Webページの高速化を実現するには「キャッシュ」の知識が欠かせません。Webページの表示速度は、SEOだけでなくユーザー体験にとっても重要な指標です。表示速度がアップすることで、ページを閲覧するユーザーの体験が向上し、満足度やコンバージョン率の改善が期待できます。この記事では、キャッシュの役割やメリット・デメリット、削除の方法を詳しく解説します。
目次
ブラウザのキャッシュとは、閲覧したWebページのデータを一時的にブラウザに保存する仕組み・機能のことです。キャッシュがあることで、2回目以降の訪問の際はキャッシュ内に保存されたリソースを再利用できるようになります。その結果、読み込みの負担が少なくなり、表示スピードのアップが期待できます。
キャッシュとよく似た仕組みに「Cookie」があります。ChromeやSafariなどのブラウザを使ってWebサイトを閲覧していると、画面にはさまざまな情報が表示されます。キャッシュやCookieを使用することで、それらの情報の一部を記録し、必要なときにすばやく取り出せるようになります。
キャッシュとCookieは、どちらもWebページを訪問したユーザーの快適性をアップさせる仕組みである点は変わりません。
違いは保存する情報の内容にあります。具体的には、キャッシュは画像やHTMLファイルなどの静的なデータを一時的に保存する機能です。
一度読み込んだデータを保存しておくことで、次回以降の表示速度の高速化を目的としています。
一方で、Cookieはユーザーのログイン情報やWebページ内における操作の内容を保存する仕組みです。これにより、次回同じページにアクセスした際にログイン情報の入力などが不要になり、ユーザーの利便性が向上します。
ブラウザ以外にもキャッシュの仕組みを利用しているものは多くあります。Google検索のキャッシュ機能もその一つです。Googlebotが最後に保存した情報を確認できる機能で、以前はGoogle検索結果画面からアクセスできました。
しかし、この機能は2024年2月までに廃止され、現在では利用できなくなっています。2024年5月30日時点では、直接キャッシュを表示させる「cache:」検索演算子は使用できますが、こちらも将来的な廃止が予定されています。
つまり、Google検索では、ユーザーがブラウザに保存されているキャッシュを確認する方法が近いうちになくなります。
ブラウザのキャッシュには、表示速度や通信量の面でメリットがある一方で、古い情報が表示されたり、ブラウザが重くなったりといったデメリットもあります。ここでは、それぞれを詳しく解説します。
キャッシュを活用することで、一度読み込んだWebページの画像や文章などのデータが端末内に保存されます。そのため、次回アクセスする際にサーバーからデータを再ダウンロードする必要がなくなり、Webページの表示速度の向上が期待できます。
特に、データ容量が大きくなりやすい画像やJavaScriptなどを多用しているページほど、キャッシュの効果は絶大です。また、インターネットの接続速度が遅い環境や低スペックの端末を使用している場合にも、キャッシュは大いに活躍するでしょう。
キャッシュによってデータの再ダウンロードが不要になるため、Webサイトを利用する際の通信量を大幅に節約することが可能です。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で、データ通信量の制限があるプランや従量課金制のプランを利用している方にとって大きなメリットとなります。
キャッシュはあくまで一時的なデータ保存であり、常に最新の情報が反映されているわけではありません。そのため、Webサイトの内容が更新されたにもかかわらず、古い情報がキャッシュに残っている場合があります。特に、頻繁に更新されるニュースサイトやブログなどにおいては、この問題が発生しやすい傾向にあります。
最新の情報を表示するには「スーパーリロード」を行いましょう。スーパーリロードは、ブラウザに保存されたキャッシュを無視し、強制的に最新のページ情報を読み込む方法です。以下のコマンドで実行できます。
なお、スーパーリロードはパソコンでしか行えません。スマートフォンの場合は後述するキャッシュの削除で対処しましょう。
キャッシュが大量に蓄積されると、ブラウザの動作が重くなったり、エラーが発生したりする可能性があります。これは、キャッシュデータが端末のストレージ容量を圧迫したり、ブラウザの処理能力を低下させたりするためです。この問題を防ぐには、定期的にブラウザのキャッシュをクリア(削除)するのがおすすめです。
キャッシュの蓄積によるデメリットを回避するために、キャッシュを削除する方法をお伝えします。パソコンとスマートフォンに分けて解説しますので、ご自身の環境に合わせて試してみてください。
※ご利用の端末や環境によって手順が異なる場合があります。
パソコン(Windows)でChromeを使用している場合は、以下の手順でキャッシュを削除できます。
「Ctrl+Shift+Delete」のショートカットを使えば、直接設定画面に移動することもできます。
キャッシュを削除する期間は「1時間以内」「過去24時間」「過去7日間」「過去4週間」「全期間」の5つに分かれています。長い期間を指定するほど多くのキャッシュを削除できますが、同じページに再びアクセスする際はデータの再ダウンロードが必要になるので注意しましょう。
キャッシュのみを削除したい場合は、「キャッシュされた画像とファイル」にチェックを入れましょう。Cookieや閲覧履歴なども削除したい場合は、それぞれを選択します。
iPhoneのSafariでキャッシュを削除する手順は次の通りです。
iPhoneのSafariの場合、指定できる期間は「過去1時間」「今日」「今日と昨日」「すべての履歴」の4種類です。なお、Chromeのようにキャッシュのみを削除することはできず、閲覧履歴やCookieを含めてデータが削除されます。
iPhoneでChromeを使用している場合は、下記の手順でキャッシュをクリアできます。
指定できる期間はパソコン版のChromeと変わりません。削除したいキャッシュの量を考慮して決定しましょう。
Safariとは異なり、キャッシュ情報に加えて閲覧履歴やCookieまで削除することが可能です。
Android端末を使用している場合、メインのブラウザはChromeが一般的です。キャッシュクリアの手順を以下でご紹介します。
削除できる期間はパソコン版のChromeと同様です。
iPhoneと同様、閲覧履歴やCookieまで削除するかどうかを選択できます。
ブラウザが重くなる原因はキャッシュの蓄積だけではありません。ブラウザが重く、思うように操作できないときは、以下の方法も試してみてください。
複数のタブやウィンドウを同時に開いていると、メモリやCPUの使用率が高くなり、ブラウザが重くなる原因になります。不要なタブやウィンドウはこまめに閉じておきましょう。どのタブを閉じるべきか迷った場合は、メモリの使用率が高いものから処理するのがおすすめです。
ブラウザで利用できる拡張機能は便利ですが、入れすぎると動作不良の原因となる場合があります。定期的に拡張機能を見直し、使用していないものは削除、もしくはオフにしておくと良いでしょう。
ブラウザを古いバージョンのまま使用していると、重くなったり不具合が生じたりと、Webページ閲覧時のパフォーマンスに影響することがあります。また、セキュリティ上の脆弱性が見つかった場合にウイルスに感染しやすくなるなどの危険性もあるため、ブラウザのバージョンは常に最新の状態にしておきましょう。
端末のメモリが不足していると、ブラウザを含むすべてのアプリで動作が遅くなったり、エラーが発生したりします。対策としては、使用していないアプリや不要なファイルを削除し、メモリ容量を確保するのが効果的です。ほかにも、パソコンの場合はメモリを増設する、スマートフォンであればメモリ容量の大きい端末に買い替えるなどの方法もあります。
キャッシュは、正しく設定することでWebページの表示速度を改善し、ユーザー体験や検索エンジンからの評価の向上につながる可能性があります。一方で、古いキャッシュが残っていると、コンテンツを更新してもなかなか反映されなかったり、ブラウザの動作が遅くなったりします。今回紹介した方法を参考に定期的に対処を行いましょう。
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