様々な種類や規模の制作プロジェクトのディレクションを行っておりますが、ホームページ制作においてペルソナを積極的に活用する機会にはあまり恵まれませんでした。
もちろん、ペルソナを作成・提案したことはありますし、クライアントから共有されたこともあります。しかし資料として時折確認するぐらいで、ペルソナが話題の中心となるミーティングはあまりなく、ターゲットの方がより活用されることが多かったのが実情です。
昨今では「ペルソナはもういらない、古い」といった記事や考察を見かけることが多くなりました。新しい考え方やツールも次々と誕生しており、使い古された感があるのだと感じています。
やはりペルソナという考え方は古く、要らない設定・ツールなのでしょうか?
直近のホームページリニューアルプロジェクトにおいて、ペルソナの活用方法と有用性にふれる機会がありましたので、改めて活用方法を考察していきたいと思います。
ペルソナとは
そもそもペルソナとはなんでしょうか。
ペルソナとは、製品やサービスを利用する架空のユーザー像です。エンドユーザーやお客様における個々の行動を分析し、最適なマーケティングを導き出すためのツールとして設定されるものです。
具体的には架空の人物を名前、家族構成、趣味…など細かく設定していき、さも実在するかのような人物像を作りあげていきます。
一度設定したペルソナは、環境や状況の変化に合わせ、定期的なブラッシュアップを行います。
ペルソナとターゲットの違い
プロジェクトにおいてよく見かけるターゲットとペルソナにはどのような違いがあるのでしょうか。
端的にお伝えすると、「集団」と「個」の違いです。ターゲットは「10代~20代前半」と大きな集団で設定されることがほとんどですが、ペルソナは「○○さん 46歳」と「個」を設定します。複数人設定することが多いですが、設定したペルソナを一つの集団として見ることはありません。
ペルソナ設定のメリット
様々なメリットがありますが、一番のメリットは「共通イメージ」を確認することができ「共通認識」をもってプロジェクトを進めることが出来ることです。認識の相違はプロジェクトの後半で問題を引き起こすことが多く、ホームページ制作においても同様です。
ペルソナの設定方法
ネット上にあるペルソナのサンプルにプロジェクト固有の項目を追加していくと、手間をかけずに簡易的なペルソナが設定できます。
本サイトの『マーケティングに欠かせないペルソナ設定の方法とサンプル5選』には、より詳しいペルソナの情報とサンプルが載っていますので、ぜひ活用してみてください。
中小規模ホームページ制作におけるペルソナ
知り合いのディレクターや同僚にも聞いてみましたが、そもそも中小規模の案件ではペルソナ設定自体をあまり行わないという意見が多く見られました。
設定方法は知っている、設定したことももちろんある、といったディレクターは多いのですが、活用方法まで聞いてみると明快な答えを持っている人少数でした。
クライアントとのやり取りにおいても、ペルソナへの理解は示してくれますが、その後の活用方法まできかれることはあまりありません。結果チームとしてペルソナ設定を持て余すシーンがたびたび見られました。
活躍するターゲット
それに比べてターゲットは会話においてもよく使われ、どのプロジェクトでも大活躍します。
「集団」であり具体性が緩いターゲットの方が、何かと便利で使い勝手が良いからだと思います。
私も過去多くの案件においてターゲットを有効活用することが多かったです。しかし最近になり「よりプレないスムーズな進行、手戻りのない製作」を目指すようになってから、ペルソナの重要性と活用方法を意識するようになりました。
ペルソナは制作チームの味方
ペルソナは活用方法によっては、クライアントを含めた制作チームの強い味方となります。
ペルソナが一番役に立つ場面とは
判断に迷う場面や意思決定の必要性があるシーンにおいて、ペルソナが設定されていることにより、スムーズな意思決定を図ることが可能です。
上司を説得させるためのカードの一つとなる
ペルソナ設定に重きをおいてプロジェクトを進めれば、上司や外部メンバーの意見に対して、説得するための材料の一つとなりえます。
目的から外れることを防ぐ
長期プロジェクトの場合、本来の目的から外れてしまうことがよくあります。定期的なペルソナのブラッシュアップを行なうことにより、本来の目的の再確認機会が増え、大きなブレを未然に防ぐことができます。
製作スタッフの独りよがりを防ぐ
制作チームは自分達の経験・知識や知人・調査した内容を元にイメージを膨らませ最適解を作りあげていきます。ペルソナ設定をチームに追体験させることにより、リアルに近しいイメージを持つことができ、クライアントのイメージに近いクリエイティブが完成します。
ペルソナを活用するための具体的な準備・方法
ペルソナ設定の強みをより、活かす方法を考えてみました。
実際にペルソナに近しい人物を探す
まずはペルソナに近しい人を探しだし、ペルソナ化してください。説得力が違います。クライアントの営業担当の方に、さしつかえない範囲で教えていただくなど、より現場に近いところから情報を集めてください。
教えてもらった人物情報をもとに、ペルソナ化のプロセスを踏むことで、よりチーム内の共通イメージと認識が深まります。
個性を持たせる
設定項目はより詳細にし、個性を持たせましょう。いわゆるキャラクター設定レベルまで落とし込むと、強い個性が出てきます。口癖や癖などもきめると親しみがでて、チーム内にて忘れられない存在になります。
また詳細設定の中でもとくに重要視したいのは、情報への接点です。情報を得るための媒体やツールをより具体的に、「いつ、どのタイミングで接するのか」まで落とし込んでペルソナ設定を行なってください。
ミーティングにて積極的に登場させる
設定したペルソナ達は、意識してミーティングに登場させましょう。チーム全体で「●●さん(ペルソナの名前)ならどう思うかな?」と発言することで、ペルソナの存在価値が増していきます。決裁権をもつ上司への説得に大いに活躍してもらうためにも、意識してロールプレイに参加してもらいましょう。
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さいごに
すべてのプロジェクトにペルソナが必要というわけではありません。必要に応じてペルソナ設定を行なっていただければと思いますが、難航しそうなプロジェクトほど、チームで育てたペルソナが活躍してくれると思います。
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