昨今従来のAIとは一線を画した存在として注目を集めているChatGPT。2022年に公開されてからも進化を続けており、ChatGPTの言語モデルであるGPT(Generative Pre-trained Transforme)がバージョンアップするごとに精度も上がってきています。
今回は最新バージョンのGPT-4(ChatGPT4)と1つ前のバージョンであるGPT-3.5(ChatGPT3.5)を使用して、実際にSEO会社として質の良いコンテンツ作りに活用できそうかどうかを検証してみました。各バージョンでどのような差が出たのか、ぜひご覧ください。
目次
GPT-4はGenerative Pre-trained Transformer 4の略で、Web上にある大量のデータを学習し、人間に近いような形で質疑応答ができたり、文章作成ができたりする自然言語処理モデルです。数字はバージョンを表しており、2018年に公開されたGPT からバージョンアップを繰り返し、現在の最新モデルが2023年3月に公開されたGPT-4となっています。
ChatGPT4は前述したGPT-4を使ったAIチャットサービスです。ユーザーと対話をすることに特化しており、チャット形式でまるで人間と話しているような自然な対話が可能となっているのが大きな特徴です。
ChatGPT4では自然な対話ができ、文章作成が得意なサービスということは分かりましたが、具体的にどんなことができるのか、調べてみました。
ChatGPTはWeb上にある膨大なデータを学習しているため、例えば過去に起きたある程度認知度のある出来事(Web上に情報のある出来事)から知っている情報をまとめて答えてくれます。
質疑応答という点で言えばスマートフォンで使われているSiriやGoogleアシスタントなどが連想されますが、SiriやGoogleアシスタントはユーザーから質問を受けると音声でWeb上から合致しそうな情報を見つけて回答になり得る該当のWebページを紹介するのに対し、ChatGPTは自分で学習データから答えを導き出しテキスト生成を行うので、全く種類の違うものだということが分かります。
但し、ChatGPTは事前に学習したデータからしか答えを導き出すことができません。2023年6月現在においてGPT4(ChatGPT4)は2021年9月までのWeb上にあったデータを学習したものになっているため、例えば今現在の日本の首相は?と聞いても正確な回答になりません。
前述した質問に答えるという行為は“文章を理解して返答する“ということになりますが、文章だけではなく画像も理解することができます。
例えば画像を貼付けてこれはどんな画像か?と聞くとその画像に載っている情報を説明してくれます。
画像元:OpenAI公式サイトを日本語訳
例えばこの画像は卵と粉、牛乳のような液体が奥に写っていますが、この画像で何が作れるかと質問すると、私たち人間がパッと見て連想できそうなワッフルやパンケーキといった回答がされています。通常のAIでは拡張子が〇〇という画像ファイルである、ということしか分からないため、画像の内容理解というのはAIの中でも非常に優れていることがはっきりとわかる機能と言えます。
質疑応答だけではなく、テーマや条件を与えて記事を作ることも可能です。記事作成においては本記事にて実際に試した結果を後述していますのでどのようなものが出来上がるのが見てみてください。
また、添削や要約といった文章の編集・抽出タスクもChatGPTの得意とするところです。分かりづらい文書を要約してほしいと指示すれば簡単に教えてくれるのでとても便利な機能と言えそうです。
HTMLやCSS・JavascriptといったWebサイトを構成するコード生成が行えるほか、Phythonなどのプログラミング言語を使用してプログラミング生成もできるようです。
ちなみに、ChatGPT4と同じ言語モデルであるGPT4を採用しているブラウザ「Bing」にて、ChatGPTでできることを聞いてみました。結果をそのまま記載すると下記の通りとなりました。
ChatGPTは、マルバツゲームの相手をしたり、Linuxシステムをエミュレートすることができたり、プログラミングやデバッグが行うことができます。また、音楽、小説、脚本、詩、歌詞や作文などの創作活動もできます。ChatGPTは、特定のテストに対して、人間と同水準かそれ以上の回答ができることがあるなど幅広い機能を備えています。
テキストベースでWeb上に新しいものを生み出す作業、チェック作業ができると回答しているようですね。
何ができるかが分かったところで、Webマーケティングという視点で実際にどのようなことに使えそうか、まとめてみます。
SEO施策の中でも外せない「コンテンツマーケティング」。コンテンツマーケティングにおいて新しいコンテンツを追加していくことはWebサイトの検索エンジンの評価を上げるうえで非常に有効な施策ですが、工数や費用がかかることがネックです。
ChatGPTでは、テーマや作成条件を指示することで、精度はいったん置いておいて記事作成や構成案の作成ができるほか、どんな記事を作るかといったアイデア出しもしてくれます。
すべてを担うことはできなくとも作業の一部を手伝ってもらうことで工数削減に繋がることは間違いないでしょう。
過去の膨大なデータを保有しているChatGPT。どのような広告文がクリックされているか、という情報ももちろん学習しています。そのため、アイデア出しは得意分野と言えます。
但し、ユーザー側の指示内容がしっかりとしていないと漠然としたキャッチコピーになってしまうため、AI側と対話しながら精度を高めていき、最後は自分で微調整をするという使い方が現状は一般的なようです。
ChatGPT4を利用するには公式サイトで有料プランを契約して利用する方法と、ChatGPT4の機能を活用した無料のサービスを利用する方法があります。
公式サイトで有料プランを利用する方法ではサービスの開発元であるOpenAI社の公式サイトにて有料プランであるChatGPTPlusを20ドルで購入するとChatGPT4が使用できるようになります。
無料のサービスでは気軽に利用できるものの代表例としてBingAIがあります。
BingはMicrosoft社が提供しているインターネット検索エンジンで、検索エンジン上でGPT-4を利用することができます。
但し、BingAIは検索エンジン上のサービスのため、ChatGPT4とはサービスの内容に少し差があります。
BingAIは最新のWeb上のデータを取ってくることができますが、検索エンジン上という性質上、こちらの指示・質問に簡潔に答えるようになっており、コミュニケーション能力はChatGPT4に比べると劣るといった違いがあるようです。
それでは1つ前のバージョンであるChatGPT3.5とChatGPT4ではどのような違いがあるのでしょうか。簡単に表にまとめたので下記ご覧ください。
ChatGPT4 | ChatGPT3.5 | |
---|---|---|
画像対応 | 〇 | × |
料金 | 有料 | 無料 |
一度に扱えるテキスト量 | 25000文字 | 2048文字 |
回答の正確性 | 飛躍的に向上(模擬司法試験で上位10位のスコアを獲得) | 模擬司法試験で下位10位のスコア |
参考:OpenAI公式
ChatGPT4の概要や機能が分かったところで、業務に活かせるか検証していきたいと思います。
当社はSEOに強みのあるWebマーケティングの会社なので、SEO施策のひとつであるコンテンツマーケティングの業務として、新規コンテンツのための構成案と記事ライティングをChatGPTに作成してもらい、各GPTのバージョンでどの程度クオリティに差が出るのかを検証します。
ブラウザでChatGPTにログインし、ChatGPT4/3.5それぞれで以下条件を入力して指示(プロンプト)を与えました。
上記の通り、指示内容を入力するとすぐに回答が入力されていきます。
出来上がった各バージョンの構成案が以下です。
結果を見ると、ChatGPT4のほうが1回の指示でより指示に沿った正確な回答ができており、具体性もあることがわかります。
次は各バージョンで作成した構成案を使用して、実際にChatGPTに記事を作成してもらいます。記事の作成時にChatGPTへ与えた指示は以下内容となっています。
出来上がった記事をChatGPT4と3.5で比較していきます。
まずはChatGPT4で指示した元の構成案と、できあがった記事の構成で差分があったかを一覧にまとめました。赤字部分が元の構成案にはなかった部分となります。
ChatGPT3.5で作成した記事は以下にて公開しておりますのでどのような記事ができたか気になる方はご覧ください。
作成結果を指示内容に沿っていた部分と沿っていなかった部分でまとめると以下のようになります。
また、内部リンクの設置方法、という内容の見出しであれば実際の設置コードを記述していると非常に親切でクオリティの高い記事と言えますが、もともとの指示ではマークアップの際は<code>を使用するという条件しか指定しておらず、必ず入れるという指示にはしていなかったため、入っていませんでした。
こちらもまずはChatGPT3.5で指示した元の構成案と、できあがった記事の構成で差分があったかを一覧にまとめました。赤字部分が元の構成案にはなかった部分となります。
ChatGPT3.5で作成した記事は以下にて公開しておりますのでどのような記事ができたか気になる方はご覧ください
作成結果を指示内容に沿っていた部分と沿っていなかった部分でまとめると以下のようになります。
どちらも文字数や見出しにあった文章作成といった基本的な部分は行えていたものの、見出しタグのルールや構成の面でChatGPT3.5はできていない部分が目立ちました。
また、初心者向けといった記事の方向性やPR文の挿入といった具体的な記事内容に踏み込んだ指示に対してもChatGPT3.5は上手く処理できていない印象ですが、ChatGPT4は綺麗にまとめられています。
構成案 | 記事作成(ライティング) | |
---|---|---|
ChatGPT4 |
|
|
ChatGPT3.5 |
|
|
前述した作成記事を見てさらに改善したほうが良いポイントを検討し、2度目の指示として与えた結果、各GPTのバージョンでどのように動作するかを検証してみました。
人格設定の部分ではSEOの専門家という人格を設定すると、初心者へ分かりやすく解説しようとしているような文章に変わっていました。
▲SEOの専門家という人格を設定した記事。「例えば」など初心者にも分かりやすく解説しようとしていることが分かります
他にもギャルのSEO専門家という指示(プロンプト)も試してみましたが、それなりにギャルっぽくなっていて面白い結果になっています。
▲ギャルのSEO専門家が書いた記事
また、2個目の追加指示である具体例もしっかりと入っており、より読みやすい記事へブラッシュアップできています。
ただ、指示(プロンプト)を追加していくとその都度構成が微妙に変わってしまうようで、例えば今回の追加指示では人格と具体例の追加を指示していますが、もともとあったPR文用の見出しがなくなってしまいました。
このように、指示(プロンプト)を追加していくと、意図していない箇所までも変更されてしまうため、自分の理想の形に仕上げるのはなかなか難易度が高いように感じます。
ChatGPT4では指示通りにしっかりとボリュームのある記事が作れることが分かりましたが、SEO会社目線ではこれだけでは上位表示のできる記事ができるとは言えません。
理由として、検索エンジンの評価基準と記事内容の精度の2つがあります。
SEO対策で最も重要なことは検索エンジンから高品質なコンテンツ・サイトだと思ってもらうことです。
Googleが公表している「検索品質評価ガイドライン」では、Googleが高品質なコンテンツ・サイトだと評価する指標が分かりますが、この中でコンテンツの質と大きく関わってくるのが「EEAT」です。
EEATはExperience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、 Trust(信頼性)の言葉の頭文字をとったGoogleの造語で、記事の執筆者の実体験や、執筆者が世間から評価されている人物かといった権威性のほか、コンテンツの事柄について専門性の高い内容かどうか、コンテンツの情報が信頼できるものかといった評価すべき指標を表しています。
詳細はこちらで解説していますのでご覧ください。
EEATの観点で考えると、ChatGPTが記事を作成するにあたって学習しているのはWeb上にある過去のデータです。
Web上のすべての情報が間違っていないとは言えないことや、学習データが今現在の情報ではないので記事の精度は十分とは言えず、間違った情報を掲載してしまう可能性があります。
例えばChatGPTが執筆した記事を、権威性の高い人物を著者として公開した場合、間違った情報を掲載することでその人物そのものの評価を下げてしまうことも考えられます。
結果としてサイト全体の評価が下がることにも繋がりかねないため、EEATの観点からはChatGPTでの記事作成はおすすめできません。
実際に、Googleの公式ブログでもAIのコンテンツ生成について明言しており、AIがコンテンツ生成の一部を担うことは悪いことではないが検索ランキングの操作を狙ってAIにコンテンツ生成を任せることは低品質なコンテンツの量産とみなし、評価を下げると記載しています。
下記公式ブログではAIがコンテンツを作ることに対して著者情報はどうしたらよいか、といった疑問にも答えていますので、気になる方はご覧ください。
参照元:Google検索セントラルブログ:AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス
今回は大規模なテキスト作成に強みを持つAIチャットサービス「ChatGPT」のバージョンごとに記事作成がどの程度できるかをSEO会社の視点から検証しました。
たった数行指示するだけで何千文字というボリュームの記事を作成できるのは確かに今までにない革新的な技術ですが、AIは自分で体験することができないので、様々な過去の情報から新しい情報を導き出すことはできても実体験から全く新しい何かを生み出すというのはできないはずです(今の時点では・・・)。
とはいえ質の高いコンテンツ記事を作ろうと思うと構成にライティングに画像の準備など工数がかかることは間違いありません。ご紹介したようにChatGPTは比較的簡単に始められるので、AIの得意な案出しや情報をまとめる作業などお願いできる作業はどのくらいありそうか、ぜひ自分の目で確かめてみてください。
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