今回取り上げるのは、インターネット広告の運用に必要な「絞り込み部分一致」についての考え方です。リスティング広告・PPC広告を出稿している方は、効率的な広告配信を行うために、広告が表示されるキーワードの挑戦に苦労されているかと思います。
効果的に見込みユーザーに広告を露出するための機能の一つが「絞り込み部分一致」を始めとする「マッチタイプ」の活用です。多様な検索ニーズの中から、自社の望むターゲットにのみ広告を配信できる機能なので、機能を理解して上手に活用することで、より多くの広告効果が期待できます。
2021年2月に、Google広告が絞り込み部分一致を含むマッチタイプについて大きなアップデートを発表しました。絞り込み部分一致の動作が他のマッチタイプに含まれるようになるほか、2021年7月からは新しく絞り込み部分一致の設定ができなくなります。2021年4月には、Yahoo広告も同様の発表を行い、絞り込み部分一致がフレーズ一致に統合されることになります。
つまり、絞り込み部分一致を期待した設定はフレーズ一致を使うことになるので、その点留意して記事をご確認ください。
目次
絞り込み部分一致について詳しく解説する前に、まずは「マッチタイプ」という仕組みについて説明します。
マッチタイプとは、リスティング広告(PPC広告、検索連動型広告)を運用する上で重要な考えです。
キーワードのマッチタイプとは、ユーザーが実際に検索したキーワードと出稿キーワードに、どの程度一致性を持たせるか指定するための機能です。ユーザー検索キーワードと出稿キーワードの一致性を重視する場合は完全一致にマッチタイプを指定したり、出稿キーワードを拡張したい場合は、リーチを増やすことを重視して多様な検索結果に広告を表示したりできます。
マッチタイプには「完全一致」「部分一致」「フレーズ一致」「絞り込み部分一致」という4つの種類があります。
それぞれのマッチタイプの違いや特徴については、後述します。
絞り込み部分一致はマッチタイプの1つで、キーワードの一致性は「フレーズ一致以上、部分一致未満」となっています。部分一致だとキーワードを拡張しすぎる一方で、絞り込み部分一致は絞り込みを行うので、出稿側の意図範囲内で運営コントロールしやすい側面があります。
ただ、Google広告においては、絞り込み部分一致の機能は2021年2月時点でフレーズ一致検索に組み込まれる形になっています。2021年7月からは、新たに絞り込み部分一致の設定ができなくなります。(Yahooも同様の発表を行っています。)
従来Google広告で設定できていた絞り込み部分一致は、設定したキーワードがユーザーの検索語句に含まれていれば、順序に変わらず広告が表示されるマッチタイプです。フレーズ一致よりも幅広く、部分一致よりも限定的に表示されるという特徴がありました。
例えば、「白い 車」と従来の絞り込み部分一致で設定したら、「白い普通車」と間に別の言葉が入っても、「車 白い」と順番が入れ替わっても広告が表示されます。逆に「白い自転車」や「赤い車」など、一部のキーワードを含む場合には広告表示がされません。広告と検索との関連性を高め、費用対効果の良い広告配信をするためによく使われているマッチタイプでした。
絞り込み部分一致の設定方法について説明します。なお、Google広告・Yahoo!広告の療法で、絞り込み部分一致はフレーズ一致に統合され、2021年以降新たに設定ができなくなります。あくまで、以前はこういうマッチタイプの運用があったということを把握するための情報としてお役立てください。
Google広告の場合、キーワードを設定する画面を開き、キーワードの編集を行います。その際、絞り込み部分一致に設定する語句の前に+記号(プラス記号)をつけます。これで設定完了です。
例えば、
という感じです。+と単語の間にはスペースを入れてはいけません。また、1つのキーワードに絞り込み部分一致と他のマッチタイプを混在させるのもNGです。②のように、キーワードの一部に+が含まれていない場合、+の無いキーワード(白い)は部分一致として扱われます。
Yahoo広告でも、基本的な表記方法は同じです。キーワード作成時の入力画面で、絞り込み部分一致を指定したいキーワードの前に半角の+記号(プラス記号)を入力します。+と単語の間にスペースを入れないという注意事項も同じです。
複数のキーワードが含まれている場合、一部だけ絞り込み部分一致にしたい場合は、「白い +車」など設定したい方にだけ+記号を書きます。
Yahoo!広告では、絞り込み部分一致は部分一致の拡張機能という扱いなので、キーワード登録時に選択するマッチタイプは「部分一致」を選んでください。
絞り込み部分一致は、配信するキーワードの精度とリーチのバランスが取れたマッチタイプです。どのような役割を果たしているかをわかりやすく示すため、他のマッチタイプの特徴を説明します。比較してみると、広告の目的に応じてマッチタイプを適切に設定することの重要性がお分かりいただけるかと思います。
部分一致とは、指定したキーワードに関係のある内容の検索が広告の表示対象になるマッチタイプです。設定したキーワードと一致率が低くても、関連しそうな検索に対して児童で表示してくれるので、広告のリーチ数がかなり多くなります。マッチタイプの中で、一番多くのキーワードで広告が表示されるという特徴があります。一方で、「何でこんなキーワードに対して広告が出ている?」と思うようなケースもあるので、除外設定など細かい運用が必要です。
Google広告のヘルプページによれば、「低炭水化物ダイエット プラン」というキーワードを部分一致で出稿した場合、「炭水化物不使用 食品」や「低カロリーレシピ」「ロカボ ダイエット」などの検索語句でも広告が表示されます。指定したキーワードが入っていない検索語句についても広告が表示される可能性があります。
参考元:Google公式ヘルプ-キーワードのマッチタイプについて
部分一致は、他のマッチタイプを指定しなかった場合に自動的に割り当てられる、一番基本のマッチタイプです(Google広告の場合)。ユーザーの最近の検索内容やランディングページのコンテンツ、広告グループ内の他のキーワードなどを参考にしながら、幅広いキーワードを網羅してくれるので、リスティング広告の運用経験が少ない人でも、キーワード作成の時間を短縮化できます。自分が想定していなかったキーワードでも配信することができるので、潜在ユーザーにもアプローチでき、多くの集客が期待できます。
幅広いターゲットにリーチできる分、クリックされても購入や問い合せといったコンバージョンにつながりにくいというリスクもあります。たくさんのキーワードで配信してみて、実際の広告効果を見ながら、不要なキーワードを除外設定するなどして、成果の上がっているキーワードだけを厳選していき、広告費用を集中的に投資するという使い方がおすすめです。
フレーズ一致とは、ユーザーの検索語句の中に、自分が設定したキーワードが含まれていた時に、広告表示されるマッチタイプのことです。表現が違っても、同じ意味に解釈できる場合は同じとみなされます(靴とシューズなど)。また、以前は語順まで同じことが求められていましたが、現在は語順問わず、メインとなるキーワードが含まれていて、意味が同じであれば、基本的に広告が表示される仕様になっています。
※検索する際に語順が大きい意味を占める場合(例:「”引越しサービスの東京から神奈川”」という語句であれば、「引越しサービスの神奈川から東京」には表示されません)
部分一致よりも表示するターゲットを絞り込むことができるので、商品やサービスの購入を検討しているユーザーに広告を表示しながら、さらに広いユーザーに向けてアピールできます。フレーズ一致のマッチタイプを利用しているキーワードは、”(ダブルコーテーション、二重引用符)で囲みます。
Googleの公式ヘルプの例を出すと、「”テニス シューズ”」というフレーズ一致のキーワードの場合、「テニス用シューズ」「赤いテニスシューズ」「テニススニーカー」という検索が行われた際にも表示されます。
Google広告においては、2021年2月のアップデートで絞り込み部分一致とフレーズ一致の動作に差がなくなります。Yahoo!も同様の変更を行います。ですので、これからは絞り込み部分一致=フレーズ一致と認識してもらって問題ありません。
自分の設定したキーワードか、そのキーワードに+αの内容が付け加えられた場合にのみ表示されるので、想定外のキーワードからの流入が起きないという特徴があります。それでいて、完全一致よりは柔軟性があるので、ニーズに近い検索をしているユーザーを取りこぼすことがありません。精度とリーチのバランスの取れたマッチタイプです。
完全一致は、読んで字のごとく、指定したキーワードと全く同じ意味、同じ意図の検索のときだけに広告が表示されるマッチタイプです。一番広告配信ユーザーを絞り込めるという特徴があります。キーワードを完全一致に指定するときには、検索キーワードを[](角括弧)で囲みます。
Google公式のヘルプ例を出すと、「[男性用のシューズ]」という完全一致キーワードの場合、「シューズ 男性」「男性 靴」などの検索結果には表示されますが、「男性用テニスシューズ」「男児用シューズ」という検索結果には表示されません。
広告の表示回数は少なくなりますが、上手にキーワード設定ができれば、関心の高いユーザーにのみ広告表示ができるマッチタイプです。ただ、もしかするとコンバージョンにつながりやすいかもしれないキーワードを取りこぼしていたら、大きな機会損失になってしまう可能性もあります。
Google広告・Yahoo!広告の両方において、絞り込み部分一致のマッチタイプが2021年に大きく変わります。端的に言うと、「絞り込み部分一致」というマッチタイプが使えなくなります。ですので、今後のマッチタイプは完全一致・フレーズ一致・部分一致の3種類での運用です。
リスティング広告を運用されている方にとっては、大きな変更点です。最後に、2021年のマッチタイプに対するアップデート内容を補足します。
絞り込み部分一致というマッチタイプはなくなりますが、完全に使えなくなるというわけではなく、「フレーズ一致の動作の中に含まれる」という形です。
Googleはリスティング広告でより多くの顧客にリーチできるよう、ユーザーの検索意図を測るための技術を開発し続けています。その結果、キーワードのマッチング精度がかなり高くなり、誰でも簡単に運用管理ができるようになりました。改善を続ける中で、フレーズ一致と絞り込み部分一致の用途が同じということが見えてきたため、2021年のアップデートでこの2つを組み合わせ、広告のパフォーマンスを高める方向にシフトしたようです。
従来の絞り込み部分一致:キーワードが、検索語句に含まれている場合に広告表示
従来のフレーズ一致:キーワードが、語順含めすべて含まれている場合に広告表示
今後は、フレーズ一致を選べば、指定したキーワード(と、それと同じ意味のキーワード)に関連する検索内容のときだけに広告が配信できます。フレーズ一致検索で基本的に語順は関係なくなりますが、語句の意味の中で語順が重要となる場合(例:神奈川から東京など)は従来どおり語順を自動的に考慮してくれます。
Google広告では、今後絞り込み部分一致に関するサポートが終了されます。2021年2月には新しいマッチング動作(フレーズ一致)への移行がスタートされます。これは自動で行われるので、絞り込み部分一致指定しているキーワードがある場合でも、わざわざマッチタイプを切り替える作業は不要です。
そして、7月には絞り込み部分一致の新規作成ができなくなります。設定済みの絞り込み部分一致については引き続き使えますが、従来の表示範囲ではなく、フレーズ一致と同じ方法で配信されます。ですので、管理の手間を省くためにも、絞り込み部分一致を利用している方は設定を見直すことをおすすめします。
マッチタイプは、効率的に広告を運用するための機能です。Googleの発表でもあったとおり、ユーザーの検索語句は非常に多様化していてユーザーの検索語句のうち、15%は新たに生まれているそうです。
参考元:Google公式ヘルプ-検索広告を目的のユーザーに表示しやすくするために
多様な検索意図をリスティング広告に落とし込むために、1つ1つのキーワードを洗い出すのは限界があります。自動で関連キーワードまで広告表示をしてくれるマッチタイプという機能は、上手に活用することで広告運用の手間を減らし、効果を上げるためのポイントとなります。
今回のアップデートをきっかけに、キーワード設定を見直し、よりよい運用ができるようにしてください。
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