SNSを使って多くの人に商品やサービスをアピールする「インフルエンサーマーケティング」は、Web担当者に注目を集めているマーケティング手法です。
特に、若い世代を中心に使われているInstagramは、ファッションやコスメ、ライフスタイルの発信先として人気を集めていて、多くのフォロワーを有するインスタグラマーの投稿は、企業にとって非常に魅力があるものです。
この記事では、Instagramを活用したインフルエンサーマーケティングについて、注目されている背景や事例、価格体系、導入する際のポイントなどを分かりやすくご紹介します。
目次
インフルエンサーとは、芸能人や著名人、SNS上でフォロワーが多く、個人の発言が周りに大きな影響を与える存在のことを指します。インフルエンサーマーケティングとは、インフルエンサーに自社の商品やサービスを紹介してもらい、認知度を高めたり、購入の後押しをしたりするマーケティング手法を指します。
以前は芸能人などのメディア露出の多い人がインフルエンサーとしての役割を担っていましたが、SNSの普及により、一般人の投稿も大きな話題を集めるようになりました。加えて、商品やサービスの購入に際して他の人の評価(口コミ)を重視する傾向も増えています。
自分が普段から投稿を読んでいる人がメッセージを発信することで、その広告はより「自分ごと」としてとらえられるようになります。その結果、従来型の広告(メディア広告やWebのリスティング広告、バナー広告など)と比べて、ブランド認知や購買意欲の向上を効果的に進められる手段だと期待されています。
インフルエンサーマーケティングを行う媒体は複数ありますが、中でも活発に活用されているのがInstagramです。特に若い女性に支持されているSNSで、2019年6月にはユーザー数3,300万人を突破。新機能も追加されていて、ユーザーに直接アプローチしたいと考える企業にとってマーケティングの可能性が広がっています。
Instagramを活用してインフルエンサーマーケティングが注目されている背景には、次の理由があります。
インフルエンサーは、美容やファッション、旅行、グルメなど特定のジャンルに特化した投稿を行います。フォロワーには、そのジャンルに興味関心を高く持つ人が集まります。自社の商品やサービスに興味を持つであろう潜在層に向けて、口コミと合わせて商品やサービスを効果的にアピールすることができます。
一般的な広告は商品やサービスの魅力を一方的にアピールする内容ですが、インフルエンサーマーケティングの場合は口コミの側面が強いです。実際にインフルエンサーが商品を使っている動画や写真、感想を投稿するので、目にした人はその内容を自然と受け取ります。
「インスタ映え」という言葉が流行した通り、Instagramでは写真で商品やサービスの魅力を発信します。ビジュアルの与える影響は大きく、受け手に好印象を与えることが期待できます。最近は「ムービージェニック」という言葉も生まれている通り、動画でのアピールにも強みを発揮しています。
Instagramの場合、投稿を見た人が「いいね」等の反応を行います。どのくらいの人に届いたか、どのくらいの人に好感を持たれたかが数値として分かりやすいので、PDCAサイクルを効率的に回すことができます。より成果につながったインフルエンサーに継続して協力してもらうことで、さらに効果的なマーケティングを続けるということも可能です。
インフルエンサーとの契約内容にもよりますが、実際の投稿画面を自社のアピール材料として二次利用も可能です。「インスタで話題」として、複数のインフルエンサーに投稿されているキャプチャ画像を掲載すれば、ECサイトやランディングページなどの説得力が増します。
インフルエンサーマーケティングの具体例を2つご紹介します。
まずは、モデルとして活躍する近藤千尋さん。ママとしての日常投稿も人気が高く、約150万人のフォロワーを有します。以下の投稿では、美容液リップのPRを投稿しています。唇型の容器の特徴を生かしたクリエイティブで、42,000件のいいねを獲得。コメント欄も好意的なものや「買います」という内容が多く、フォロワー層へ強く訴求できています。
引用元:chipichan.1215
次は、食品分野に特化したデリスタグラマーmikuさん。こだわりのお皿にスイーツやパンを載せた食卓投稿の多い投稿は1つ1つのクオリティが高く、まるで雑誌のクリエイティブのようなクオリティです。この投稿では、お茶をPR。カフェのような写真の素敵さに加え、文章中でも香りについて触れられており、試してみたい気になります。
引用元:miku_colors
Instagramには、日々たくさんのPR投稿が行われています。「#pr」タグで検索したり、インフルエンサーの投稿を確認したりすると、理解が進みます。
Instagramの主要ユーザーは、20代~40代の女性です。この層をターゲットにしている商品やサービスの方が、効果的にマーケティングを進められるでしょう。
また、ジャンルとしては美容やファッション、グルメ、旅行などが向いているといえます。いずれも女性の興味関心の強い分野であり、フォトジェニック(ムービージェニック)な投稿につながりやすい分野でもあるからです。これらの分野は、インフルエンサーもジャンルに特化した投稿を続ける傾向にあります。特定のコミュニティに強い影響を与えるインフルエンサーを「マイクロインフルエンサー」といいます。マイクロインフルエンサーを上手に活用すると、そのファン層ももちろん、その分野に高い関心を寄せていると考えられるので、コストパフォーマンスの良いマーケティングにつなげられます。
多くの人に支持されるインフルエンサーが、魅力的な投稿で商品を紹介することで、多くのターゲット層から反応があることが期待できます。
インフルエンサーマーケティングを実施する際は、Instagramで活躍するインフルエンサーに協力を依頼する必要があります。しかし、一人一人にアポイントメントを取り、やり取りをしていくのはかなり大変です。そこで、各ジャンルに精通したインフルエンサーを多数擁している専門業者を利用してインフルエンサーマーケティングを行うのが一般的な手法です。
業者によって料金体系は異なりますが、以下の形式を採用しているところが多いです。
一般的に取り入れられているのが、インフルエンサーのフォロー数に応じて料金が変わる形式です。フォロワー数に応じて基本料金が決められていたり、1フォロワー当たりいくらという形で実際のフォロワー数によって料金が増減したりします。
投稿件数によって料金が追加される形式です。ただ、特にInstagramの場合は広告を敬遠する層も多いです。インフルエンサー個人が何度も投稿するのは広告としての印象を強めてしまうので、投稿数が多いからと言って効果が高まるわけではありません。慎重に検討しましょう。
運用型広告のように、投稿後にどのくらいの反応があったかによって料金が変わる形式です。投稿の「いいね」数等、実際の反応に応じて課金されます。フォロワー数のわりに反応が良くなかったというようなリスクを抑えることができます。
最後に、これからInstagramでインフルエンサーマーケティングを行いたいと考えているWeb担当者の方に向けて、開始前に注意しておきたいポイントを7つにまとめてご紹介します。
効果的にマーケティングを行うためにも、各項目をしっかり理解しておきましょう。
Instagramに限らず、インフルエンサーマーケティングを行う際に最大のポイントになるのが「インフルエンサーの選定」です。いくらフォロワー数が多くても、商品やサービスのターゲット層とかかわりの薄いインフルエンサーであれば、フォロワーの反応は鈍くなるでしょう。マーケティングの効果を高めるためには、商品やサービスと関連性の高いインフルエンサーを選ぶのが大切です。
もちろん、要望を伝えてインフルエンサーのキャスティングを行ってくれる業者を探すというのも有効な方法です。ただ、すべてを第三者に一任するのではなく、自分たちでもインフルエンサーの日ごろの投稿を確認して、自分の商品・サービスを使う相手として適しているか、商品コンセプトと合っているかを検討しましょう。
フォロワー数が多いインフルエンサー1人に依頼するより、フォロワー数はやや少なくても、ターゲット層に親和性の高いインフルエンサー複数人に依頼するほうが高い効果が期待できます。
インフルエンサーマーケティングの特徴の一つは、広告内容をインフルエンサー本人が作成する点です。より効果を高めたいのであれば、依頼候補のインフルエンサーの投稿を確認し、商品やサービスを魅力的にアピールしてくれるかを確認することをお勧めします。
中には、どのPR商品についてもそれなりの写真・似たような文章でアップするインフルエンサーもいます。できれば、撮影や加工にも一工夫加えてくれて、しっかり商品を試した上で自分の言葉でコメントをくれるようなインフルエンサーに依頼したいところです。
人気のあるインフルエンサーには、たくさんのマーケティング依頼が集中します。いくら自社の商品をアピールしてもらいたいと思っても、確実に投稿してもらえるとは限りません。
特に自分たちで直接アプローチする場合には、金額と内容の提示だけでなく、自社の商品をアピールすることで、フォロワーにどのようなメリットがあるのか?という点まで具体的に伝えることをお勧めします。インフルエンサーが投稿したくなるネタを提供するのです。例えば、「自社の商品には乾燥肌でも粉吹きに悩まないファンデーション(しかもプチプラ)という特徴があるので、紹介してもらえると、秋冬のファンデーション選びに迷っている若い世代に喜んでもらえると思います」というイメージです。
インフルエンサーにとって、多くの人の反応が得られることはやりがいにつながります。お金の面だけでなく、その先のメリットを提示することで、協力も得られやすくなり、クリエイティブの質も上がるはずです。
広告ではないと偽って宣伝をする「ステルスマーケティング(ステマ)」は消費者に嫌われます。ステマをしていることがバレれば、商品やブランドの好感度は大いに下がり、マーケティングにとって逆効果になります。
インフルエンサーマーケティングをする上ではすでに周知の事実になりつつありますが、インフルエンサーに商品を紹介してもらう場合には広告であること、企業とのタイアップ投稿であることが分かるハッシュタグ(「#PR」や「#ad」)をつけて投稿してもらうことを徹底しましょう。
インフルエンサーの活用だけでなく、同時にほかのメディアへも出稿を行ったり、ハッシュタグを使ってユーザーにも投稿してもらうキャンペーンを計画したりと、Instagramにとどまらない展開を検討しましょう。Instagramの投稿をたくさん見てもらうというのも重要ですが、Instagramの投稿は繰り返し目にすることは少ないです。いろいろなタイミングで商品を見かける機会を演出することで、効果的な販促につながります。
可能であれば、投稿前に内容を見せてもらい、社内でチェックすることをお勧めします。商品のロゴが写っていない、商品写真が小さすぎる、PRタグがつけられていない等の問題を事前に防ぐことができます。
また、不愉快な表現や誤解を招く表現が含まれていれば、炎上する可能性もあります。インフルエンサーの自由なクリエイティブに期待しながらも、最低限のチェック機能は準備しておきたいですね。
インフルエンサーマーケティングに着手するために、何のために行うのか目的や目標を明確にしましょう。例えば、「商品購入を3か月で100件にする」などの具体的な数値目標を準備します。そうすることでインフルエンサー選びの軸もしっかりしますし、客観的な効果測定ができ、改善につながります。
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インフルエンサーの個性にあったプロモーションを展開することが、Instagramにおけるインフルエンサーマーケティングの成功のカギです。自社の商品やサービスにあったインフルエンサーを見つけ、効果的な販促に活用しましょう。
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