2024年3月、Googleアナリティクス4(GA4)の「コンバージョン」は「キーイベント」に名称変更されることがGoogle公式よりアナウンスされました。
2024年4月時点で、すでに各GA4プロパティへの展開が徐々に進んでおり、画面の表記が変わっていることを目にした方も多いでしょう。今回の変更は指標の名称が変更されるだけで、内容が変わるわけではありません。したがって、新たな対応は不要です。
ただ、名称が変更された理由やそれぞれの指標の違いまで知っておくと、理解がより深まります。この記事では、今回の名称変更の概要や理由についてご紹介していきます。
※本記事は2024年4月時点の情報に基づいて執筆しております。
GA4の仕様は常にアップデートされるため、Googleによる最新情報も併せてご確認ください。
キーイベントとコンバージョンの概要
キーイベントとコンバージョンは、Googleによって次のように定義されています。
- キーイベント:Googleアナリティクスでビジネスの成功にとって特に重要なアクションを測定するイベント。
- コンバージョン:GoogleアナリティクスとGoogle広告の両方で重要なアクションを測定する一貫した方法。
GA4のキーイベントとは
キーイベントとは、その名の通り、あらゆるイベントのうち重要なアクションを計測するイベントのことを指します。
例えば、あなたのサイトが顧客からの問い合わせをゴールとしている場合、「お問い合わせの完了」がキーイベントに相当します。これまでのコンバージョン設定と同様に、GA4の管理画面から「キーイベントとしてON」を設定することで計測ができます。
GA4のコンバージョンとは
コンバージョンとは、Google広告における重要なアクションのことを指し、マーケティング戦略や広告キャンペーンの最適化に利用します。
なおコンバージョンは、GA4のキーイベントに基づいて作成することができます。
例えば、先述のキーイベント「お問い合わせ完了」が広告のパフォーマンスの測定に重要である場合は、このキーイベントに基づいてGoogle広告のコンバージョンを作成するとよいでしょう。
これにより、GA4とGoogle広告の両方で一貫した重要指標を設定できます。
コンバージョンからキーイベントに名称変更された理由
今回の名称変更が行われた理由は、GA4の従来のコンバージョンとGoogle広告のコンバージョンの間で、数値の不一致がたびたび生じていたためです。
これは、それぞれのコンバージョンが異なる計測仕様であることに起因します。この数値の食い違いを解消するため、明確に区別できるよう名称変更が行われたというわけです。
なお、先にも記載している通り、GA4のキーイベントをGoogle広告にエクスポートしてコンバージョンを作成することができるので、今後は一貫したコンバージョンベースのレポートを表示できるようになります。
なぜ従来のコンバージョンでは数値の不一致が生じていたのか
そもそも、なぜGA4とGoogle広告の間でコンバージョンの数値に食い違いが生じていたのでしょうか。両者の計測仕様の違いについて細かく解説します。
カウント方式の違い
GA4とGoogle広告で、コンバージョンの設定できるカウント方式が異なります。
具体的には下記のとおりです。
- GA4:デフォルト設定では発生したコンバージョン「全件」をカウント ※セッションごとのカウントに変更可能
- Google広告:「広告クリックごとに1回」もしくは「全件」カウントに設定可能
設定しているカウント方式によっては、コンバージョン数値の不一致が生じることになります。
CVが関連付けられる日時
GA4とGoogle広告で、CVが関連付けられる日時が異なります。
具体的には下記のとおりです。
- GA4:コンバージョンが完了した日時
- Google広告:デフォルト設定では広告をクリックした日時 ※コンバージョン完了日に変更可能
Google広告のレポート設定によっては、コンバージョンの発生日にずれが生じることで、食い違いが発生することがあるでしょう。
計測タグの違い
GA4とGoogle広告で、計測の起点となるタグが異なります。計測システム自体が異なるため、数値の不一致が生じることがあります。
アトリビューションの違い
アトリビューションとは、コンバージョン達成までの経路を分析し、各チャネルがどの程度コンバージョンに寄与したのかという貢献度を割り当てて分析する手法のことです。
ユーザーがサイトを訪れて即座にコンバージョンすることは少なく、複数の経路(チャネル)を経由していることが多いため、貢献度の高いページやコンテンツを知ることでコンバージョン改善に活用することができます。
GA4とGoogle広告では、複数経路をたどった場合のカウント仕様が以下の通り異なります。
- GA4:ラストクリックが発生したチャネルでカウント ※各チャネルの貢献度を考慮したレポートモデル(データドリブンアトリビューション)も利用可能
- Google広告:広告をクリックした後に他の経路をまたいだとしても広告でカウント
GA4とGoogle広告では、成果が発生するチャネルが異なるため、数値の不一致につながります。
トラッキング設定の影響
GA4とGoogle広告では、同じトラッキング方法を利用しているわけではありません。したがって、Cookieなどセッションをトラッキングするための機能をユーザーがブロックしている場合、片方ではカウントが記録されないなど、両者の数値に不一致が生じることがあります。
GA4のキーイベントからGoogle広告のコンバージョンを作成できる
先述の通り、GA4のキーイベントに基づいてGoogle広告のコンバージョンを作成することができ、これにより両者で一貫したコンバージョンベースのレポートを確認できます。
ここでは、キーイベントからコンバージョンを作成するまでの手順について解説します。
GA4とGoogle広告を連携させる
連携のためには、GA4とGoogle広告それぞれで次の権限レベルが必要になるため、事前に確認しておきましょう。
- GA4:プロパティの編集権限
- Google広告:GA4と同じGoogleアカウントでの管理者権限
必要な権限を確認できたら、下記の手順で連携を行ってください。
- GA4の[管理] > [サービス間のリンク設定] > [Google 広告のリンク]をクリック
- [リンク] をクリック
- [Google広告アカウントを選択] をクリックし、リンクする Google広告アカウントを選択
- [確認] をクリック
- [次へ] をクリック
- [自動タグ設定を有効にする] オプションを展開して、自動タグ設定を有効にするか、自動タグ設定が維持されるようにします
- [次へ] をクリックし、設定を確認します
- [送信] をクリックすると連携が完了します
Google広告内でキーイベントをインポート
連携が完了したら、下記の手順でキーイベントをGoogle広告にインポートしてください。
- Google広告アカウントにログイン
- 画面右上の [ツールと設定] をクリック
- [測定] > [コンバージョン] をクリック
- [+ 新しいコンバージョン アクション] をクリックします。
- [インポート] > [Google アナリティクス 4 プロパティ] を選択して、[続行] をクリック
- インポートするコンバージョン イベントを選択し、[インポートして続行] をクリック
- [完了] をクリックするとインポートが完了します
なお、キーイベントでない通常のイベントからもGoogle広告のコンバージョンを作成することができます。通常のイベントからコンバージョンを作成した場合、そのイベントはGA4で自動的にキーイベントとしてマークされます。
おわりに
本記事では、コンバージョンからキーイベントへの名称変更についてご紹介しました。
GA4で今までなじみのあった指標の名称が変わってしまうため、認識をしていないと混乱してしまう方も多いのではないでしょうか。
サイト管理を行う担当者はしっかりと把握しておきたいところです。また今回の変更に合わせて、コンバージョン、キーイベントに関する理解を深めて、GA4やGoogle広告の設定状況を見直すのも良いかもしれません。
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