2015.10.21インタビュー

[対談] CFPコンサルティング坂牧 毅氏×DM-S木村和央 「リスティング広告で成果を出すために必要なこと」

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―――――――――――――――――― 対談人物 ――――――――――――――――――
・株式会社CFPコンサルティング 代表取締役 坂牧 毅氏
・ディーエムソリューションズ株式会社
インターネット事業部メディアマーケティング部部長 木村 和央
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2015年9月、私たちディーエムソリューションズ(以下「DM-S」)は、CFPコンサルティング・坂牧毅氏を迎え、「リスティング広告で成果を出すために必要なこと」をテーマに対談を行いました。
リスティング広告の運用担当者である坂牧氏と、メディア運営者であり広告主である木村とが、それぞれの立場から意見を交換しました。

[目次]
  1. リスティング広告で成果を上げるには
  2. ユーザーが探しやすい条件を満たす、ユーザーが求めているものにしっかり答える
  3. GoogleユーザーとYahoo!ユーザーの違いによって、広告も変わる?
  4. 会社として知見を平準化するか、コンサルタントの自由な発想を活かすか
  5. リスティングの最大のコツは、クライアントのビジネスを徹底的に理解すること

リスティング広告で成果を上げるには

―DM-SはSEOである程度の成果を上げてきました。その中で、自社でリスティング広告も回してみたのですが、そちらはなかなか上手くいかず、そこでCFPコンサルティングさんに協力を仰ぎたい、というところから坂牧さんとのお付き合いがスタートしました。
リスティング広告で成果を上げるにはどうしたらよいかということから、まずはお二人のご意見を伺いたいと思いますが、坂牧さんはいかがお考えでしょうか。
坂牧氏「そうですね、リスティングで成果を上げるために必要なのはスピードとアジャストメントでしょうか。数を集めて、クリック数を集めるというのはお金がかかることです。そのキーワードに対して、限界があるケースもあり、そこがリスティング広告の難しいところですね。
そのキーワードに隣接している人を呼びやすいのがSEOのメリットだと思います。」
木村「SEOはある意味無料でできる施策ですが、でもなかなか成果を上げるのが難しい。SEOで効果を出すのが難しいからリスティング広告を出稿する人が増えて、リスティングの単価が上がっていますが、両方とも正解がなく、難しいなと感じています。もちろん、ユーザーにとって有益なことをするというのが正解というのはありますが。」
坂牧氏「リスティングもSEOも、こうすればいいんだよね、というのが傾向値で語られていますよね。」
―リスティング広告の運用を外注する場合、すべてお任せした方が成果は上がるのでしょうか。外注する際に重要なポイントはありますか。
坂牧氏「すべてお任せします、というクライアントさんもいらっしゃいます。任せていただけるのはありがたいですが、任せっきりではなかなか成果が出しにくいですね。
特にLP(ランディングページ)はお互いのコミュニケーションでやらなければいけないポイントです。コミュニケーションをとりつつ、クリエイティブの部分まで任せていただけると成果は出しやすいですね。実際、サイト以外のクリエイティブをすべて担当させていただいているクライアントさんがいらっしゃるのですが、非常に高い成果が出ています。
あとは達成に向けた会話ができますので、目標を共有することが重要だと思います。」
木村「遠くの目標と、近くの目標とを持っておくべきだなと思いますね。」
坂牧氏「そうですね。クライアント側がそのマイルストーンを持っていないときはロードマップを描いてあげたり、可視化するように推奨しています。」

ユーザーが探しやすい条件を満たす、ユーザーが求めているものにしっかり答える

―クリエイティブのお話が出ましたが、リスティング広告でコンバージョンをとれるサイトはどのようなものなのでしょうか。例えば、縦長LPでマインドセットして、最終的に「申し込み」にたどり着くようにするのが効果的でしょうか。それとも、ユーザーに探させるようなもののほうがいいのでしょうか。
坂牧氏「ユーザーが探しやすいという条件を満たす、もしくはユーザーが求めているものに対してしっかりと答えている、ということがやはり重要だと思います。なので、縦長LPだから良いということは、必ずしもないと思っています。」
木村「自分に合ったものを探せるということが重要ですよね。例えば求人系だと、ユーザーの求めている情報は明確ですよね。そこに対して、曖昧なものではなく、明確に答える。“東京新宿で、薬剤師で働きませんか”とか。それから、選択肢も提示する。」
坂牧氏「おっしゃる通りですね。ECサイトとかで商品名ドンピシャで検索したユーザーを、ぴったりその商品ページにランディングさせると、すぐにはコンバージョンしないで、1階層上のもう少し俯瞰的見られるページにいって、その後もう1度商品ページに戻ってから買う、といったことが往々にして起こるじゃないですか。
ああいった例をみると、やはりユーザーは、確かにその商品を求めていたとしても、“ただただ導かれるままに来ました、どこを通っているかも分からずダイレクトに連れてこられました”というより、ある程度広いところに着地して、たくさん選択肢が並んでいる中で、“ああそうだ、これこれ、これがほしかったんだ”という風にやりたいんだと思うんですね。」
木村「それは指名検索じゃなくて、もうちょっと曖昧な、2個か3個のキーワード検索の場合ですよね。」
坂牧氏「そうですね。指名検索であれば、ダイレクトドンピシャでいいと思います。」
―このサイトには、こういうキーワードで、こういうページに着地するのがいいといったご提案もクライアントにされると思うんですが、そういった場合、クライアントはどういった反応なのでしょう?「わかりました、そうします」と頷いてくれるものですか?
坂牧氏「クライアントさんにもよりますね。上手くいくところとそうでないところがあります。
さきほど、1つの取組みのスタイルとして、弊社がクリエイティブの部分まで担当するケースがあり、それは上手くいく類型の1つだとお話しましたが、そうしたケースならクライアントさんが“それ、時間がかかりますよね……”と言ったときに“じゃあ、うちでやってしまおう!”ってできるんですよね。そのスピード感が成功につながっている部分もあると思います。“こういうキーワードをランディングさせる専用のLPがほしい”と相談しても、半年くらい出てこないクライアントさんもザラですから。」

GoogleユーザーとYahoo!ユーザーの違いによって、広告も変わる?

木村「GoogleとYahoo!のユーザーの違いによって変わってくる部分などはありますか?さきほどの求人系のお話でも、Googleのユーザーだとハマると思うんですが、Yahoo!のユーザーだとどうなのかな、と思いまして。
少しステレオタイプ的な話ですが、Googleユーザーに比べ、Yahoo!ユーザーはリテラシーが低いという言説がありますよね。そしてYahoo!ユーザーは女性が多い印象があり、また求人系では、薬剤師や看護師は女性が多い印象があります。そうなるとYahoo!とGoogleのユーザーの違いの影響もあると思うのですが?」
坂牧氏「確かに、薬剤師求人は約80%が、看護師求人は約90%が女性ユーザーですね。」
木村「そんなに高いんですね。」
坂牧氏「ただ、実際の求人のマーケットで求められている人材になると、話が少し変わってきます。求人を出している側はみんな常勤がほしいわけです。男性薬剤師って、女性薬剤師に比べると派遣就業などの方向性で選ぶ方が少ないので、その部分では求人を出している側のニーズと合うんですね。だから、女性率が高いから女性向けにサイトもやりましょう、というよりは、男性もしっかり取れるように考える方が多いんじゃないでしょうか。」
木村「なるほど。」
坂牧氏「GoogleユーザーとYahoo!ユーザーの違いという面は、今ねじれが出てきているのかな、と思いますね。PCにおいては、デフォルトの検索ページを設定するとき、Yahoo!を選ぶ人はリテラシーが比較的Googleを選ぶ人より低い、という言説はあったかもしれませんが、スマートフォンになると違ってきていると感じます。
スマートフォンは、デフォルトの検索ページがすでにGoogleに設定されている場合が多いですよね。そのため、スマートフォンでYahoo!を使う人は、“Yahoo!を使いたい!”って選択して使っているわけです。それって、意志を表明して動いた結果の人だと思うんです。
もちろん案件にもよるんですが、スマートフォンのリスティング広告では、確かにYahoo!よりもGoogleの方が、成果が出ていることは多いです。しかし一方でアドネットワーク*1をみてみると、同じスマートフォンでもYDN*2の方が、成果が出ているという傾向も強くあるんです。我々もまだ上手く定義付けできていないところではあるのですが……。
そういったところで、様々なマーケットや事例の数をもって、それに合わせて提供していくことも、重要なバリューの1つかもしれませんね。」
*1…広告媒体のウェブサイトを多数集め、「広告配信ネットワーク」を形成し配信するタイプの広告配信手法。
*2…Yahoo!ディスプレイアドネットワーク。Yahoo!検索エンジンの検索結果ページではなく、Yahoo!ニュースなどのコンテンツページに表示される形の広告。

会社として知見を平準化するか、コンサルタントの自由な発想を活かすか

―リスティング会社に対して発注側は、キーワードやリスティング、サーチなどの知見・ノウハウが会社単位で蓄積されるのかというところが、気になっているのではないかと思います。
というのも、リスティングって職人気質みたいなところをみなさんが持っている気がして。発注側も対会社というよりは、対担当者、対運用者という形で、“この方にお願いしたい!”という感じで依頼する傾向が多いと思うのですが、そのあたりはいかがでしょう?
坂牧氏「それに関しては、一定部分あると思う一方、ずれている部分もあると思います。確かに、個人の力に寄り過ぎる傾向は業界の中にあります。
コンサルタントのレベルを平準化されたある会社さんがありまして。その会社さんのコンサルタントは全員、100点を出せるわけではないけれど、80点を確実に出しますというやり方なんですね。
でも、それってコンサルタントの自由な発想とか、コンサルタント自身がブレイクスルーして変革を起こしたり、イノベートしていったりということが制限されるんですよね。だからこそ、あの安定感を出せるということでもあると思うのですが。
あのやり方であの水準までいったのは本当にすごいな、と思う一方、僕自身はやはりコンサルタントや運用者個人がブレイクスルーしていけるようにしたい、という思いが強くあります。
じゃあどういう形でやっていけばいいかを考えると、結局それかという話なのですが、会社の色だと思います。経営者や幹部陣の考え方の色、採用する社員たちのキャラクターの色、育成・教育の色、そうしたものから会社独自の色ができあがってくる。
その中で全員同じ水準にはならないかもしれないけれど、“弊社はこういう傾向・色の会社で、こういうクオリティにおいて優れています”という作り方はある程度はできるのではないか、と思いますね。うちも元エンジニアみたいな人ばっかりですしね(笑)。」
木村「元エンジニアの方が良い部分もありますよね……細かいというか。そうじゃないとけっこうみんな病んじゃうこともあるし(苦笑)。」
坂牧氏「それはあるかもしれないですね(苦笑)。」
木村「でも、どうしてみんな病むんでしょう?成果っていろんなバランスじゃないですか、広告主の競争力もあるし。自分たちが100でやっても、広告主が20しか出してくれないこともある。それでもお金は出ていって、そうすると色々言われて……それでみんな病むのかなあ?そうしたレベルを標準化するっていうやり方も、病んで辞めちゃいますよね。」
坂牧氏「僕が思うに、その会社さんの場合ですけど、ずっと同じことばかりやっていると病むということもあるんじゃないですか。あの会社さんは分業で、ゼネラリストを基本的に作らないんですよね。
その会社さんでは、かつてみんなが好き放題に案件をとってきていた時期があったみたいで、その経験があるからもうゼネラリストは作らずに、1つの分野のスペシャリストだけを作るようになってみたいですけどね。
昔は強い指導者がいらっしゃって、その方が高い理想や夢を語って、それでみんな頑張れたという感じだったそうなんです。でも今は、理想や夢といったビジョンよりも、ビジネス面にコミットメントの高い経営者に変わって、それから今の形につながっているという感じみたいですね。
夢が見られるなら辛い環境も頑張れる、みたいなことってあるじゃないですか。大人になってもそれはあると思うんですよね。」
―会社としてクオリティの平準化は実現可能ではあるけれど、一方でそれは運用者やコンサルタントの自由な発想や成長を阻害してしまうおそれもある、という感じでしょうか。
坂牧氏「そうですね。それはまさに諸刃の剣だと思います。我々は決して、リスティングマシーンを作っているわけではありませんから。自動運用ツールの性能がまだ悪いから、コンサルタントにやらせているわけでもありません。やはり人間として成長して、成熟した精神状態や考え方を持っている人間が、プロモーションを担当するというのが最終的には強いと思うんです。」

リスティングの最大のコツは、クライアントのビジネスを徹底的に理解すること

坂牧氏「“リスティングの最大のコツは何ですか?”という、ざっくりした質問を受けることが時々あるのですが、もうその答えは1つですよね。クライアントさんのビジネスを徹底的に知ること、それしかないと思います。
弊社で、Oisix(有機野菜などの食材宅配ネットスーパー)さんというクライアントさんを担当しているのですが、その案件に関して社員に怒ったことがあったんです。
当時僕もまだ運用などに携わっていたのですが、どうしても時間がとれず、別の社員にOisixさんのリスティングの構築・ビルドアップ案件を任せたんですよ。非常にリスティング技術が高い人間なので、上がってきたものはすごくしっかり構築されていたんですけど、どうしても許せないことがあったんです。
何かというと、野菜と肉が同じステージにあったんですよ。それを見て“Oisixさんといえば野菜だろう!『肉 宅配 地名○○』みたいなキーワードがなんでたくさんあるんだ!”って僕は怒ったんです。
クライアントのビジネスをよく知らないとこういうことが起こってしまうんです。食材宅配といっても、Oisixさんは実際には野菜がメインなんだと理解していれば、キーワードも『肉 宅配 地名○○』で使うより、『トマト 宅配』や『きゅうり 宅配』といったキーワードで使うことが必要だと分かりますよね。
そういう意味では、クライアントのビジネスを徹底的によく知って、その人たちに合ったキーワードを見つけられるかが、リスティングの最大のコツと言えます。そして、クライアントのビジネスを徹底的に理解しようと思ったときには、実はそこにリスティングの技術論はあまり関係ないんです。だから、リスティングマシーンやキーワード係みたいなものを作っても、それでたどり着けるステージは限界があるとはっきり思っていますね。」
木村「技術論でたどり着けるところは、クライアント側がシステムの向上で吸収しようともしていますよね。どんどん簡単になっていっている。そういう意味でも、リスティングマシーンみたいな人たちは必要性がなくなってきている気もします。」
坂牧氏「その通りだと思います。」
―クライアント側、メディア側が、自分たちのビジネスモデルやターゲットとしているユーザーなどを、“これでもか!”とリスティング運用担当者に理解してもらおうとすることも大事かもしれないですね。
坂牧氏「そうですね。それはとても大事ですね。」
―それがパートナーシップの1つの形でもあると思います。近い目標や遠い目標を共有しつつ、いい緊張感で成果をあげる。それが広告主と、広告制作のあるべきコミュニケーションかもしれませんね。
お話もまとまったところで、本日はこれで終了とさせていただきたいと思います。長時間になりましたが、本当にありがとうございました!
木村「ありがとうございました!」
坂牧氏「こちらこそ、本当にありがとうございました。」

坂牧氏プロフィール

株式会社CFPコンサルティング 代表取締役 坂牧 毅
http://cfp-consulting.co.jp/

(坂牧様ご確認中)

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