変わって大きく変更となった要素のひとつが「コンバージョン」です。

コンバージョンはWebサイトで成果として計測したいデータ（成果指標）を指し、BtoBサイトであれば資料請求や問い合わせ・会員登録、BtoCであれば来店予約や購入・会員登録など、Webマーケティング施策で効果測定をするうえで非常に大事なデータとなっています。

本記事ではGA4でコンバージョンを計測する方法を解説します。

また、GA4のコンバージョンの名称である「キーイベント」の概要や、キーイベントとして登録すべきユーザー行動を業界別にご紹介しますので、これからWebマーケティングに取り組みたい方もぜひ参考にしてください。

GA4でコンバージョンは「キーイベント」として設定する

GA4では、「キーイベント」を設定することで、ウェブサイトの成果を計測することができます。

ウェブサイトの成果指標である「コンバージョン」ですが、GA4では2024年現在「キーイベント」という名称に変更となりました。※広告と連携した際の広告のコンバージョンは名称は変わらず「コンバージョン」のままとなっています。

名称が変わった経緯としては、アナリティクス上のコンバージョン数値と広告コンバージョン数値の不一致を解消するためとなっており、仕様自体も変わっています。

キーイベントと従来のコンバージョンの違いについての詳細は下記記事にまとめていますのでご覧ください。

キーイベントの設定方法

キーイベントを設定する方法は大きく分けて2つあり、それぞれ以下のような特徴があります。

	GTM（Google Tag Manager）を使用する	GA4のみを使用する
概要	Google Tag Manager（無料のGoogleツール）を使って設定します。最後にGA4でキーイベントとしてフラグを立てることで設定が完了します	GA4を使って設定する
メリット	トラッキングコードなど、計測に使用したいタグ（設定）を一元管理できる 柔軟な設定が可能 設定テストができる	設定画面がシンプルで使いやすい
デメリット	GA4に比べると設定が難しい	複雑な設定はできない
どんな時におすすめ？	GA4で計測していないイベントを計測したいとき ※1	すでにGA4で計測されているイベントを利用して新たなイベントを作成したいとき

※1　GA4で計測していないイベントって？

例えば、ページ閲覧を表す「page_view」イベントはGA4で予め計測されているイベントですが、特定のclass属性タグ（バナーなどある要素に名前を与えたもの）をクリックした人をカウントしたい場合、クリックのイベント自体用意されていないため、GTMでの設定が必要となります。
基本的に「特定のページを見た」といった一般的なコンバージョン指標であれば、GA4で設定するのが初心者におすすめの方法です。

GTM（Google Tag Manager）でキーイベントを設定する方法

GTMでは基本的に「タグ」と「トリガー」を設定する必要があります。また、状況によって「変数」の設定が必要な場合もあります。

そもそもGTMを開いたことがない、GTMの基本的な情報が知りたいという方はまず初期設定を行う必要があるので、下記解説記事を一度ご覧いただき設定をお願いします。

タグとは？

タグはトラッキング コードや関連するコードの総称のことを言います。
特定のイベントが発生したときにタグを起動させるトリガーを設定することで、トリガー条件を満たした時にウェブページ内にタグが反映され、計測ができます。

トリガーとは？

タグを発動させる条件のことです。例えば、資料請求に申し込んだ数を計測したい場合は「資料請求の申込完了ページ（サンクスページ）を閲覧した」がトリガーとなります。

変数とは？

変数は値がその時々で変わるものをデータの箱として用意することです。
例えばページごとにURLが異なる場合や、ユーザーごとに購入金額が異なる場合などに使用します。

【手順1】初期設定が済んでいるか、計測条件は何かを確認

まずGTMで計測するには、GA4の測定IDをGTM内に登録しておく必要があります。
GTMを開き、ログイン後、ウェブサイトの測定IDを登録したコンテナがあるか、確認しておきましょう。

この中に該当のものがない場合、設定の必要があるので、下記記事にて設定してみましょう。

次に、計測条件について確認しておきます。コンバージョン設定で一番多いパターンは「フォーム申込をしたあとのページ表示（サンクスページ）」になると思いますので、
成果を見たいユーザー行動のURL（サンクスページ）を確認しておきましょう。

今回は、以下のような例で登録します。

目的	一致させるユーザー行動
問い合わせ申込完了ページへの到達数を成果指標として計測する	行動自体は「ページ閲覧」 対象ページは、http://digital-marketing.jp/inquiry-list/contact/thanks/

　　　　　　　　　　　　

【手順2】トリガーを登録する

まず、タグの発動条件（計測対象とするユーザー行動）であるトリガー設定を行います。

左メニューのトリガーを選択（①）
登録済みのトリガー一覧が出るので、右上の新規を選択（②）

トリガーの設定エリア内をクリック（①）
トリガータイプの選択で「ページビュー」を選択（②）

トリガーの発生場所を設定（①）。「すべてのページビュー」か「一部のページビュー」が設定でき、「一部のページビュー」にすると、下に詳細条件を設定する箇所が出てきます。今回の場合は”問い合わせ完了ページ”のみのページビューが知りたいので、「一部のページビュー」になります。

発生条件の詳細設定を行います。今回は以下の通り設定しています。

設定内容	設定の意味	指定例
どの項目/要素で	変数の指定箇所です。どんなデータで見るか？を指定します。	PageURL
一致条件の許容範囲	Excelなどでも関数を使用する際によく使う論理演算子です。 値に対して"含む""完全一致""除く"など値をどう扱うかを指定します。	含む
どの値で	指定した変数の中でどの値か？を指定します。	/inquiry-list/contact/thanks/

最後に保存ボタン（④）でトリガーの設定完了です。

【手順3】タグを登録する

タグを選択し（①）、右上の新規ボタンをクリック（②）

タグ作成ウィンドウが立ち上がるので、上部のタグの設定エリアの任意の部分をクリック（①）
右にタグタイプの選択画面が出てくるので「Googleアナリティクス」を選択（②）
さらにGoogleアナリティクスのタグタイプの選択画面に切り替わるので、「Googleアナリティクスイベント」を選択

測定IDでGA4の測定IDを指定します。測定IDはGA4の管理画面で確認ができるのでGA4の管理画面を開きましょう。

測定IDの変数定義について

GA4の測定IDは、事前に変数としてGTM内で定義（登録）しておけば、入力ボックス横のアイコンをクリックすると選択肢に出るので、すぐに指定することができます。
具体的な解説はこちらでは割愛しますが、下記Googleの公式ヘルプページに記載の手順で確認することができます。
⇒ Google公式ヘルプ「アナリティクス測定ID」

GA4の画面で管理を選択（①）
データストリームを選択し、（②）
遷移した画面の右にある「＞」をクリック（③）
詳細画面が出るので、その画面右上に「G-」で始まる測定IDが表示されています。（④）
この数字をコピーしてGTMの測定ID部分に入力しましょう。

GA4の測定IDを入力したら、その下のイベント名を命名します。自由入力で、任意の文字列を入力しますが、ここのイベント名＝キーイベント名となるので、後でレポートで数字を見たり、GA4のイベントで紐づけを行う際に分かりやすいよう、管理しやすい名前にしておくと良いです。

イベント名は英語で設定すべき？

Googleが提供している「LookerStudio（ルッカースタジオ）」という各種Googleの分析ツールやサービスと連携して複合的なレポートが作成できるBIツールでは、「Keyevent（キーイベント）」に関する集計項目があるため、GA4のキーイベントごとに計測値を確認することができますが、キーイベント名が日本語だと集計ができないようです。※2024年8月時点の情報

今後LookerStudioなどGA4以外のツールでもレポーティングをしたいと考えている場合は、イベント名は英字で設定しておくとデータの収集がスムーズにできるでしょう。

次に、画面下部にあるトリガーの設定エリアをクリック（①）
トリガー一覧から選択する画面が出てくるので、先ほど設定したトリガーを選択（②）
タグの設定とトリガーの指定が出来た状態になるので、最後にタグ名をGTM内で管理しやすい形で自由に命名し（③）、保存ボタンを押します（④）。

【手順4】テストを行い、公開する

GTMでコンバージョン設定をする特徴として「事前にテストできる」ことが挙げられます。そのため、テストを行ってタグが稼働することを確認したら公開していきます。

テストの手順は、以下の通りです。

まずタグ一覧画面右上のプレビューボタンをクリック（①）
テストするWebサイトの指定画面が出てくるので、WebサイトのURLを入力し、下のConnectボタンをクリック（②）

以下2つのブラウザタブが立ち上がるので、それぞれ確認していきます。

1. テスト計測用ブラウザタブです。このタブ内でコンバージョンまでの行動を再現しましょう。
2. テスト結果観測用ブラウザタブです。左のエリアに①のブラウザで起こした行動が記録されており、右のエリアに行動履歴ごとに何のタグが計測中となっているのか、見ることができます。

そのため、今回の場合は、①のブラウザで問い合わせを行い、完了ページを表示させた状態で、②のブラウザを見て右のエリアに該当のタグ名が入っているかを確認することでテストができます。

テストを行って確認ができたら、最後にGTM画面右上にある「公開」ボタンを押します。
公開ボタンを押さないとタグが反映されないため、必ず公開作業をしておきます。

バージョン名の指定をする画面が出てきますが、任意の文字列を入力して公開すれば問題ありません。

次はGA4側での設定が必要になりますので、こちらから進んでください。

GA4でキーイベント（コンバージョン）を設定する方法

GA4ではまずカスタムイベントとして登録してからキーイベント化することができます。

管理（①）＞イベント（②）から右上の「イベントを作成」（③）

イベントの作成画面が立ち上がったら、さらに右上の「作成」ボタン（①）から新規イベント作成画面を立ち上げます。

作成画面で以下情報を登録していきます。（②）

カスタムイベント名

管理するためのラベル名。任意の管理しやすい名称を自由に登録できますが、Google公式では英字での命名を推奨しています。あとあとレポートなどで数値を見る時にすぐ分かるよう分かりやすい名前にしておきましょう。

一致する条件

どのような条件で計測するかを指定する。特定のページへ到達した数を計測したいなら、以下のように設定します。

	パラメータ	演算子	値
条件①	event_name	次と等しい	page_view
条件②	page_location	次と等しい	該当ページのURL

条件①は「page_view（ページ閲覧）」というユーザー行動を一致させるために設定しており、
条件②は「特定のページ」を一致させるために条件設定をしています。

他にはどんな設定方法がある？

パラメータは各イベント（ユーザーの行動）が持つ周辺の情報のことで、計測できるパラメータと値の組み合わせは決まっています。
下記Google公式のヘルプにて、どのような組み合わせが設定できるのか、表形式で記載があるので、違う設定がしたい場合は確認してみましょう。
⇒ Google公式ヘルプ「拡張計測機能イベント」

最後に右上の作成ボタンを押せば、ここでの設定は完了です。

【共通】登録したイベントをキーイベントとしてマークする

最後に、キーイベントとして登録する作業です。この作業はGA4・GTMどちらから登録していても行いますので注意してください。

一番左のメニューから管理（①）＞「データの表示」メニュー内にある「キーイベント」を選択（②）
キーイベント一覧が表示されるので、右上の新しいキーイベントを選択（③）

キーイベントの作成画面が出てくるので、キーイベント名を設定します（①）。
キーイベント名は、GA4/GTMそれぞれで設定済みのものと同じものを入力し、保存ボタンを押します（②）。

これで、キーイベントとして登録が完了しました。

GA4でキーイベント数を確認する方法

キーイベントとして登録ができたら、数字を確認しましょう。

GA4の設定＞キーイベントを開く

この画面上に、設定したキーイベント名が出てきます。
但し、確認できる数字はキーイベントとして設定できてから発生したコンバージョン数が表示されるようになっているため、キーイベント（コンバージョン）が発生しない限り一覧に出てきません。

キーイベントが発生するまで待つか、テストでキーイベントを発生させてみましょう。
テストをする場合はIP除外設定をしていると計測されないため、IP除外設定をしていない環境にて行うのがポイントです。

キーイベントの設定がうまくいかない時の確認ポイント

GA4のイベント一覧やレポートにキーイベントが表示されない

設定したキーイベントがどこにも出てこない、という時原因として考えられるのは次の3つです。

それぞれ対処法を記載しておきますので、確認してみましょう。

登録してからまだ時間が経っていない

GA4に反映されるまでに最大48時間かかると言われています。まだ48時間以上経っていない場合はもう少し時間を置いてから見てみましょう。

登録したイベントをキーイベントとしてマークできていない

この場合、イベント一覧には出てきますが、キーイベントとしては計測できていないため、確認しても出てきません。こちらから設定を完了させてください。

GA4で見たキーイベントの数が合わない場合

キーイベントとして登録できたことは確認できたけど、数字がおかしい？と思った時に考えられるのは次の3つです。

IP除外設定をしている

社内アクセスを計測しないようにする、など一部のIPからのアクセスを除外設定している場合があります。下記から設定を確認してみましょう。

例外的にデータ取得できないケース

ブラウザの拡張機能等で計測をブロックされているなど、ユーザー側で計測されないように設定されている場合や、サンクスページ閲覧を一致条件にしている際にフォーム申込 ⇒ サンクスページ表示までの間にサイトから離脱した（ページを閉じる）場合など、計測が正しく行われないケースもあります。

計測方法によるズレ

GA4のイベントはカウント方法を以下2つのどちらかに設定することができ、Googleでは後者のイベントごとの設定を推奨しています。

• セッションごと（旧UA時のカウント方法）
• イベントごと（条件を満たすユーザー行動が行われるたびにカウント）

イベントごとの場合、例えば”閲覧”という行動を条件としたイベントなら同ユーザーがページをリロード（再読み込み）して表示させる度にカウントされていきますが、セッションごとの場合はセッションが切れない限り何回リロードしても1回しかカウントされません。

このように旧UA時代と比較するとイベントごとのカウントにするとキーイベントは増えやすい傾向にあるため、差異を感じることがあります。

設定内容のミス

一致条件として設定した値（URL）やパラメータとの組み合わせなどに誤りがないか確認し、必要に応じて修正しましょう。

登録内容を間違えた！キーイベントを削除したい時は？

キーイベントを削除したい場合はGTMとGA4どちらで設定したかで異なりますので、登録したほうで削除してください。

但し、不用意にキーイベントを削除したことで本来削除したくなかったイベントを削除してしまうことも考えられます。

完全に削除してしまうと、それまでに計測していたデータが消えてしまうので、削除は慎重に行いましょう。

キーイベントとは

キーイベントはGA4で新しく登場した概念「イベント」の一種で、ユーザーが起こした行動のうち重要とするもの（成果指標としたいもの）を意味しています。

GA4の前身である「Universal Analytics（通称：UA）」では”コンバージョン（CV）”という名称でしたが、Google広告のコンバージョンと差別化をするために現在は”キーイベント”になったとされています。

何故「キーイベント」として登録する必要があるのか

キーイベントとして登録することで、GA4の各種レポートで成果指標のみを計測できるためです。

• 標準レポートにキーイベントの列がある
• 探索レポートでもキーイベントの指標がある

このことから、イベントの中でも成果として計測したいものを分けて計測し、表示することで、Webマーケティングのゴール（＝成果）への到達度合を簡単に可視化することができます。

【業界・サイト別】キーイベントにおすすめの指標

こちらでは、そもそもサイト内で何をキーイベントにすれば良いか分からないという方のために、業界やサイト種別ごとにおすすめのキーイベント内容をまとめました。

現在用意されているWebサイト内のページと照らし合わせてキーイベント設定に使用したり、今後必要なキーイベントとしたいWebページの確認に使用したり、ぜひ活用してみてください。

キーイベントは基本的に申込完了ページといった、成果とする行動を最後まで行ったページを評価対象としますが、その他にもひとつ前の段階である申込ページへの遷移をキーイベントにすると、

• どのくらい申込完了まで行かずに離脱しているか
• 申込に興味を持ったユーザーがどのくらいいるか

といった情報が簡単に分かるようになるので、重要度の高いページは設定してみると、ただのキーイベント数の確認から一歩進んだ分析ができます。

BtoBサイト（商材が企業向けのWebサイトを運営している方）

BtoBサイトの目的は以下2つが主なものです。

1. Webサイトで提供している情報に興味を持ったがサービスそのものをまだ検討していないユーザー＝見込み顧客の獲得
2. 問い合わせを獲得する

そのため、目的から考えられるキーイベントは以下となります。

資料請求（サービス資料/お役立ち資料など）	資料申込はBtoBにおいて、見込み顧客を獲得するために非常に重要なコンテンツです。 資料請求から見込み顧客リストを創出し、増やしていくことで営業のアタックリストや、見込み顧客を”育成”して見込み度を上げていく”ナーチャリング施策”にも利用することができます。	【設定条件】 各資料請求の申込ページを閲覧 申込完了ページを閲覧 メルマガ登録申込完了ページなどもあれば該当
問い合わせ	どのサイトにも絶対に置いておくのが問い合わせです。Webサイト開設時は必ずページを用意しましょう。	【設定条件】 問い合わせの申込ページを閲覧 申込完了ページを閲覧 電話番号をタップ
商品ページ	メーカーなど、商品をWebサイトで紹介しているケースも多くあります。 商品ページを見ている＝サービスに興味を持っているので、重要度の高いページとなっています。	【設定条件】 商品ページの閲覧

BtoCサイト（商材が一般消費者向けのWebサイトを運営している方）

BtoCサイトも目的としてはBtoBと同様、以下が目的になってくると思います。

• 資料請求から見込み顧客を獲得
• 問い合わせや申込/予約を獲得

そのため、キーイベントについてはBtoBの表を見ていただくと分かるかと思います。

ただし、問い合わせ関連についてはサービスによって

• 申込
• 来店予約
• オンラインストアへの遷移
• アプリダウンロード

といった形にもなるので、ご自分のWebサイトと置き換えて考えてみてください。

ECサイト

ECサイトは一番の目的が購入であることは間違いないため、購入に関わる以下ステップをキーイベントとするのがおすすめです。

• 会員登録
• カート追加
• 購入完了

おわりに

GA4でのコンバージョンを計測する方法として、キーイベントの設定方法を解説しました。

GTM・GA4それぞれのやり方があり少し迷われるかと思いますが、複雑なことをしないようであればGA4で十分できると思いますので、難しく感じた方は一度GA4で設定してみるのがおすすめです。

キーイベントは成果を見るというWebマーケティングにおいて最も重要な要素となっているので、正しく計測して分析から改善に活用していきましょう！