PDCAとは、1950年代に統計学者のW・エドワーズ・デミングが提唱した管理業務や品質管理の効率化を目指す手法のことです。現代の日本において、どのような業種・職種でも取り入れられている傾向にあるため、ご存じの方も多いでしょう。
PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもので、この4つのプロセスを繰り返し行い循環させることで、マネジメント品質を高める狙いがあります。この循環は「PDCAサイクル」と呼ばれることもあります。
従業員一人ひとりがKPI(重要業績評価指標)に向けた目標を達成するために、PDCAサイクルを上手く活用すれば、中期経営計画や会社の業績の達成が期待できるという仕組みです。
PDCAの最初のステップとなるPlan(計画)は、PDCAサイクルの成功を左右する非常に重要な箇所です。Plan(計画)では、これから実行する計画の立案を行います。
最初に最終的な目標を決定し、それを実現していくための手法や評価基準を決定していきます。ここでポイントとなるのは、5W1H(誰が・何を・なぜ・どれほど・いつまでに・どのように)の具体化と達成可能な目標設定の2つです。
また、計画の精度を高めていくためには、理由付けになるデータの収集や仮説の策定なども必要です。
Do(実行)では、Plan(計画)で計画したものを実行してきます。
ここで重要なポイントは、実行したものを記録せずに、そのままにしないということです。次の段階のCheck(評価)で実行した内容を正確に評価できるように、具体的に実行内容を記録するようにしましょう。
あらかじめ指標を選んで数値化しておくことで、評価者の主観が入り込まず、客観的な評価をすることができます。
Check(評価)では、Plan(計画)で設定した目標がどの程度達成できているのかを評価します。
この箇所では下記の項目を確認し、目標としているものに対しての課題や解決案、アクションが正しいものなのかを検証していきます。
Check(評価)では、なるべく数値を用いて具体的な評価をするようにしましょう。数値化できないような項目でも、アンケート調査や行動に関して発生する数値を用いれば、間接的な数値化が可能です。
Check(評価)の精度が高いほど、次のステップAction(改善)における改善効果も期待できます。
Action(改善)は、前段階のCheck(評価)で明らかになっている分析・検証課題について改善点を考えていくステップです。
改善点を考える際には下記の選択肢などを用いて、この先の課題などを検討していきましょう。
PDCAには下記のようなメリットがあると言われています。
目標やその目標を達成するためのアクション、評価項目を明確に定めているため、無駄なアクションや思考を省くことができます。また、PDCAサイクルが循環するたびに、解決すべき課題が明らかになっていくため、次の目標や行動を決定しやすくなります。
PDCAサイクルでは設定している目標に向けて計画的に行動し、成功や失敗も定量的に評価します。そのため、不足している行動や行動の達成度合いなどが明確になり、さらに改善していくための行動や目標を立てやすい点もメリットです。
今まで説明してきたように、PDCAサイクルは成果改善などに非常に有効な手法ではあるものの、近年ではPDCAはもう古いと言われています。
PDCAが古いと言われる理由の1つは、Plan(計画)で時間がかかりすぎてしまい、スピード感のある改善を実施していけないからです。市場のニーズは常日頃から変化しており、PDCAサイクルではそのスピード感に対応できないと言われています。
PDCAサイクルは、最初のステップのPlan(計画)で目標の設定やそれに対してのアクション、評価指標などを決定する必要があり、どうしても時間がかかってしまいます。その結果、次のステップDo(実行)の段階では市場のニーズが変化してしまっており、また最初のステップPlan(計画)からスタートしなければいけないという現象が多く発生してしまいます。
こういった面があるため、PDCAサイクルは古いと言われているのです。
PDCAサイクルはすでに実行した業務に対して、評価と改善を繰り返し、改善させていく手法です。しかし、PDCAサイクルには新しい着眼点を取り入れる隙がないことから、目新しいアイデアが生まれにくいと言われています。
今ある状況からさらに成果を伸ばしていくとなると、競合よりも魅力的な商品・サービスを作り出す必要があり、場合によっては前例のない取り組みが必要になります。その場合、新しい取り組みを導入しづらいPDCAは不向きなため、現代では古いと言われている原因となっています。
PDCAサイクルが古いと判断され始め、近年ではOODAループ(ウーダループ)が主流になりつつあります。
OODAループとはObserve(観察)、Orient(状況判断/方針決定)、Decide(意思決定)、Action(行動/改善)の頭文字を取ったもので、「OODAループ(ウーダループ)」と言われており、問題解決のメソッドのことを言います。
元々は戦闘機パイロットのために編み出された手法で、PDCAのように計画を立てるのではなく、今ある市場の現状を分析し、意思決定、行動に移していきます。そのため、PDCAサイクルでは対応できなかった流動的な市場ニーズにも対応できると言われています。
Observe(観察)は現在の状況や物事を観察し、情報を収集していくステップです。一般的には現場の担当者自身が観察を行い、「生のデータ」を収集していきます。
観察には以下のような具体例があります。
<例.1>
<例.2>
<例.3>
Observe(観察)で観察・調査するときに重要なのは、過去の経験則から決めつけを行わないことです。ありのままの情報を受け入れ、柔軟に立ち回ることが大切です。
Orient(状況判断、方針決定)では、Observe(観察)で集めたありのままの情報を分析していきます。集めた情報を整理し、今はどういったことが起きているのかを理解し、行動の方向性を考えていきます。
前項で記載した例に当てはめると下記のようになります。
<例.1>
<例.2>
<例.3>
上記のように、Observe(観察)で集めた情報をもとに、状況を整理し、それに基づいた行動の方向性を決定していきます。
Decide(意思決定)では、Orient(状況判断、方針決定)で考えた行動方針を決定していきます。
前項で記載した例に当てはめると下記のようになります。
<例.1>
<例.2>
<例.3>
OODAループは、流行り廃りの激しい市場ニーズへ素早く対応し、成果を出せるメリットがあります。そのためPDCAのように丁寧に時間をかけるのではなく、最速の対応で最大の成果を得られるように決定いくことが大切です。
Action(行動・改善)では、実際に行動していきます。また、行動するだけではなく、次回ループのObserve(観察)も実施していきます。
前項で記載した例に当てはめると下記のようになります。
<例.1>
<例.2>
<例.3>
上から2番目上の例では、Action(行動・改善)を行った結果、想定よりも獲得単価が高いという結果になりました。
この場合は、次回のOrient(状況判断、方針決定)は、「地方にいるユーザーは自社商品に興味があるが、実際に商品を見てみて決めたいのではないか」、「地方に店舗を展開するのはどうか」などのOrient(状況判断、方針決定)をすることができます。
このようにAction(行動・改善)と共にObserve(観察)を実施することで、次回の行動方向をスピーディーに決めることができるため、Action(行動・改善)では次回のObserve(観察)を実施するようにしましょう。
PDCAサイクルとOODAループの違いの1つとして、サイクルの柔軟性があります。
PDCAサイクルは通常、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の順序に沿ってサイクルを回していきます。自社のビジネスモデルや専門部署の方向性に最も適したサイクルを、社内環境を考慮しながら目指していくことが特徴です。
しかしOODAループでは、臨機応変にフェーズを変更することが可能です。その場の成果や状況などを考慮して、その都度前の段階に戻ってループを再開したり、任意の段階からループを再スタートしたりと、サイクルにとらわれず柔軟に対応できます。また、PDCAサイクルとは違い、社内環境だけではなく、業界や市場の動向といった外的変化を考慮する点も特徴の1つです。
OODAループはどの業界でもマッチする方法とされていますが、スピーディーに対応できる特徴を最大限活かすことができるのはWEB業界ではないでしょうか。
WEB業界はその日その日で市場のニーズが変化していき、次々に新しい流れなどが発生していきます。その中で、今回ご紹介したOODAループは最適な方法だと言えるでしょう。
OODAループを実施した末に、何を目指しているのかを社内メンバーに共有することで、全員が当事者意識を持ち、新たな視点での観察や行動方向が見えてきます。また、ゴールを共有していない場合、会社と従業員間でギャップが生まれてしまい、OODAを上手く回すことが困難になってしまいます。
検討の時間を多く取ってしまうと、特徴であるスピード感を活かすことができなくなります。実際に行動した結果を踏まえて、内容を見直すことが出できていれば、問題はありません。
ただ、情報収集や状況判断などはしっかりと時間をかけて行う必要があります。その結果を踏まえた方向性であれば、心配せずに行動してきましょう。経験や情報が蓄積されていくと、自然とOODAループの精度は上がっていきます。
当記事では、PDCAサイクル、OODAループについてご紹介してきました。最後に両手法について、おさらいしましょう。
【PDCAサイクル】
【OODAループ】
PDCAは、PDCAサイクルは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)の順にサイクルを一方向に回していくのに対し、OODAループでは、その場の成果や状況など、必要に応じて前の段階に戻ったり、任意の段階からループを再スタートすることが可能です。
PDCAサイクルでは成果の向上が見込めないなどの状況や、もっとスピード感を持って施策を進めていきたいなどの状況であれば、当記事を参考にOODAループを試してみてはいかがでしょうか。
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