Webマーケティング担当者ならリスティング広告の運用やアフィリエイト広告の運用を任されることがあるかと思います。その際、自社のCPA(顧客獲得単価)は、どのように決定されているでしょうか?
この時、LTV(ライフタイムバリュー)の考え方を用いることなく、広告予算等を決定しているのなら、大きな機会損失を招いてしまっている可能性があります。
しかし、あなたがLTVの視点を今日から取り入れ、広告予算を決定する際に重要な指標として扱うなら、利益率を明確にした広告運営が可能になるでしょう。
そこで今回は、LTVに関する概要とEC事業者向けにeコマーストラッキングについて設定方法も含めてご紹介いたします。
目次
LTV(Life Time Value)とは、顧客生涯価値のことで、顧客が自社と取引を始めてから終了するまでの期間に、その顧客から得られる収益を合計し算出した値のことです。
LTVは、顧客1人に対する生涯成果指標としてマーケティング担当者の間で用いられており、自社でどれだけの商品やサービスを買ってくれるか、そのトータルの売上を合計し導き出します。LTVが分かれば、顧客が他のサービスに移ってしまう前に、どれだけのお金を投下してくれるかが明確になりますので、顧客1人あたりにかけられる広告獲得単価(CPA)の上限値が把握できます。LTVが高ければ高いほど、自社で販売する商品やサービスが顧客にとって市場価値が高いことを意味します。
LTVの計算に入る前に、簡単なCPAの計算方法についてご紹介します。
例えば、LTVが5,000円だと分かっているのなら、LTVに粗利率をかけることで目標CPAを導き出すことができます。
LTV×粗利率=目標CPA
5,000円×50%=2,500円
つまり、2,500円以下で顧客を獲得できなければ、利益を出していくことはできないということが分かります。言い換えれば、2,500円までなら広告費用がかけられるということです。
CPAの上限値を知るためにも明確なLTVを算出する必要があります。LTVを計算する際は、下記の公式を利用して値を導き出します。
1つ例を出してLTVを算出してみたいと思います。
平均購買単価:1,000円
粗利率:90%
購買頻度:10回
継続購買期間:2年
上記の公式に値を入れていくと下記のようになります。
1,000円×0.9×10回×2年=18,000円
つまり、1人の顧客を獲得できれば、1万8千円の収益が最低でも確約されることが分かります。LTVの計算は、会社全体の合計金額を下記の公式を利用し、顧客の数で割ることでも導き出されます。
例えば、Aさんが会社にもたらす累計売上は5,000円です。Bさんは3,000円の累計売上をもたらしてくれたと仮定しましょう。
会社全体の売上
5,000円+3,000円=8,000円
8,000円を顧客の人数分で割ると、下記のようになります。
LTV
8,000円÷2人=4,000円
このように顧客がもたらす売上からLTVを導き出すことができますので、人数分で平均してみてください。
もし、Webマーケティング担当者がLTVを意識せずに、マーケティングを展開すると、どのような問題が生じるのでしょうか?
LTVを意識しないマーケティングは、将来的に会社にもたらされる利益が不明確なため、リスティング広告を運用する際に、広告費用の上限値が明確に設定できないなどの問題が生じます。
例えば、1万円のキーボードを販売することになった場合、LTVを意識したマーケティング担当者は、販売商品のリピート率や最終的にもたらせる累計売上を明確に把握できているため、CPAの上限値が不明確になることがありません。上限値までなら、いくらでも広告予算を払うことができます。
一方で、LTVが不明確な企業だと、顧客のリピート数や自社にもたらされる累計売上が不明確なため、上限CPAを明確に設定できません。
ここでの最大の問題は、LTVを意識しているかどうかで、広告費用に対して大きな差が出るということです。LTVを意識してCPAを4,000円に設定する企業と、LTVの不明確さから粗利2,000円で設定する企業では、広告費用に2倍もの差が開くことになります。リスティング広告で入札単価に2倍もの差が開けば、上位表示することは難しいでしょう。また、アフィリエイトの紹介報酬も2倍もの差があれば、誰も自社の商品を紹介してくれないでしょう。かといって、リピート率が分からない状態で、広告費用を上げることは、企業とって大きなリスクとなってしまいます。
しかし、LTVが分かれば、数値化されたデータにもとづいて広告コストを倍にまで跳ね上げることができます。つまり、Webマーケティングにおいて、ECサイトの事業利益を最大化し、新規顧客の獲得コストを明確化するためには、LTVの明確化が必須だと言えます。
これまでの説明で、LTVを明確化する重要性をご理解いただけたかと思います。しかし、LTVを意識したことがない企業にとって、数値の明確化は難しいことのように思えます。
実は、アクセス解析ツール「Googleアナリティクス」に搭載されたeコマーストラッキングを利用すれば、LTVを明確化できます。
eコマーストラッキングの設定方法について説明する前に、ECサイトを分析するための基本設定に関する知識を簡単に紹介しておきます。この知識を利用し、どのページを目標設定しておくかを明確化することで購入完了数などが意識しやすくなります。
顧客が商品詳細ページに到達しない限り、コンバージョン(商品の購入)を起こすことはありえません。商品詳細ページへの到達は、商品購入と関連性のある行動の1つとなるため、目標設定しておきましょう。
なお、コンバージョンの前段階として、密接な関連性があるコンバージョンのことをマイクロコンバージョンと言います。今回なら商品詳細ページへの到達がマイクロコンバージョンとなります。
ユーザーが商品をショッピングカートに追加した後、「カートを閲覧する」ボタンをクリックし、カートページを閲覧することがコンバージョン発生の必須ステップになっていることが多いかと思います。そのため、これはマイクロコンバージョンの1つとして設定しておくべき目標設定しておきましょう。
ユーザーが購入完了者だけに表示するページは、最終的なゴールページとして目標設定します。
これらを目標設定しておくことで、全体のセッション数からどの程度のセッションが商品詳細ページに到達し、カートページを表示し、購入完了したのかが分かるようになります。
流れとしては、全体のセッション数>商品詳細ページ到達数>カートページ表示数>購入完了数となるので、どの段階でユーザーが離脱したのかが分かるようになり、改善のヒントが得られるようになります。
また、具体的なページのURLが分かれば、システム担当者や制作会社に依頼しなくても、社内のWeb担当者だけで目標設定が可能です。このように、システム面の知識がなくてもGoogleアナリティクスを利用すれば購入完了数を把握できますが、下記のことが分かりません。
どれもLTVの数値化で、大切な項目ばかりです。これらのことを明確化するために、eコマーストラッキングの設定が必要となります。
ECサイトを運営する場合、そのコンバージョンは当然購入完了を表しますが、「何が売れたのか。」「いくつ売れたのか。」「いくらで売れたのか。」という要素が数値を導き出すうえで必ず関連してきます。これらの要素はEC3要素と呼ばれています。
資料請求やお問い合わせをコンバージョンとするリードジェネレーションサイトでは、基本的に1件のコンバージョンの価値が変わることはありません。しかし、ECサイトで購入された商品は、1件のコンバージョンの価値が何十倍にもなるということが多々あります。そのため、EC3要素を明確化するためにもGoogleアナリティクスの「eコマーストラッキング」の基本設定が必要となります。
eコマーストラッキングは、Googleアナリティクスのビューの設定から機能を有効化し、ECサイトのシステムが可動しているサーバーから購入完了ページにタグを自動的に書き出すことで実現できます。eコマーストラッキングの設定方法は下記の通りです。
その後、eコマーストラッキングのトラッキングコードを設置します。設置するページは決済完了ページにしましょう。
eコマーストラッキングを実装するためには、小規模とはいえシステムの改修が必要となります。そのためWeb担当者だけで対応することが難しく、システムエンジニアとの調整に時間や手間がかかることになるでしょう。ショッピングカートシステムとして、外部ASPを利用しているなら、大手システムであれば対応してくれる可能性があるため、事前に確認しておいてください。
また、新規で開発された外部のカートシステムを採用する場合は、Googleアナリティクスのeコマーストラッキングに対応しているか、調査しておきましょう。もし対応していなければ、他のASPを選定することをおすすめします。
なお、eコマーストラッキングによって計測できる購入完了は「トランザクション」と呼ばれており、通常のコンバージョンとは区別されていますので注意しましょう。
Googleアナリティクスを利用すれば、LTVの値を導き出すことができます。Webサイトには、様々な参照元からアクセスがありますが、それぞれに特徴があり、平均単価やコンバージョンが全く異なります。売り上げの有無だけで数字を判断しただけでは、どの施策を強化すれば良いのか把握できないでしょう。そのためGoogleアナリティクスから得られるLTVの見方を覚えてください。
Googleアナリティクスにログインしていただき、管理画面左側のサイドバーに、「ユーザー」と書かれた項目があるかと思います。そちらをクリックしていただくと、「ライフタイムバリュー」と呼ばれるLTV項目が表示されます。そちらをクリックしてください。
画面下部に、「集客チャネル」と表示された部分があるかと思いますので、施策として明確なものを1つ選択してください。今回は、集客チャネルを選択してみましょう。
続いて、「ユーザーあたりの収益(LTV)」をクリックすると、値を並び替えることができます。これにより、最も集客力があり、1ユーザーあたりのLTV率が高い項目を簡単に見つけ出すことができます。
他にも集客チャネルではなく、集客キャンペーンを選択すれば、どのようなキャンペーンだとLTVが高いのか数字で把握できます。
効果の最大化を目指す広告運用
広告予算を色々な媒体に配分する上で、最適な媒体選定や媒体ごとの最適な運用は豊富な経験が求められ、課題抽出から改善を行うPDCAサイクルを行うには多くのリソースが必要です。
「キーワード戦略策定や運用改善など、広告効果の最大化を何とかしたいと思ったことはありませんか?」
以前、広告運用を発注する側の時は「本当に改善をしてくれているのか」「ベストを尽くしているのか」が分かりませんでした。また当社にご相談いただく方の多くが、既存の広告運用代行の会社に不満を持っている方が多くいらっしゃいます。
当社は広告運用はもちろんのこと、「Webマーケティングによる収益の最大化」を目指す会社です。なぜなら、各種広告サービスの認定パートナーなので最適な広告媒体で運用を任せることができるからです。また、経験豊富な専任コンサルタントが社内のSEOコンサルタントや制作チームと連携してWebマーケティングの収益最大化を目指すことができます。
当社の強みは以下にあります。
当社に広告運用をお任せ頂いたお客様で様々な成果事例が報告されています。
当社はご契約前からGoogleアナリティクスの解析から無料で行い、適切な広告手法をご提案します。広告運用の代行会社をお探しなら当社の「広告運用サービス」をご確認ください。
ECサイトのマーケティング担当者でも、Googleアナリティクスの操作に苦手意識を持たれている方も多いかと思います。
しかし、LTVの把握やCPAの上限値を理解する場合、Googleアナリティクスなどの高度な解析ツールの操作の習得が必ず必要となります。全ての機能が使えるようになる必要はありませんので、解析目的を明確化して1つずつ使い方を覚えてください。LTVを意識できるようになれば、リスティング広告やアフィリエイト広告の運用予算をGoogleアナリティクスのデータから導き出せるようになります。今までよりも効率良く売上と利益率を上げるためにも、LTV解析を始めましょう。
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