皆さんこんにちは。SEOまとめこと片川と申します。
フリーランスのWEBマーケッターとしてほそぼそと活動しております。このたび、私の古巣であるディーエムソリューションズさんが運営する「デジタルマーケティング研究所」にSEOの記事を寄稿させていただくことになりました。
「なるべく実践的な記事を」ということでリクエストいただいておりますので、初回となる今回は(次回があるかはわかりませんが)昨今SEO界隈のプレイヤーを悩ませている「(not provided)」問題にアプローチするユニークなテクニックをご紹介したいと思います。
目次
自然検索を通じた流入における検索キーワードが、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツール上で「(not provided)」と表示されてしまい取得できなくなってしまう問題です。検索エンジンがSSL化され検索クエリをアクセス解析ツールに渡せなくなってしまったことが原因となっています。
2011年にGoogleが常時SSLを導入したのに続き、2015年8月にはYahoo!Japanも常時SSL接続化を発表。これにより、現在では日本国内の2大検索エンジン経由の検索クエリを分析することが非常に困難となっています。
※ Google、Yahoo共に流入キーワードが「(not provided)」としてひとくくりにされてしまう
ご存知の通り、GoogleはSEO専用のツールとして「Google Search Console(旧:ウェブマスターツール)」を無償提供しており、このツールの「検索アナリティクス」機能を使えばGoogle経由の流入キーワードデータを閲覧することが可能です。(もちろんこのツールでもYahoo!Japan経由のキーワードは提供されません)
※上記は筆者が運営する残念サイト、「青汁モンゴル」におけるGoogle Search Consoleの「検索アナリティクス」データ
この機能の最大の問題点は、「コンバージョンと結びつけて流入キーワードを閲覧できない」ことです。(Search Consoleは各種アクセス解析ツールとは別系統のツールであり「コンバージョン」の概念が存在しないため)
従来、SEOにおける改善活動の原則は、「コンバージョンし易いキーワードをできる限り上位表示させ、なおかつコンバージョンに繋がっていないキーワードでもユーザーに興味を持ってもらえるようにサイトの中身を修正する」ことでした。
従ってそもそもコンバージョンにつながったキーワードを取得できないのでは、Search Consoleの「検索アナリティクス」機能も残念ながら不十分と言わざるを得ません。
さて、ここからが本題です。結論から申し上げますと、かなりアナログな方法ではあるものの、GoogleアナリティクスとSearch Consoleの両者を活用することでGoogle自然検索経由のコンバージョン・キーワードをある程度類推するテクニックが存在します。そのおおまかな手順は以下の通りです。
Googleアナリティクスのレポートから「集客」→「キャンペーン」→「オーガニック検索キーワード」の順に遷移します。
アドバンスセグメントを「コンバージョンに至ったユーザー」に。「お問い合わせ」と「見積り依頼」のようにコンバージョンポイントが複数存在するサイトの場合はカスタムしてそれぞれ専用のセグメントを作成・適用してください。
表示メニューのうち、「ランディングページ」を選択します。
これで、指定期間におけるコンバージョンに至ったユーザーのランディングページが抽出されました。キーワードが見えない現状ではこれだけでもかなり有益なデータなのですが、今回の本題はここではありません。<
この後の準備のため、「セカンダリディメンション」から「参照元/メディア」を選択してください。
気になったランディングページを選択します。
表示されたランディングページの一覧の中から、特に気になるものをクリックしてください。(初めて試される時はコンバージョンが多く発生しているランディングページを選択するのがわかりやすいです)
この時、「参照元/メディア」が「yahoo / organic」のものではなく「google / organic」のものを選択するように注意してください。この後Search Consoleのデータと突き合わせを行うのですが、先にお伝えした通りSearch ConsoleにはGoogleのデータしか入っていないためです。
さて、ここでは試しに上記のうち、「/effect/rough-skin/」をクリックしてみます。
コンバージョン情報がさらに絞りこまれました。ページ中段の折れ線グラフには「/effect/rough-skin/」をランディングページとしてコンバージョンした数のみが表現されていることになります。
ここでSearch Consoleの出番です。「検索アナリティクス」機能に用意されている「ページをフィルタ」機能を開き、当該ランディングページのURLを入力してください。
すると、そのランディングページにおける流入キーワードのみが表示されます。このうちクリック数が上位のものは確率的にコンバージョンにつながっている可能性が高いことは直感的に理解できると思います。ここまで利用してきた私のサイトの例では「青汁 ニキビ」は意外とコンバージョンするキーワードなのかな?などと推察できます。
※当該ランディングページへの流入キーワードの多くが「青汁 ニキビ」だった。
コンバージョンの数自体がさほど多くないサイトやランディングページでは、さらに精度の高い情報が得られる可能性があります。そのためにはデータ取得期間を思い切って絞り込むことです。
このサイトの例では、9月20日にコンバージョンが3件発生していました。Search Consoleの「検索アナリティクス」機能ではランディングページに加えてデータを閲覧する日付も絞り込むことが可能ですので、これを利用して9月20日のデータのみが表示されるようにします。
10回のクリック中3件のコンバージョンで、流入キーワードは上記のような内訳となっています。「青汁 ニキビ」もしくは「青汁 肌荒れ」はなかなか良いキーワードであるという推測が確信に近づいてきましたね。
さて、おおよその使い方はご理解いただけましたでしょうか。少し面倒なようですが、ブラックボックス的存在だった「(not provided)」がある程度身近に感じられたのではないでしょうか。
ここまでご覧いただいた方はすでにお気づきかもしれませんが、この手法は万能ではありません。利用時の注意点を補足しておきます。
例えば毎日数十件の購買が発生するようなECサイトでは、コンバージョンの数そのものも流入キーワードの種類も膨大となるため、いくら日付やランディングページを絞り込んでも突き合わせを行うことが困難です。
流入キーワードの分析をSearch Consoleに頼っている手前、Yahoo!Japan経由のコンバージョン・キーワードを類推することはできません。
反面、比較的小規模で自然検索流入の多くがGoogle、というサイトでは非常に有益です。顧客リードの獲得を目的としたコーポレートサイトなどが代表例かと思います。実際に私も、ITソリューションベンダー業を営むお客様を対象に、このテクニックを応用したキーワード分析を実施しています。
さて、最後は私からのリクエストです。上記のロジックを用いたWebツールができればなあ、と感じることがよくあります。実際に日々のコンバージョン・データを手動で全て突き合わせるのは事実上不可能なためです。
折しも、ちょうどつい先日GoogleSearch Consoleの「検索アナリティクス」のAPI提供が開始されたばかりなのです!
こちらとGoogleアナリティクスのAPIを連携させ、日次ベースでGoogle経由のコンバージョン・キーワードの類推を表示するツールを開発することは理論上可能かと思います。
BtoB系の商用サイト向けに「(not provided)の中身を見れる」という触れ込みでWebツールを提供すれば、月額課金でも利用してみたいWebマスターやマーケティング会社の方は相当数いらっしゃると思うのですが・・・ディーエムソリューションズさん、いかがでしょうか?(笑)
あ、今そのツールいいね!と思った方はぜひこの記事をシェアしてくださいね。
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