2014.12.26インタビュー

[インタビュー]コンテンツマーケティングの成功条件と今後の展望 | キノトロープ生田昌弘氏×小林剛司(DM-S)×木村和央(DM-S)鼎談

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2014年10月、私達ディーエムソリューションズはキノトロープ社・生田昌弘氏を迎え、コンテンツマーケティングの取り組みと今後の展望をテーマに鼎談形式のディスカッションを行いました。
コンテンツマーケティングを成功させるために必要な要素や取り組み方、そして、今後のコンテンツマーケティング市場やそこで提供されるコンテンツの質等について、Web制作会社(キノトロープ社)とWebマーケティング会社(ディーエムソリューションズ)双方の視点から大いに意見交換を行うことができましたので、その時の内容を御覧ください。
―――――鼎談人物―――――

・株式会社キノトロープ
代表取締役社長・生田昌弘氏

・ディーエムソリューションズ株式会社(以下「DM-S」)
取締役 インターネット事業部長・小林剛司(ファシリテーター)

・ディーエムソリューションズ株式会社(以下「DM-S」)
インターネット事業部メディアマーケティング部
部長・木村和央(DM-S社側のメインスピーカー)

――――――――――――――
 
〈以下、鼎談記事〉

小林「鼎談のファシリテーターを務めさせていただきます、DM-Sの小林です。よろしくお願いいたします」

木村「DM-Sの木村です。よろしくお願いします」

生田「改めまして、キノトロープの生田です。よろしくお願いします」

小林「鼎談のテーマとしては大きく3つ。まず『現在、コンテンツマーケティングの問い合わせは増えてきているか』、続いて『コンテンツマーケティングが成功するための条件や、実際の成功事例』、そして『日本のコンテンツマーケティング業界の今後』、という形で質問をさせていただき、そこからさらにお話を膨らませていければと考えております。

では、早速ですが1つめの質問からよろしいでしょうか?」

生田・木村「はい、よろしくお願いします」

①実際にコンテンツマーケティングの依頼は増えているか

小林「今年に入り、何かとコンテンツマーケティングは話題になっていて、実際に問い合わせが増えてきているのではないかと思いますが、体感としてはいかがでしょうか?」

生田「非常に残念な話なんですけれども、Web制作会社にそれは求められていないようです」

木村「コンテンツマーケティングが求められていないということですか?」

生田「そうです。Web制作会社がそれをやってくれるとはクライアント側は思っていないようで、コンテンツマーケティングに関する問い合わせは増えていません」

木村「それは、オウンドメディアを構築し、記事を公開することによってユーザーを捕まえ、そこからステップメールなどの形でコンバージョンにつなげていこう、といった取り組みや依頼がないということですか?」

生田「そうですね、そういった形でのオーダーが来ることがない。そうした取り組みの一環として『CMSをやりましょう』、『SNSやブログを作ってほしい』といった話があるのかもしれませんが、我々Web制作会社にはそれが期待されていない。オウンドメディアの構築や編集は、Web制作会社の仕事の範疇だと思われていないと感じています」

小林「なるほど。コンテンツマーケティングはマーケティングスタイルとして、どういったイメージでしょうか?」

木村「はっきり言ってしまうと、Google(検索エンジン)が外部リンクからコンテンツへと評価軸を移したことが、最も大きなウエイトを占めていると思います。SEOの中でコンテンツを重視している会社は、ほとんどがそこをポイントに考えていると思います」

小林「順番にまとめますと、まず生田さんのおっしゃった制作サイドとしては、テクノロジーというか箱としての要望はあるのだけれど、コンテンツそのもの、つまり中身に関する要望はそこまで増えたイメージは持たれていないということでしょうか?」

生田「そうですね」

小林「逆に木村さんの立場、マーケティングサイドから行くと、SEOの最近のアルゴリズム変化などに合わせ、それに紐付くようなコンテンツを作らなければいけない、という問い合わせが増えているということでしょうか?」

木村「はい。ただし、単純にコンテンツマーケティングをやれば、検索エンジンでの評価が高まると保障されているわけではないじゃないですか。何を発信していくのか、目的や目標はどこなのか、どういったユーザーなのか、などが必要なわけです。でも、話題先行で『コンテンツマーケティングが流行っているから導入しよう』といった感じはどうしてもありますね」

小林「話題先行ではあるものの、問い合わせ自体は増えてきていて、その先にあるものをどう作っていくべきか、という話ですね。まさしく、そこは次の質問につながってくる部分でもあると思います」

②コンテンツマーケティングに成功するための条件とは?

小林「では、その流れで2つめの質問です。話題先行の印象もあり、まだまだ多くの広告主がコンテンツマーケティングに取り組むべきか迷っている状況でもあると思います。古くからコンテンツマーケティングに取り組んでこられたキノトロープ様、そして弊社DM-S、それぞれにコンテンツマーケティングに成功するために必要な条件や、実際に成功した企業の事例などがありましたら、教えて頂けますでしょうか?」

生田「はい。もともと我々の会社は『コンテンツ=制作』だと思っています。Web制作というのは枠組みを作ったり、構築したりすることではなく、実際にコンテンツを作ることである、と。

最初の頃は、コンテンツを作るということは『広告主のサービスをきちんと伝える』というレベルでした。そうすることで、今まで紙媒体などで伝えきれなかった魅力が伝わる、というステップですね。

次のステップは、クライアント自身も気付いていない深い魅力や物語を伝えるという、Webブランディングの段階です。いわゆる開発者ストーリーなどが流行った時代ですね。そういったものを提供することで、ユーザーに商品についてより理解してもらう、もしくは好きになってもらう、付加価値を見出してもらう。こうした仕事はいろいろな企業様とやらせていただいて、有効に機能してきたと思います。

そして、これからのコンテンツマーケティングは、もう一歩踏み込む必要があると思います。踏み込んで、クライアント側のサービス自体を変えていく時代です。新しいプランやサービスをWebの中で提案・提供していく。リアルだと物理的な限界でサービスを3つくらいにしか分けられませんが、Webなら10個以上に細分化して提供できる場合も多いですよね。こういったものを考えていく必要があると思います。

このようにコンテンツの意味合いは時代とともに大きく変わっていくし、これからもっと変わっていくのかな、と感じています」

小林「ありがとうございます。では、制作サイドからのお話を踏まえて、マーケティングの現場からは、どういった形であれば成功につながると考えていらっしゃいますか?」

木村「2014年の2~3月頃からコンテンツマーケティングに取り組み始め、4月頃からサービスインしました。当初僕は、コンテンツ制作の現場から主導していたのですが、お客様や自社のコンテンツを作っていく中で、やはり単純にライターをリクルーティングして『こういうお題で書いてください』と言って作った記事だけでは、検索エンジンはそれほど大きく評価してくれないという印象を持ちました。

ですので、今行なっているお客様への提案としては、コンテンツ制作の8割を我々がやって、サービス・業種・業界の芯となる魂の残りの2割部分は、お客様自身に書いていただくという形での提案を行なっています。やはりオウンドメディアを構築する際、外部のライターが書いた記事だけでは説得力の面で足りないというか。

もちろん、リソースが足りない・書けない、というお客様も中にはいらっしゃいますが」

生田「お客様に書いていただくというのは素晴らしいですね!」

木村「そうですね。その方が惹きつけるものもあると思います」

生田「そうなると、お客様ができないことで、我々がやらなくてはいけないことがより重要なポイントになると思います。それは何かというと、雑誌でいうところの編集作業ですよね。

編集作業をうまくやるために、僕がすべての制作者にお願いしたいのは、自分自身がそのサービスを受けて体感してほしいということです。例えば、ホテルであれば泊まりに行く、現地に見に行く。クライアント側は毎日見慣れていますけど、僕たちは初めて行く感動がありますよね。

その感動をもとに、どんな記事を書けばユーザーが喜んでくれるのか、もしくは誰かに伝えようとしてくれるのかということを考えてあげる。記事を書いてもらうのはクライアント側でいいんですよ。でも、編集の部分は第三者・他人の方が良い。コンサルティングですよね」

木村「客観的に見られますよね」

生田「そうです。客観的だし、良い意味で慣れてない。だからサービスを体験して、クライアント側にコンテンツを提案する。これが我々の仕事なのかなと思っています」

Webで有効な『ペルソナ』を考える

小林「どういうコンテンツが刺さるかを企画することと、それをいかに編集するかが重要だということですね。企画の部分は我々も想像がつくのですが、編集で大事なことはどのようなことでしょうか?」

生田「僕は紙の編集からWebにやって来たのですが、まず本とWebの読み方・閲覧の仕方の違いを強く感じましたね。

紙の本というのは『読もう』と思って読んでくれますよね。例え流し読みであっても、そこそこちゃんと読んでくれるし、基本的に頭のページから順番に読んでくれます。前提として、読む順番も基本的には決まっていて、興味の持ち方もWebよりも強い。

ところがWebはリンクなどがありますから、コンテンツを読む順番もまちまちになります。第1章を読む前に第3章にリンクで飛んでいっちゃったりする。そのため、Web独自の編集の考え方・仕方が必要だと思います」

小林「なるほど、紙とWebの違いですね」

生田「それを支えるのは最近だとペルソナですよね。

ただ、ペルソナが有効なのって実はリアルの世界の方だと思うんですよ。例えば、リアルで目の前にピンク色の華やかな表紙の雑誌が置いてあれば、20~30代女性をターゲットにした女性誌かなって一目で想像できますよね。でもWebで検索をかけても表示されるのはテキストですから、リンク先がピンク色の表紙かどうか分からない。リアルのように一目では想像がつかないわけです。

だからペルソナでターゲットが20代女性や30代女性と分かったとしても、検索キーワードからソリューションされるものが、必ずしもピンク色の女性誌とは限らないわけです。

じゃあキーワード検索でソリューションされるものは何なのか。それは『ニーズ』と『困っていること』なんです。ペルソナの有効性はリアルで見たり、手に取ったりするから発揮できる部分が大きいと思います」

小林「Webに関しては実はペルソナはあまり意味がない、ということですか?」

生田「いえ、Webに関してペルソナが無駄だと言っているわけではありません。我々の会社では、『ユーザー体験シナリオ』というニーズだけにフォーカスしたペルソナを行なっています。

年齢や性別で分けるんじゃなくて、『こんなことに困っている人!』というくくりでひとまとめにして、その人たちがどんな順番でコンテンツを読みたいと思っているか、というのを足掛かりにページの設計や編集を行っています。それがないと、どう置くか、どう見せていくか、どんな順番で読ませるか、といったことが見えにくいんですね」

小林「ニーズに特化したペルソナを足掛かりに編集するわけですね」

閲覧の仕方・順番の考え方をWebに合わせて編集する

生田「もう1つ大事なのは、見出しがない文章は絶対にダメだということです。Webは紙の本よりもパッと来た時の興味が薄いので、細かいところまで読んでくれることは少ない。そのため、何が書いてあるかを大きい文字だけで強調し、バーッと見た時に全体が分かることが必要です。

我々はそこを意識して、一覧でどんなコンテンツが入っているか分かるように、1ページで何が入っているか頭の部分で全部分かるように心がけています。ユーザーシナリオに基づいて、閲覧の仕方・順番の考え方をWebに合わせて編集することが必要だと思います。

ですから、Webの編集の場合、今までの編集の仕方で経験豊富な人材がすぐに使えるわけではないというのも難しいところです。Webの経験が長くて、Web閲覧の状況を理解している人の方が、編集自体の経験はなくてもWebの編集には向いていると思いますね」

木村「ペルソナに関しての話ですが、今はいわゆるCookieをベースに性別や年齢、興味属性がある程度分かりますよね。そういうものがあっても、ペルソナは有効に使えないのでしょうか?」

生田「そうですね。今のように検索結果がテキストだけで愛想なく並んでいて、行った先がどんなコンテンツか分からない状況では、ペルソナはさほど有効ではないと思います。

でも先ほどもお伝えしたように、無駄ではありません。つまりWebにはWebのペルソナがある、という話なんです。お客様のニーズ・問題にフォーカスしたペルソナを作らないと、コンテンツを作る上での編集や順番の決め方に向かないということです」

木村「なるほど、そうですね。弊社もペルソナを作っているのですが、よくある年齢などの基本情報と概要があって、それをニーズとウォンツで切り出して特徴付ける形です」

生田「それは正解だと思います。御社のペルソナが、しっかりとニーズなどを考えてWebに合ったものになっているのは、経験をお持ちだからですよね。『お客様はWebで何が気になるの?』っていう時に『ニーズだ』としっかりご存知だからそうできる。それは一般的に言われているペルソナとはちょっと違いますよね」

小林「そうかもしれませんね」

生田「体感的に、Webシナリオみたいな感じですよね。それは一般的に言われているペルソナからは離れた、有効なものになっていると思います」

木村「Web制作って、よく営業さんにインタビューしてポストイットとかを使って、ペルソナを作っているところもあるじゃないですか。そういったものも有効ではないんでしょうか?」

生田「お客様がどんなニーズをお持ちか、どんな人を想定して作ればいいかを考えることは決して無駄なことじゃありません。ペルソナと同じことを、ニーズ込みでしっかりやるということです。

一般的なペルソナをやると『本当にそんな人いるの?』という無駄な部分まで出てくるじゃないですか。それって時間もコストもすごくかかりますよね。でも我々はニーズだけにフォーカスしてやるから、非常に素早く、最適化されたものができるんです」

木村「ニーズ区切りということは、つまりキーワード区切りだと考えて良いのでしょうか?」

生田「そうです!そして、それは御社が昔から取り組んでおられる1番の強み、SEOですよね。実はそれと同じことを我々はやっているんです」

木村「なるほど……すごいですね!」

コンテンツ作りのために、SEO会社のような作業をする

生田「まるでSEO会社みたいなことをやっています(笑)。まず必要と思われるキーワードを全部洗い出し、関連キーワードも出してリスト化・分類化して、競合性のあるもの・ないものを調べます。つまり、どんなニーズがあるのか、ニーズが高い部分・低い部分の精査ですね。それをシングルキーワードではなく、ツーワードかスリーワードに落とし込みます。それで『コンテンツを作りましょう』と、最初のきっかけにします。

たぶん御社に聞いたらもっと良い方法を教えてもらえるんじゃないかな?(笑)」

小林・木村「(笑)」

木村「でも、検索でのコンテンツって、ニーズに対する答えを用意しないといけないですよね。つまり、答えを作っていく作業。ユーザーはニーズを満たさないと結局帰ってしまいますし」

生田「おっしゃる通りです。だから、そのキーワードに対してその企業が出せる答えを作るというのが、最初のステージだと思っています。そのコンテンツがまだないのに、他のもっと凝ったコンテンツを作る必要はないと思っています。

それを全部作り終わって、自分たちの思っているソリューションで困っている人を皆助けられる状況になったら、次のステージに行く。まずは、自分たちのサービスがきちんと困っている人に届くかが大切なんです。『御社のサービスを困っている人に教えてあげましょうよ、人助けですよ』と。

だからSEO会社のような作業をするんです。でも、あれをやりだすと皆さん悪い思い出があるみたいで(苦笑)」

小林・木村「(苦笑)」

生田「なんか変な雰囲気になるんです(笑)。でも『ここまでは正しいんですよ』と伝えて、これでコンテンツを作っていきましょう、という話をすれば別に大丈夫なんですけどね」

木村「生田さんがおっしゃっているのは、今でいうコンテンツマーケティングそのものですよね。今は多くの会社がそうしたやり方をとっていると思います」

生田「はい。僕も昔から当たり前にこうしたやり方でやってきました。初めの一歩としては、ぜひ皆こうしてほしいですね。そして次の段階が、先ほどお話したサービスやプランまで踏み込むというところになるわけです」

木村「そこの段階で難易度が上がりませんか?経営コンサルに近いというか。トップと話すことができればいいですが、マーケティング担当者と『サービスをこう変えていこう』と話しても、企業が大きくなるほど、それは上に通りにくい場合が多いのではないかと思うのですが」

生田「そうですね。次のステージは非常に難易度が高いです。ここまでのステージは皆できますし、やっていくうちにうまくもなる。その次の『サービスを変えていこう』という段階はなかなか難しい話になると思います。

だけど、すごく追い風な要素として、今インターネットの重要性をどこの企業もすごく評価してくれているんですよ。だから、インターネットのチーム側から『こんな風にしたら売れますよ』という提案は、以前に比べたら非常に通りやすい」

木村「そうですね。実際、大きな企業でもコンテンツマーケティングに取り組んでいらっしゃるところが多いですね」

生田「昔だったら全然相手にもされなかったけど、今ならお話さえすれば、検討までは絶対にしてくれます。お客様側からやりたがってくれることも多い。これはインターネットマジックですね。企業の上の方がよくインターネットを分かってないからこそ『とりあえず、良いことが起こるかもしれないからやってみようか』って言ってくれたりもしますし」

Webでこちらの書いたシナリオ通りにユーザーを誘導するには

小林「少しお話を戻して恐縮なのですが、紙の本は、こちらの書いたストーリーをある程度強制的に読ませることができるじゃないですか。

Webの場合は、ニーズに対しての入り口が検索ページで、そのランディングページまでのストーリーは作れると思うのですが、そこからこちらのシナリオ通りにユーザーを動かしていくことはできるのでしょうか?それとも、やはりリンクもあり、ユーザーの自由度が高い中では、それは現実的には難しいのでしょうか?」

生田「可能です。まずニーズに対する答えのページ、つまり商品やサービスのページを作りますよね。そして、答えを選択するために必要な購入や問い合わせのページがある。問題はそのすぐ横に何があったらいいのか、ということなんです。

それは例えば『うちはこんな会社です』、『こんなエンジニアが作りました』、『こんな部品・素材を使っています』といった種類の購買の動機づけを行う要素ですよね」

小林「コンテンツですね」

生田「ユーザーが入り口から答えまでまっすぐに進むストーリーを書くのは難しいですよ。だけど、答えが合っていれば、そこは問題ありません。答えを見た時にユーザーが何をするかというと、競争相手との比較ですよね。でも今って簡単に比較できないじゃないですか。例えばカーナビを選ぼうにしても、機能が複雑すぎて簡単に比較できない。

だから、そこに購買の動機づけができるような提案をありったけ入れるんです。5個の要素を見て買う人もいれば、10個の要素を見て買う人もいる。競合相手に対し、コンテンツ量が多い方がユーザーも喜んでくれるのは間違いない。

それを、答えを選択するために必要な購入や問い合わせのページの横に置くことが大切です。最終決断ページに置くコンテンツは、例え長いテキストであっても必ず読まれます。そこまでの動線はユーザーが自由に選べるように作っておけば、結果的に、こちらのシナリオ通りに動いてくれるわけです」

小林「なるほど」

生田「そういう作りなので、当然、階層はとても浅くなります。今我々が作っているサイトは基本的に最長でも3階層です。トップ・リスト・リーフだけです」

木村「基本構成が、トップ・カテゴリー・ディテールということですね」

生田「そうです。そして、Googleから呼び込むのはリストのページにしておく。リストのページをCMSベースにしておけば、リストやテーマを増やしても簡単に紐づけていけるので、ランディングページとしてもお客様の道案内ページとして成立する。また、リストが増えてもサイトが混乱しません」

木村「なるほど。CMSにしておくんですね。現在はWordPressを使うことが多いのですが、次の段階に行こうと思った時、CMSに有用なソフトウェアも増えてきていますよね」

生田「WordPressをお使いなら、『Drupal(ドルーパル)』がおすすめですよ。Drupalのメリットはまず、オープンソースなのですがWordPressほど広まっていないので、セキュリティ面でアタックが少ないことが挙げられます。

そしてもう1つ、 WordPressは基本発想がブログ前提なので、CMSに使うには困難な部分があるんですね。でも、DrupalはもともとCMS前提で、1対1ではなく1対多で使うことを基本にしたツールです。設計をしないといけない面があるので少し取り組みづらいかもしれませんが、CMSを目指すならDrupalの方がいいと思います」

CMSを使って、Amazonのようにユーザーにコンテンツを出し分ける

木村「企業ページだと、いまだにMovable Typeみたいな話はないんですか?」

生田「我々は、MT的なものとCMSは完全に分けてお客様に提供していますね。1対1の対応をするような、更新ツールとして使うような場合はWordPressやMTもやっています。

でも1対多の対応が必要で、1つのコンテンツをあちらでもリスト化したいというような、粒度が細かいもの、そういった場合は(Drupalのような)CMSじゃないと難しいと思います。ユーザーによって、『Aさんにはこれ、Bさんにはこれ』という風に、コンテンツの中から出すものを細かく分けていくのはCMSじゃないとなかなかできません」

木村「それは会員というか、ログインしてもらってからのお話ですか?」

生田「いえ、ログイン前もです」

木村「ログイン前に、どうやって『Aさんだからこれ』といった判断ができるのでしょうか?」

生田「Cookieもあるし、IPを見る場合もあるし、動線の履歴もありますね。ログイン前・会員前の方がそういう出し分けの優位性は高いです」

木村「イメージ的にはAmazonみたいなものですか?Amazonって履歴でおすすめとかが出るじゃないですか」

生田「その通り、Amazonです!」

木村「それは、Amazonだからできることだと思っていました」

生田「バナーを出し分けたり、1番大きな画像を出し分けたりというのは、ゲストのユーザーでも普通にできますよ。最近、我々が作るサイトでは当たり前になってきていますね」

木村「なるほど……行動履歴を追っていけば出せるということですね」

生田「しかも、それってレコメンドエンジンはいらないじゃないですか。決め打ちできるから。10~20通りの出し分けですから『Aさんならこれ』という風に、CMSでできるレベルなんです。

全部順列組み合わせで作っておいて、固定してCMSに渡しておいて『このフラグが立ったらこれを出す』というようにしておくだけです。Drupalでもできますし、他のCMSツールでもできますよ」

小林「LPOと呼ばれていたものが、CMSに組み込まれているイメージでしょうか?」

生田「まさにそうですね。ランディングページにもう答えがあって、それに関連するリンクもある、みたいな」

木村「カテゴリーもある」

生田「そうですね。カテゴリーがあって、そこの頭にちゃんと答えやメッセージがあって、その下に関連するリストのリンクがある。しかも、お客さんが検索などでカテゴリーを選んで初めて現れるんじゃなくて、すでに選ばれたAとBが同時にある。

例えば、クックパッドなんかすごく上手にやっていますよね。『鍋料理』のリストがあって、それを『暖かい』とか『家族で』とか、そちらの要素からも紐づけられる」

木村「あれはすごいですよね。かなり早い段階からですよね」

生田「そういうサイトはGoogleでも検索上位に上がってきますよね。他にはnanapiなんかもそう。1個のコンテンツを多元的に作ったものを持っている。

だから検索などを使わなくても、全部そこから選べちゃうんですよね。こういったサイトは構造自体がすでにSEOですよね。構造がSEO効果を増大している」

木村「僕なんかはWordPressを実装するだけでも、それが8割方できるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?」

生田「我々もそういった感じでやっています。いろんなプランを実装したページを作っておいて、お客様がキーワードを入れたら、そのキーワードを持ってるタグがバーッと集まってくるという風にしています」

木村「タグやカテゴリーですね」

生田「我々の場合だと、お客様にはコンテンツ作りよりも、まずキーワードの調べ方などを教えておいて『このキーワードでやりたい』ってなったら管理ページにキーワードを入れていただくとコンテンツが集まるようにしています。

コンテンツのリスト化だけではあるんですけど、ユーザーにはそれだけでも十分効果はあります。SEO的にも非常に早く上がりますしね」

木村「サイト自体にもともとオーソリティがあれば、本当にすぐSEO効果は上がりますよね」

③今後、日本のコンテンツマーケティング業界はどうなるのか

小林「では、最後の質問に行かせていただきたいと思います。検索エンジンからの見方や、お客様に合わせて届けるというやり方など、現在、コンテンツの定義もいろいろあると思います。そんな中で、今後日本のコンテンツマーケティング業界はどのような方向に進んでいくと思われますか?また、進むべきだと思われますか?

生田さんから、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

生田「はい。期待したいこととしては、良い編集者がたくさん出てくることですね。素人さんの書かれているコンテンツを、良い形で活かしてくれるような編集者が出てきてくれるといいな、と思っています。

素人の書いたコンテンツは、どうしても1つ1つのレベルは低くなってしまいます。しかし、それが集まったり、うまく編集したりすることで有効なコンテンツになる可能性は高い。そうすると、非常にローコストで有効なページがたくさんできますよね。そういったことのできる、言わば『目利き』の人材が増えてほしいですね。

紙媒体の雑誌があれだけ毎週・毎月にわたってコンテンツを発行できるのは、編集者の力ですからね。僕も若い頃は、写真もあまりうまいとは言えませんでしたが、編集の方に『もう少しこうした方が良い』ってアドバイスしていただいたり、上手に使ってくださったり、カバーしてもらっていました。ウェブの制作チームにも、編集者のチームがあるような時代がくればいいな、と思っています」

小林「ありがとうございます。木村さんはいかがでしょうか?」

木村「僕は検索エンジン側、やはりGoogleの考えや方向性が主体になってくるのですが、今Googleが公式にコンテンツ重視・ユーザー重視と言っていますよね。でも今の検索結果がそれほど優れているかというと、そうでない部分もあると思うんですよ。

例えばコンテンツ重視というけれど、検索上位にはNAVERまとめが入ってきますよね。NAVERまとめは、確かにユーザーにとって便利で価値があると思います。でも、あれをコンテンツだというのであれば『何でもいいよね』という話になってしまう。

Googleもそれを良いとは感じていないと思うんです。そこがどう改善されていくのか。2chまとめなど、キュレーション系まとめの問題点というか……。Googleが思い描く世界というのはまだまだ先なんでしょうけど、どういう風になっていくのかは、本当に興味深いですよね」

生田「個人的には、良い方向にちょっとずつだけど進んでいると思いますけどね」

木村「今、サーチの世界のタイムスケジュールでいうと、Googleは現在セマンティックWebというサーチの世界を実現していて、今後はよりナチュラルなインテリジェントWebに移行しようとしている流れにあります」

小林「その進化の流れに合わせて、コンテンツを変えていくことが必要ですよね」

木村「でも、いまだにGoogleは機械的な判断をするので、テクニカルな手法が効果的じゃないですか。例えば、文字数が多いというだけでコンテンツが評価されるとか」

小林「そういった点もキャッチアップしながら、進んでいかないといけませんね」

生田「皆さんはその道のプロですから、そこもキャッチアップせざるを得ないと思うんですが、我々Web制作会社としては、お客様、つまりクライアントに有効なコンテンツをコツコツ作っていこうよ、という話が第一ですね。それでSEO的にも価値が出るレベルになってきていますし」

小林「そうですね。『良いコンテンツを作っていけばいい』というのが大方の見解というか、大前提として言われている部分だと思います。

だけど、そこに対してSEOのテクニカルな部分が介在してしまっていることも事実なので、私どもはそこにもプロとして目を配りつつ、有用なコンテンツをしっかり提供していくことが必要ですね。それを両立していくのが、私どものような会社の活きるパターンですよね。

本日は非常に面白く、勉強になる鼎談でした。生田さん、木村さん、本当にありがとうございました」

木村「僕も本当に面白いお話を伺えて楽しかったです。ありがとうございました」

生田「こちらこそ、ありがとうございました」

生田氏プロフィール

株式会社キノトロープ 代表取締役社長 生田 昌弘
http://www.kinotrope.co.jp/
(プロフィール)
1959年生まれ。岡山県出身。1985年に生田写真事務所を設立し、カメラマンとして活動を開始する。1993年12月にキノトロープを設立し、代表取締役に就任。以後、一貫した方針で数々のWebソリューションを築き上げる。現在もネットエバンジェリストとして布教活動を実践中。
主な著書に『Webブランディング成功の法則55』、『CMS構築成功の法則』)、『Webサイト構築ワークフロー』、『アクセス解析からはじめる Webサイト運用 成功の法則』、『次世代Webサイト構築ワークフロー』など。

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