インターネット広告を運用する上で、必須となる考え方が「CPC」です。マーケティングの担当者なら名称や考え方はご存じのことでしょう。
CPCを低く抑えることが、広告のコストパフォーマンスのためには重要です。しかし、一概に安ければいいというわけではなく、広告の出稿状況や実際の効果に合わせて考えていく必要があります。
今回は、インターネット広告の担当者向けにCPC広告の基本的な考え方から、CPCの考え方を使って効果的に運用するヒントまで分かりやすく解説します。
CPCとは、Cost Per Clickの略で、「クリック単価」と訳される用語です。広告の効果を図る指標として使われ、計算式は「広告費÷クリック数」で求められます。
CPCは広告出稿の文脈で使われ、例えば「CPC課金」という言葉は、1クリック毎に広告費用が発生する広告のことを指します。
CPCは、CPC広告そのものを指す場合やクリック単価の文脈で使われます。クリック=サイトへの誘導が確実に発生するという点で、CPC課金の広告は効果が測定しやすく、費用対効果を図りやすい意味合いで、コストパフォーマンスが良いと好まれることが多いです。類似した広告配信はCPM(CostPerMille)などがあります。
CPC課金型広告の代表例が、リスティング広告です。特定のキーワードごとに賭けられるクリック単価を入札設定し、入札結果に従って検索結果の上部に広告が表示されます。
CPC広告に向いているのは、広告の目的が「商品の販売」「問い合わせ増」「資料請求」など、コンバージョン向上につながるものです。広告費の発生がユーザーのWebサイトへの誘導に直結しているため、広告効果が高まります。
広告が表示されただけでは意味がなく、お問い合わせ発生がゴールになる場合に向いているといえます。
CPC課金の仕組みは、簡単に言うと「競合他社とのオークション」です。特定のキーワードで広告を出したい企業がキーワードごとにそれぞれ「上限CPC」を決め、その上限CPCが高い順に検索結果上部に広告が掲出されます。
ただ、このオークションは入札金額が高ければいいというわけではなく、Googleでは広告ランク、Yahooではオークションランクという指標も加味した上で広告掲載順位が決められます。
そのため、入札単価が高ければ必ず表示されるわけでもありませんので、注意が必要です。
競合の入札が多いキーワードの場合、CPCが高騰する可能性があります。参入企業が多い場合は、あっという間に数倍の単価になることもあります。そのため、ずっと同じCPC単価で広告運用できることは、不可能です。
そのため、CPCを抑えるために、入札が競合するビックキーワードだけではなく、CPCが低く、コンバージョンにつながるキーワードを探すことが、広告運用の肝です。CPCを抑えつつ、広告効果を高める方法については、記事後半でご説明します。
また、その他の広告キーワードについても説明いたします。
上限CPCとは、1クリックごとに支払える料金の上限のことを指します。この価格がそのままCPCとなるわけではありませんが、あまり低すぎると広告が表示されないため、競合の状況や広告の表示情報を確かめつつ、適宜入札単価の設定見直しが必要です。
CPC広告を検討する場合にワンクリック幾らが適当かを知りたいと思う方もいるでしょう。ただCPC広告のワンクリック単価は、掲載箇所、掲載媒体(配信先)、出稿セグメント(キーワードや年齢、性別、エリア)によって変わります。
CPC広告のワンクリック単価はこのように一概に言えないので、CV数の効果を見込んだ上で妥当な金額化を判断する必要があります。
CPCと似た用語に、「CPM」という用語があります。
CPMとは、Cost Per Milleの略で、広告が1,000回表示された時に発生する費用のことを指します。インプレッション単価ともいい、「広告の表示回数」に応じて広告費が決まるのが特徴です。
CPM広告のコストをCPCに換算するため、CPM広告で発生したクリック数からCPCを算出するケースもあります。実際の表示回数に応じて発生した費用をクリック回数で割ることで、実際のアクセスにつなげるために要した広告費が可視化されるので、CPM広告を出稿する場合も、CPCという観点で検証が必要です。
CPC広告はコストパフォーマンスのよい広告ですが、デメリットもあります。ここではCPC広告のメリット・デメリットをそれぞれの角度から解説します。
最大のメリットは広告費の発生=確実に誘導という効果につながっているという点。Webサイトの集客を増やすという意味で、広告をクリックしなければ広告費も発生しないCPC広告は非常にコストパフォーマンスが高いです。
Google広告やYahoo!広告は、予算や広告の掲出期間を柔軟に調整できるので、広告予算の限られている中小企業や少額から始めてみたい場合の導入ハードルも低くなっています。
キーワードの検索広告であれば、テキスト形式の広告が主なので、画像作成や動画作成の工数は必要ありません。
また、GoogleAnalyticsと連携することで、広告経由で何件Webサイトに訪問されているか、そしてそのユーザーがサイト上でどのような動きをしたかの分析も可能です。
大切なのは「Webサイトへの訪問を増やすこと」ではなく「コンバージョン(売上、資料請求、問い合わせなど)につなげること」です。
広告クリックによりサイトアクセスが増えても、お問い合わせがなければ意味がない場合は、分析ツールを組み合わせて改善すれば広告に対する費用対コストも良くなるでしょう。
デメリットは、競合他社の入札が過熱すると入札単価が高騰するので、費用対効果が悪くなる蒲生性もあることです。
人気キーワードすぎると、クリック単価が高くなるのであまり、必ずしもおすすめの入札とは言えない可能性があります。予算に不安のある場合は、月や週ごとの広告予算上限を設定しておくなどして、広告費の増え過ぎに対応しましょう。
また、関連キーワードがテレビやSNSで取り上げられるなど、何らかの事情でクリック数が爆発的に増える場合があります。その時は短期間で予算を消化してしまい、想定通りの広告出稿にならない可能性もあります。
当初の想定通りに広告を配信し、その効果を高めるためには、毎日の細かなモニタリングと調整が求められます。一度広告を出稿したら、広告表示期間が終わるまでは待つだけという形式ではなく、日々の運用管理が求められるため、その対応にかかる手間もデメリットの一つです。
CPC広告は、上手に活用すれば費用対効果が抜群ですし、比較的広告をすぐに出せます。低予算から始められ、思い立ったらすぐに出稿可能・停止可能という柔軟性の高さは、他の広告の追随を許しません。
しかし、気軽に始められるからこそ、しっかりポイントを抑えて広告効果を意識した調整を行うことが大切です。
まずは、広告効果を適切に測るためにも、「何のために広告を出すのか」「広告で目指す目標は何か」を明らかにしておきましょう。ここを明確にしておくことで、コストパフォーマンスの良さを定量的に分析することができ、よりよい広告運用につながっていきます。
例えば、商品の購入や資料請求、問い合わせなどのコンバージョンを上げたいという目的があるのなら、CPCを下げすぎるよりも、多少高くても見込みのあるキーワードに投資するほうが効果的です。
一方、商品の認知やブランディングが目的であれば、そもそもCPC広告よりもCPM(インプレッション)広告のほうが向いているかもしれません。
本当にCPCの低さだけを追求すべきなのか、出稿前にしっかり検討しておきましょう。
とにかくCPCを低く抑えたい場合は、競合の少ないキーワードを選んで出稿しましょう。例えば「自動車保険」という単一のワードではなく、「自動車保険 栃木」のようにスモールワードを積極的に拾っていくと、その分競合も減るのでCPCが低くなります。
GoogleでCPC広告を出稿すると使える「Google のキーワードプランナー」というツールでは、キーワードごとの検索数や想定クリック単価が見られるので、活用しながら出稿するキーワードを選びましょう。
ただ、「競合が少ない=検索回数の少ない」キーワードとも言えます。検索回数が少ないキーワードに入札しても、クリックが増えない・コンバージョンにつながらないこともあります。入札しても掲載されなければ意味がないので、総合的な観点から判断してください。
⇒Googleキーワードプランナーの使い方とキーワード戦略の考え方
広告の効果を高めるためには、除外キーワードを必ず設定しましょう。除外キーワードとは、そのキーワードが含まれる検索について広告を表示させないという設定をするためのキーワードです。
成果につながらない検索語句を除外キーワードに設定することで、無駄な広告予算消化を防ぎ、効果が見込めるキーワードに広告予算を充てることができます。
除外キーワードの設定をこまめにすることで効率の良い広告運営ができるので、広告の費用対効果が良くなります。
広告設定によっては、意図しないキーワードに広告配信されていることがあります。
例えば、お取り寄せ用のお菓子を取り扱っているお店なのに、「お菓子 作り方」などで広告が配信されている可能性があります。この場合、「お菓子 作り方」と検索しているユーザーは購入を考えているユーザーではないので、クリックが得られてもコンバージョンにはつながりません。高級路線のお菓子を取り扱っている場合であれば、「スイーツ 激安」というワードも対象ユーザーのニーズと逸れていると判断できるので、除外キーワードの対象になります。
あくまで一例の考え方ですが、実際に配信されたキーワードを一覧表示して、
などを見極めて除外キーワードを整理していきましょう。
CPC単価を抑えるために、広告ランクを意識することは非常に重要です。
広告ランクの決定条件には以下の要素があります。
広告ランクは上記の要素を加味した上で決まっています。すべてをコントロールできるわけではありませんが、検索エンジン側の「ユーザーに有益な情報を配信するWebサイトの広告を優遇したい」という気持ちに添って広告周辺の調整をしましょう。
また、広告の品質基準には以下の要素が加味されています。
評価の一つである「広告の品質」には、上記の点が影響しています。
キーワードごとに広告のテキストを出し分けるなど、細かい調整をすることでランクを高められます。広告ランクが高くなると、同じ広告・キーワードでも低い入札単価で広告が掲載できます。内容をしっかり精査し、ランクが高められるよう改善を続けましょう。
CPC広告を出稿するときの注意点は、出稿して終わりではなく、日々確認と改善を続けることです。クリックが増えるほど広告予算を消化していくので、無駄なクリックが発生していないか、希望するキーワードでしっかり広告配信がされているかをチェックし、手を入れていく必要があります。
CPC広告は「運用型広告」とも言われますが、その名の通り日々の運用管理が広告成果を高めるための最大のコツです。手間を惜しまず、クリック数やキーワード単価、広告テキストを見直して効果が最大になるように調整しましょう。
社内にすべてを担うリソースがない場合や、知識不足で効果を感じられない場合は、運用型広告に特化した業者に外注するのもおすすめです。
CPCは、主にリスティング広告の費用対効果を図る指標として使われます。コンバージョンにつながるキーワードを探して広告効果を高めていきます。
媒体の入札変更や競合他社による入札価格高騰は日ごろ発生する可能性があります。費用対効果が合わないCPCの時には、キーワードの見直しや運用改善で可能なCPC削減の取り組みましょう。
CPC広告は、まず運用の目的を明確にすることが大事です。そして効果を最大化するために分析をし、出稿後も継続的に観察し改善していく必要があります。もしCPC広告の運用について困った時は「広告運用サービス」会社に相談するのもおすすめです。
CPCは、効率的に広告を運用するために欠かせない考え方です。また、CPC広告は低予算から気軽に始められるため、これから広告を始めたい方や予算に限りがある中小企業におすすめです。
CPC広告で成果を上げるためには、広告出稿の目的を明確にし、競合が少なく、コンバージョンにつながるキーワードを狙って出稿するようにしましょう。今回ご紹介した方法をもとに、CPCを抑えながら効果的な広告運用を行ってみてください。
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