流入ユーザーのWebサイトの滞在時間は、長いほうがなんとなくSEO効果に好影響をもたらすようなイメージがありますが、実際のところどうなのでしょう。Webマーケティングに携わる方ならば、事前に知っておきたいサイト滞在時間とSEOとの関係性について解説します。
また、具体的にどのようなポイントを意識して改善をすればサイト滞在時間は伸びるのか。運営しているWebサイトの滞在時間の確認方法もあわせてお伝えします。SEO効果から逆引きで施策を展開したいWebマーケターは、ぜひご覧ください!
目次
サイトの滞在時間とSEOの関係性を解説する前に、滞在時間の定義を明確にしておきたいと思います。ここでいう滞在時間とは、Webページの解析を行うツール「Googleアナリティクス」で表示されるものを指します。
「滞在時間」という言葉が含まれる指標には「平均ページ滞在時間」がありますが、これは”1ページあたりのユーザーの滞在時間”を表しており、全ページの平均滞在時間を確認することができます。これとは別に”ユーザーのセッション時間の平均”を表す「平均セッション時間」という指標も存在します。概念的にはこの2つの指標が記事で扱う「滞在時間」となります。
では、より具体的にGoogleアナリティクスで2つの指標がどのように計測されるかをみていきましょう。前者の「平均ページ滞在時間」の計測方法は、各ページごとのユーザーの滞在時間(ページ表示から離脱まで)の平均を示すシンプルなものです。
一方で後者の「平均セッション時間」は、少し特殊な計測方法をとっているので、その点を理解しておく必要があります。
Googleが掲載するアナリティクス ヘルプ「平均セッション時間」によると、以下のようなページ遷移を例にあげて解説しています。ここでは、ページ遷移は「ヒット」と表記されています。
この場合、平均セッション時間は「午前10時10分 − 午前10時 = 10分」となる
ここで見落としてはいけないポイントは、平均セッション時間はユーザーが”最後にアクセスしたページが表示された時間から最初にアクセスしたページが表示された時間を差し引いた値”(厳密にはユーザー分の平均値)であるということ。つまり、最後のページ(上記ではページ3)に滞在していた時間は、平均に換算されないのです。
そのため、離脱前のページで仮に1時間滞在していたとしてもそれは平均セッション時間に含まれません。流入したページで離脱した場合は、1ページしかアクセスしていないので平均セッション時間は0(ゼロ)になるのです。
このような特徴をもつWebサイトの滞在時間。では、記事タイトルにあるようにSEO効果に影響はあるのでしょうか?
実は、Webサイトの滞在時間は直接的にはSEO効果に影響を与えないとされています。つまり、Webサイトの滞在時間はいくら長かろうと短かろうと、それでSEO順位がアップする……なんてことはないのです。ですから、自分が運営しているWebサイトの滞在時間が短いからといって、一喜一憂する必要はありません。
一方で、このような報告も存在します。少し前になってしまいますが、2010年の段階でMarkeZine(マーケジン)が伝える記事※の中で動画を用いたビデオSEOは、動画が埋め込まれていないページと比べると約53倍の確率で検索結果の1ページ目に表示されると報告しています。
2010年の記事ですから古い情報ではありますが、2020年現在は記事で示されているようにYouTubeをはじめ動画コンテンツ全盛ともいえる時代であり、Web上での動画視聴者は圧倒的に増えています。
そして、直接的には関係がないものの、動画を添付しているWebページのほうがより検索ユーザーの課題解決やニーズ喚起に繋がるため、結果的にCV(コンバージョン)転換率は高い傾向にあるようです。
参考元:MarkeZine「ビデオSEOで53倍の成果、ソーシャルメディア経由ユーザーは検索経由ユーザーに比べ視聴時間が長い【アメリカ最新動画活用事情】」
ただし、Googleのゲイリー氏は以下のような言及をしています。
Having a video on your page will absolutely not help you rank better in web search.
Obviously you’re entitled to have your own opinion tho— Gary 鯨理/경리 Illyes (@methode) May 5, 2017
この言及では、動画がSEO順位を上げることに役立たないとGoogleのスタッフが言及しています。
では何故、動画が埋め込まれたページの方が検索結果の1ページに表示されているのでしょうか。
動画をページに埋め込むことと検索順位に相関性は認められそうだが、直接の因果関係はないということでしょう。
ただし、ユーザーに役立つ動画を提供する人は、動画以外のページ内情報もユーザーに役立つものを提供していると考えれば、検索結果で上位表示されやすい傾向があることにも納得できます。
結局の所、本当にユーザーに役立つ情報を提供できたコンテンツが上位表示できるものと言えでしょう。
滞在時間が短いことに悩みを抱える運営担当者が、滞在時間をより長くしていくには、どのようなポイントを見直せばよいのでしょうか。次は、平均ページ滞在時間を長くするコツについてお伝えします。
まず一つ目は、検索内容に見合ったコンテンツを作成するということ。皆さんは、Webサイト内の各ページが主にどんな検索クエリ流入しているか把握されているでしょうか。されていないのであれば、GoogleアナリティクスまたはSearch Consoleで各ページの主な検索クエリを整理しましょう。
そのうえで、検索クエリから想起される”検索ユーザーが知りたいとされる情報”と実際のページ内で説明している内容が合致しているか、ちゃんとユーザーのウォンツ(Want)を満たせているかをチェックしましょう。
当然ですが、検索ユーザーは自分のなにかの課題を解決したくてネット検索をしています。そして、その解決したい情報(=知りたい情報)が載っているWebページを注意深く精読する傾向にあります。精読し、Webページおよびサイトに価値があると感じたら、他のおすすめ記事や関連記事まで遷移してサイト内に滞在する時間も長くなるでしょう。
ここまでの流れを想像すれば理解できると思いますが、他のページも遷移して「このWebサイトいいな!」「運営元はこんなサービスや商品を扱っているんだ!」とユーザーが感じてくれることで、CV(コンバージョン)転換に繋がるのです。
二つ目は、ユーザビリティの高いコンテンツということ。ユーザビリティとは、IT用語のひとつで「ユーザーにとっての使いやすさ、心地よさ」のような意味を持ちます。先ほど紹介した「検索内容に見合ったコンテンツ」と近しい内容ですが、もう少し上流の範囲を示す内容だと捉えてください。
Webページに検索ユーザーが流入してきた時、自分(ユーザー)の知りたい情報が載っていなさそうなデザイン、レイアウト、雰囲気だったためすぐにページを離脱した……というご経験をお持ちの方も皆さんの中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
まさに、その離脱に影響を与えたのがユーザビリティです。検索ユーザーはそれぞれ特定の課題を持ってサイトに訪れるというのは先述した通り。そして、Webサイトやメディアの発信する情報に一定の統一性(コンセプト)があった場合、ある程度、固定の属性に検索ユーザーは収束しがちです。
この時、検索ユーザーの属性(ターゲット像またはペルソナ)をしっかり理解し、実際のユーザーとズレなく認識することで、どのようなWebサイトの画面設計やデザイン、トンマナであればフィットするのかというユーザビリティの向上に着手することができる。だからこそ、検索クエリから検索ユーザー像を適切に認識し、彼らに受け入れられ読了や遷移に向かうユーザビリティが求められるのです。
三つ目は、ページの表示速度を改善するということ。ページの更新にかかる時間が長く、表示速度が遅い場合、Webサイトを遷移せず1ページ目で離脱する「直帰率」は高まる傾向にあります。
この点について、2017年と2018年にGoogleによる調査が行われています※。 調査によると、ランディングページとなるページの表示速度が1秒から3秒に遅くなると直帰率が32%増加。6秒まで遅くなると106%増加、10秒で123%増加すると報告されています。このように、他のページを遷移する可能性が下がるので、ページの表示速度は平均ページ滞在時間に影響をもたらすのです。
自身のWebサイトの表示速度が問題ないかは、Google PageSpeed Insightsというツールを使うことで確認できます。該当サイトのURLを入力し、一般的には85点以上であれば問題ないとされています。
ページの表示速度に問題がある場合どうしたら改善できるのかというと、厳密にはサイトごとに原因は異なりますが、主に以下の原因が当てはまるケースが多いです。Google PageSpeed Insightsで診断結果が表示されますので、それをもとに改善しましょう。
原因 | 詳細 |
---|---|
画像ファイルを最適化する | 画像ファイルのサイズを小さくすること。方法としては「ロスレス圧縮」が好まれる。「TinyPNG」や「JPEGmini」などのツールで圧縮可能。 |
ブラウザのキャッシュを活用する | ブラウザに残っているキャッシュを利用し、再度同じページを表示する際の表示工数を減らすこと。具体的には「.htaccess」にディレクティブ(プログラムなどの処理方法の指示)を記述して設定する。 |
サーバーのスペック改善または外部サーバーの活用 | データをアクセスするサーバーのスペックを改善することで表示速度をあげること。また、AWSなどの外部サーバーにデータを移管することで表示にかかる負担を軽減すること。 |
参考元:Think with Google「Find out how you stack up to new industry benchmarks for mobile page speed」
ここまで「滞在時間を伸ばすこと = 良いこと」のように解説してきましたが、一概にそうは言えません。あくまで、ページごとに平均滞在時間を捉えていく必要があると考えています。
というのも、例えば「よくある質問」や「サポートページ」などのページで滞在時間が長いというのは、ユーザーが求めている質問の答えがわかりづらいから……が原因であるとも考えられないでしょうか。このようなページは一定の精読性があるものですが、困っている悩みや質問の答えを知るまでに時間がかかってしまう(滞在時間が長くなる)のは、本来的にはあまり良いとはいえません。
ですから、Webサイトの滞在時間を評価する際には、”どのようなページであるか”ページごとにユーザーに届けたい目的や効果から評価を行なっていくようにしましょう。
最後に、実際にWebサイトの平均ページ滞在時間と平均セッション時間の確認方法について解説します。Googleアナリティクスを用いた確認はとてもカンタンですので、以下にご紹介する流れに沿ってチェックされてみてください。
はじめにご説明するのは、Googleアナリティクスでの「平均セッション時間」の見方について。上の画像にありますように、Googleアナリティクスの画面左「ユーザー」>「概要」をクリックして画面を開きます。次に、表示された画面の中央右にある「平均セッション時間」をクリックすると日別の数値の推移を確認できます。表示する日別の範囲は、画面右上の期間が表示されている箇所より調整することができます。
次にご説明するのは、Googleアナリティクスでの「平均ページ滞在時間」の見方について。ここでは、上の画像にありますように、Googleアナリティクスの画面左「行動」>「サイト コンテンツ」>「すべてのページ」をクリックして画面を開きます。
すると、登録されているWebサイト配下のページ別の「平均ページ滞在時間」が表組みで表示されることと思います。全てのページの数値を確認したい時は、画面右下の「表示する行数」を上限いっぱいまで増やせば見ることができます。数値を昇順で並び替えたい時は、表の「平均ページ滞在時間」の箇所をクリックすれば、ソート(並び替え)が可能です。
記事では、Webサイトの滞在時間の定義やSEOに効果的であるか、滞在時間を伸ばすための主な施策について解説してきました。Webサイトの滞在時間(「平均セッション時間」「平均ページ滞在時間」)は、長いほうが多くの場合、CV(コンバージョン)転換率を高め、検索ユーザーの満足度を高めていると考えることができます。
しかし、厳密には”該当するページがどんなページであるか”を理解しながら評価するようにしてください。記事で取り上げたように「ヘルプページ」などで、滞在時間が長い場合は、逆にユーザーに不便さを与えている可能性があります。
Webマーケティングに携わる身として、数値の見方や改善施策は細かく丁寧に考えて進めていくようにしましょう!
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