ディスプレイ広告の運用において、理解しておきたい考え方の一つが「プレースメントターゲット(ターゲティング)」です。簡単に言うと、インターネット広告の配信先を管理してより効率的な運用につなげるための手法です。
Web広告担当者が迷わずプレースメントを活用できるように、ここでは仕組みや使い方、設定方法や、よくある質問についての答えを紹介します。
目次
プレースメントターゲットとは、インターネット広告(ディスプレイ広告)を配信する際の機能で、広告配信したいWebサイトやページ、動画、アプリを指定できます。商材と相性良さそうなサイトに訪れているユーザーに対してプレースメントでは広告配信することができます。
Googleでは「プレースメントターゲット」、Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)では「プレイスメントターゲティング」という名称が使われます。今回の記事では主にGoogleを対象に設定方法を紹介していくので、「プレースメントターゲット」という名称を使用します。
そもそも「プレースメント」とは、Googleで「YouTubeとディスプレイネットワーク上で広告が表示される場所」と定義されています。Webサイト全体を指すこともあれば、特定ページ上の広告ユニットや、アプリを指すこともあります。
プレースメントの設定には、手動プレースメントと自動プレースメントの2種類があります。
手動プレースメント | 自動プレースメント |
---|---|
Webページや動画、アプリなどの広告配信先を、URL単位やアプリ単位など自ら配信先を指定できます。 | 設定したキーワードなどに基づいて、関連性の高い場所に自動的に広告が表示されます。広告配信システム側の判断で、配信先が決まります。 |
手動プレースメントは、配信先指定ができるので確実性が高いと言えますが、配信サイトのエラーや配信先サイトが配信除外した特定広告の場合は、広告が配信されないなどの注意が必要です。
その点、自動プレースメントは最適な配信が行われます。ただし、効果が薄いもしくは単価が高いサイトなどを見極める必要があります。
プレースメントターゲットを使うには、広告グループ内に「プレースメント」を作成します。当たり前ですが、このプレースメントはディスプレイネットワークの一部でなければなりません(いくら広告を配信したいWebサイトがあっても、ディスプレイネットワークに登録されていなければ配信はできません)。
広告を配信したい/配信したくないプレースメントを作成したら、その記載のリストの内容に従って、広告の配信が制御されるという仕組みです。
指定したプレースメントに広告を表示するには、他のインターネット広告と同じく他の広告主と入札単価を競うことになります。人気のあるWebサイトであれば、もちろん単価は高くなります。
プレースメントターゲットを利用すると、ディスプレイネットワークの配信先を絞れます。子ども用品を販売しているWebサイトの広告であれば、育児関連のWebサイトやYouTubeチャンネルに広告を配信することでより多くのコンバージョンが見込めます。
また、ディスプレイネットワークでの配信実績がある場合は、「効果の高いメディア」が具体的データとして蓄積されています。効果測定の結果に従って、コンバージョンが見込めるサイトに絞って配信することで、効果的な運用につながります。
コンバージョンが期待できるWebサイトやアプリにのみ絞って配信できるので、その分無駄な広告配信にかける費用を削減できます。手動プレースメントを設定すると入札単価の調整もできるため、「効果のあるメディアに予算を集中的に投入する」こともできます。単価を上げれば、その分広告が表示される可能性が高まるのでより多くのコンバージョンが期待できます。
広告費の総額が同じ場合でも、狙った場所に配信できるので、費用対効果は高くなります。
過去の配信実績を分析し、コンバージョンにつながっていない配信先は除外でき、無駄な広告費を削減できます。
配信先を限定できるのは魅力的なメリットですが、同時に配信母数が減ることも意味します。配信母数であるインプレッション総数は減るので、コンバージョン率は上がっても、コンバージョン数が減る恐れもあります。
また、配信先を指定した場合、それ以外のサイトには配信されないので、新規顧客の開拓に限界があります。
人気のメディアに配信しようと思うと、その分競合の数も多くなります。想定以上に単価が上がるリスクもあります。
ディスプレイネットワークに新しい配信先が追加されても、プレースメントターゲットを使っていると配信されないという点もデメリットです。もしかすると、相性の良い配信メディアとの出会いが失われてしまうかもしれません。
プレースメントターゲットには、「自動」と「手動」の2種類あります。詳しく説明します。
指定トピックや関連キーワードの選択に応じて、Googleが関連するとみなす掲載箇所に自動的に配信されます。細かい配信先のリスト化や、運用の手間はかかりません。
手動プレースメントは、広告主が自由に配信先(もしくは、配信したくない先)を指定できる機能です。利用している媒体のディスプレイネットワークに登録されている配信先であれば、これまでの実績やターゲット層に合わせて選べます。GoogleとYahooでは提携メディアに違いがあるので、特定のサイトに配信したいという希望が明確な場合は、そのWebサイトが参加しているディスプレイネットワークに広告を登録しましょう。
例えば、
が該当します。
除外するプレースメントは、「コンバージョン率が低い(パフォーマンスの悪い)」Webサイトや、「そこに配信されていることでブランドイメージを毀損する可能性のある」Webサイトなどが該当します。
ここでは、Googleディスプレイネットワークで手動のプレースメントターゲットを行う手順を簡単に説明します。
まず、プレースメントターゲットを行う広告キャンペーンと広告グループを設定します。
新規にキャンペーンを設定する場合は、「新しいキャンペーン」を作成し、目標を設定します。具体的に決まっていない場合は、「目標を設定せずにキャンペーンを展開する」を選んでもOKです。キャンペーンタイプで「ディスプレイ」、キャンペーンのサブタイプで「標準のディスプレイキャンペーン」を選びます。あとは、予算等を設定してください。
キャンペーン・広告グループを準備できたら、対象とする広告グループのページを開き、キーワード>プレースメントを開きます。すると、新しいプレースメントが設定できるので、検索窓に設定したいページのURLや関連キーワードを入力して検索します。
ディスプレイネットワーク上に該当のページがあれば一覧表示するので、配信したいものを選択して保存を押せば準備完了です。ちなみに、この画面では1週間あたりの表示回数の概算が示されるので、参考にすると良いでしょう。(少なすぎるとコンバージョンにつながらないので、ある程度配信ボリュームが大きくなるように調整が必要です)
効果的なプレースメントの選び方を紹介します。
これまでにディスプレイ広告を配信している倍は、過去の実績を参照するのが鉄板です。これまでにコンバージョンが発生した広告が表示されていた箇所を確認し、プレースメントに取り入れましょう。自社の商材と関連性の高いメディアが見えてくるはずです。
ただ、配信先の規模が大きいほど、広告単価や広告費がかさんでしまい、結果的に費用対効果が悪くなる可能性もあります。最初は配信先の大きさよりも、広告との関連度に重きをおいてプレースメントを選ぶのがおすすめです。
商材のターゲット層がある程度絞れているのであれば、そのターゲット層が日常的に目にするであろうメディアを絞って配信するのもおすすめです。例えば、育児に関連する商品・サービスであれば、子育て世代に向けたメディアや人気のYouTubeチャンネルに配信するなど。実際のターゲット層に当たる人たちに聞き取り調査をしても良いかもしれません。
自社の商材を探す時にユーザーが検索するキーワードで、実際にGoogle検索(Yahoo!検索)を行い、その上位に表示されているWebサイトに広告を配信するという方法も有効です。ターゲット層に近いユーザーが目にするサイトと考えられます。
もしリスティング広告を出稿しているのであれば、コンバージョンにつながっているキーワードで検索し、その上位表示サイトに配信を検討してみましょう。
リスティング広告を未配信の場合は、関連キーワードツール(ラッコキーワードなど)を使うと、効率的に主要なキーワードが探せます。
ラッコキーワード:https://related-keywords.com/
プレースメントターゲットを効果的に運用するポイントをご紹介します。
まず取り入れたいのが、プレースメントとキーワードをかけ合わせたターゲティングです。プレースメントターゲットに関連性の高いキーワードを組み合わせることで、より配信先を絞ることができ、予算を効率的に使うことができます。
例えば、ニュースメディアや多くのカテゴリを扱うメディアの場合、全く関係のないカテゴリにも配信される可能性があります。育児関係の商品の広告を配信したいのに、筋トレや釣りなどのカテゴリに広告が配信されても、あまり効果が期待できませんよね。
そこで、プレースメントターゲットに加えて育児関連のキーワードを設定して、配信したいWebサイトの中でも、関連するページに絞った配信を行いましょう。
ユーザーの年齢や子どもの有無といったユーザー属性とターゲティングをかけ合わせると、ターゲット属性に合わせた絞り込みができます。
プレイスメントターゲティングは魅力的な広告手法ですが、限定して広告を配信する分、どうしても表示先には限界があります。プレースメントを指定しないディスプレイネットワークを運用して効果的な配信先を探す、リスティング広告を出稿してユーザーの検索ニーズを探るなど、他の方法と合わせ運用することでより効果的なプレースメントターゲットができるようになります。
効果的な配信先に絞って広告を配信することで、コンバージョン率を高め、効果的に広告運用をできるからです。実際にコンバージョンが発生しやすいWebサイトや、ターゲット層が見ているであろうコンテンツに広告を配信できるので、見込み客に効果的なアプローチができます。
ディスプレイ広告を効果的に配信したいときに必要です。Googleディスプレイネットワークであれば「プレースメントターゲット」、Yahoo!ディスプレイ広告(運用型)であれば、「プレイスメントターゲティング」という名称です。いずれの場合も、配信先に違いはありますが、考え方は同じです。
これまでにディスプレイ広告の運用実績が少ない場合は、初めてディスプレイ広告を運用する場合は、自動プレースメントから始めるのがおすすめです。関連性の高い配信先を自動で選択してくれるので、失敗しにくい仕組みです。過去の実績から「どうしても表示するべきWebサイト」がはっきりしている場合は、手動プレースメントでしっかり配信先制御を行うのがおすすめです。
一度プレースメントを作成しても、自由に一時停止や削除、編集が可能です。プレースメントターゲットを始めたら、こまめに効果を検証して、あまり効果につながっていないWebサイトの配信を止めたり、単価を変えたりしてより効果的になるように調整しましょう。
配信先に悩むのであれば、まず「自動プレースメント」を使うのがおすすめです。あるいは、ディスプレイ広告やリスティング広告を運用して、そこから見えるユーザーの傾向に応じた運用も良いでしょう。
プレースメントターゲットを活用するには、配信先の選択が重要です。上手く見つけられる自信がない、思ったように効果が上がらない…などの悩みがある場合は、広告運用に強いサービス会社に相談するようにしましょう。
プレースメントターゲットを活用すると、広告の配信先を選ぶことができるので、効果的な広告運用ができるようになります。コンバージョン率を高め、効果的な広告配信がしたい方にはおすすめの機能です。その一方で、新規獲得や認知拡大には限界がある手法でもあるので、プレースメントターゲットに頼り切らずに、他の広告やSEO対策と並行しながら活用しましょう。
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